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雨の止む頃に。  作者: 峰 まこと
2/11

踏みだす決意

 やっとの思いで学校には着いたが、もう既にホームルームが始まっている。

教室に入ると男子も女子も普段に増して騒がしい。

”今日転入生がやってくる”そんな噂がまことしやかに話されている。

どうやらクラス中がその噂で持ちきりなようだった。

「来るのはゴリラみたいな女子らしいぞ。」

「俺が聞いた話は新幹線ばりに足の速い男子って聞いたぞ。」

それは本当に人間なのか?なんてことを考えながら話を聞き流していた。

そんなこと今の俺にとってはどうでもいいことだった。

「はあ~。」

「どうしたんだよ。またフラれたのか?玉砕の瞬くん」

俺のため息に気づいたクラスメイトの日比谷が冗談交じりに聞いてくる。

「んなことじゃねーよ。なんでもねえし。」

ガラッ

席をはずしていた担任が教室に帰ってきた。

「お前ら席に着け。みんなの耳にも入っていると思うが、今日からこのクラスに転入生が来る。

まあお前らのわけわかんない想像とは全く違う子だけどみんな仲良くしろよ。」

耳の早い担任だ。生徒の話していたことがもう耳に入っているなんて。

「じゃあ、入ってきてくれ。」

担任に促され転入生が教室に入ってきた。

自分の目を疑った。そこには電車で見かけたあの子が立っていた。

「父の仕事の都合で引っ越してきました。茅野 真昼です。」

彼女は恥ずかしいのか耳を赤らめている。そんな彼女に愛らしさを覚えた。

ホームルーム後彼女の周りには人だかりができていた。

聞いた話ではこんな時期の転入は転勤族の家庭の彼女にとっては日常茶飯事らしい。


彼女が転入してから数日が経った。

未だに彼女とはほとんど話すことができていない。

この俺の意気地なし。そんなんだから彼女の一人もできないんだ。

と自分に言い聞かせてさらにへこんでいる自分がいる。

だが俺は今の生活に不満はなかった。というのも今の俺の席は彼女の左斜め後ろ

彼女を眺めるには絶好の席なのだ。

話せないからずっと眺めているなんて全く情けないうえに気持ち悪い話だ。

「瞬は茅野さんのこと気になってんの?」

おもむろに日比谷が聞いてきた。

「な、なんで!?」

「だってお前ずっと茅野さんのこと見てんじゃん。」

バ、バレていた。彼女を眺めていることは誰にも気づかれていないはずだったのに……。

「もしかして気づいてないとでも思ってたの?クラスのみんなが気づいてたことだし。

気づいてないのなんて茅野さん本人くらいだぞ。」

みんなにバレていたなんて、恥ずかしさで顔が熱い。穴があったら入りたいくらいだ。

「そ、そそそ…そうだけど、な、な、なんか文句あんのかよ!!」

急に声を出したもんだから声が上ずった。

「はは、そんなに焦るなんて瞬面白すぎ。別に文句はないけどさ、

茅野さんって案外人気ものなんだよ?隣のクラスの奴が告白するなんて話を聞いたからさ。」

え?告白?誰が?

同じクラスでこんなにも話す機会があったのに一度も話せず、そのうえ告白もできず

茅野が誰かと付き合っちゃうの?そんなんでいいのか俺。

このまま彼女ができないまま高校生活をダラダラ過ごすのか?

そんなことが頭の中でグルグルと回る。

そんなの嫌だ。なにもやらないで後悔なんてしたくない。

今更守るようなプライドなんてない。俺の名前は”玉砕の瞬”だ!!!

「俺、茅野さんに告白してくる。後悔したくねえし。」

「お?玉砕の瞬が十戦目を挑みに行くのか?じゃあ負けるにジュース一本な。」

チッ、日比谷ははなから俺がフラれる体で話を進めてやがる。

「やってやろーじゃねえか!なら俺が勝ったらジュースな!!」

俺はそう言い放ち放課後の校舎を走り始めた。

記念すべき十戦目に挑むために。

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