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雨の止む頃に。  作者: 峰 まこと
10/11

真実と迷い

キーンコーンカーンコーン

昼休みのチャイム。授業なんて全く入らず、亜夜さんのことで頭がいっぱいだ。

勝手に帰ったこと、何もできなかったことをちゃんと話したい。

放課後はまだか、学校なんてサボってでも亜夜さんの所に行きたいくらいだ。

「ね、ねえ……御手洗くん……。」

はあ、なんだ茅野か。今更俺に何の用だよ。

「なんだよ。俺と話すことなんてなんもないだろ。」

「ご、ごめん……。」

相変わらず話しかけてくるなんて意味が分かんねえ

でも今はそんなことより亜夜さんだ。

学校が終わると俺はあの公園に走った。

いつもの道でいつもと同じ時間に。だけど彼女は一向に来ない。

「亜夜さん遅いな。いつもならこの時間にいるのに。」

公園の街灯が灯り始めたが、彼女は来ない。

なんで、なんで亜夜さん来なかったんだろう。話したいことがいっぱいあったのに

今話しておかないといけないそんな気がする。

ドンッ

亜夜さんのことを考えるのに夢中になっていた俺は

目の前に人がいたことに気づかなかった。

「す、すみま……。」

そこに立っていたのは茅野の家で会ったあいつだった。

「こっちこそ、きみはこの間うちに来た真昼の友達だよね?」

「は、はい。」

なんで今こんなやつと会っちゃったんだろうか。

「あのさ、真昼学校でも元気にやってる?」

彼氏のお前のほうが俺なんかよりも知ってんだろ。

なんで俺に、

「てかあんた茅野の何なんだよ。」

今更こんなこと聞いてどうすんだよ。なんて思いながらも聞かずにはいられなかった。

「あ、俺?俺は茅野 まこと。あいつの兄貴だよ。」

あ、兄貴?

俺の聞き間違えか?いやそんなわけない俺にははっきりこいつが兄貴って言ったのを聞いた。

「で、でもこないだまことさんって。」

「俺の家再婚でさ。俺と真昼は義理の兄妹で、お兄ちゃんって呼ぶのに抵抗があるらしくて

未だに”さん”付けなんだ。」

俺もしかしてとんでもない勘違いを……。

「あいつ引っ越しばっかで、友達が家に来ることなんてなかったから君が何か

知ってるかなと思ったんだけど。」

俺は茅野が元気がないのを知っている。その理由も。

「あ、あとさ……」

茅野の兄貴はあの子がちゃんと話せていないだろうと俺に話し出した。

”茅野がまた親の都合で明後日の夜の電車でこの街を去る”

俺ってどんだけ周りのこと見てねえんだよ。

茅野の兄貴から聞かされるまで知らなかった。いや、話そうとしていたのに聞こうとしなかったんだ。

急すぎるだろ。亜夜さんにも話したいことがあるのに、

茅野が明後日引っ越すなんて。

俺どうしたら……

兄貴のこと勘違いして茅野を傷つけたことを謝らなきゃ。

でも茅野がどこにいるのかも分かんない。だから……

また俺は走ってる。考えたって仕方ないんだって。俺は考えたって何も分かんねぇ。

なら考える前に走るしかないんだ。

彼女の家に向かって走る途中誰かが俺のことを呼び止めた。

「少年!」

俺のことをそんな風に呼ぶのは一人しかいない。

「亜夜さん。今までどこにいたんですか。」

彼女は俺の質問に答えるつもりはないみたいだ。

でも今の俺にとって彼女は蜘蛛の糸のようだった

すがる思いで今までのことを話した。自分が勘違いしていたこと、

彼女が引越しをしてしまうこと。

でも肝心の彼女への謝罪のことは言葉が出てこなかった。

彼女はいつもみたいに俺の話を何も言わずに聞いてくれた。

やっと口を開いた彼女が一言

「じゃあ、私に乗り換えてみない?」


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