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傲慢なお姫様と孤独の少女  作者: 白ヤギ
9/15

9 蒼、マークを考える

 山田さん達が野菜を売る話を進めてくれている。

梅雨も明けどんどん夏が近づいてくる。

野菜の方は、ハンナの畑がメインだけど順調だ。

野菜を売るためには、まず自分達のマークみたいなものを作って、それを袋に印刷して売るみたい。

まずマーク作りをしなきゃ。

ハンナと一緒にやりたいけどまた鶏小屋かな?

コッコちゃん可愛がってるけど食べるとき大丈夫なのかな?

私は鶏小屋へ探しに行く。


「ハンナ~、いる~?」

「何じゃ蒼? それより見てみろ」

「何を?」

「コッコちゃん妾の後をついて歩いてくる。可愛いのぉ~♪」


 やっぱり食べることを分かっているか心配だ。


「ハンナ…… コッコちゃん、食べる為に飼ってるのは分かってるよね?」

「うむ、じぃからも聞いた。何か問題が?」

「いや、分かってるならいいけど…… 野菜売る為のマーク一緒に考えようと思って呼びに来たの」

「うむ、片付けたらいく、プリンを用意しておいてもいいぞ♪」

「しょうがないなぁ~」


 なんだ、ちゃんと分かってるのか。

それならいいけど…… まぁ強いハンナに限って問題無いよね!

むしろ〆る時心配なのは私だよね。


「いやぁ〜良い汗かいたのぉ」

「ぷっ、オヤジ臭い」

「何を言っておる! 妾は臭く無いぞ?」

「そういう意味じゃ無いよ、はいプリン」

「むむむ、ありがとなのだ♪」


 ハンナは、どんどんこっちの生活に慣れ行くなぁ、凄い。


「野菜の袋に書くマークなんか良いのある?」

「うむ、よぉ分からぬが蒼と妾が作った野菜と分かるのが良いのぉ」


 う〜ん、どんなのが良いんだろ?


「妾達の名前からとるか?」

「名前かぁ……」

「なんじゃ? 問題あるか?」

「問題っていうか、『花水 蒼』て、鼻水で青だから、なんかその……汚い感じしない?」


 てか、高校の頃名前でも虐められたなぁ。

はぁ〜憂鬱になってきた。


「蒼は、バカなのか? ぷくくくくく、鼻水って。ぷー」

「なんで笑うのよ!」

「ぷくくくくく、ふむ、すまぬ……プププ」

「もぉ! 何がおかしいの」


 ハンナまでバカにするの!

なんか、悲しくなる。


「すまぬすまぬ、今怒ったように、大切な名前をバカにするような奴らには、怒ればよいじゃろ」

「それは…… そうだね、ごめん。私が悪かった」

「うむ、妾は自分の名前に誇りを持っておるぞ」

「誇り?」

「うむ、妾の名前には恩恵や恵みを意味しておる。母上からもらった大切な名前じゃ」

「そうなんだ…… 素敵だね」

「うむ、蒼の名前も両親が大切な想いで付けられた名前じゃろ」

「うん、そうだね、ありがと」


 そうだよね…… 今は高校生活なんて関係ないんだし!

ハンナも綺麗な名前て褒めれくれたし…… 私もこの名前綺麗だなって思う。


「じゃ、じゃあ蒼い花に…… 恩恵てどんなのだろ?」

「ふむ…… プリンかのぉ?」

「そんな訳ないでしょ!」

「むぅ……」


 恩恵?なんだろ、滴?いや違うか……


「う~ん、ハンナのマークも付けたいけど何がいいかなぁ?」

「ふむ…… 妾もじゃあ小さい花がいいかのぉ……」

「花? なんで?」

「なんとなく音も似ておるし…… 蒼の友達だから横にちょこんといたいのじゃ。妾が元の世界に戻っても、忘れないで欲しいからのぉ」

「忘れないよ……」


 そっか、いつかハンナは帰っちゃうもんね。いるのが当たり前になっちゃったな。

悲しい顔をださずに、とりあえず何個か適当に描いてみる。


「こんな感じ?」

「おぉなかなかうまいのぉ」

「そぅ? 普通じゃないかな? ハンナちょっと描いてみてよ」

「ふむ」


 ハンナが真剣な顔で描いているが、お世辞にも上手いとは言えない出来だ。


「な、なんていうか個性的ね」

「そうかのぅ? そんなに褒められても何も出ぬぞ?」

「褒めては無いけど……」

「む? そうなのか、妾は蒼の描いたこれがいいかのぉ」


 ハンナが選んだのは大きい花と小さい花のマークだ。

小さい花が私だね。なんかちょっと項垂れてるし。

小さいのは青色で、大きいのは向日葵にしようかな、ハンナは向日葵ぽいし。


「ハンナ、向日葵って分かる?」

「うむ、蒼の図鑑で見たからのぉ。元気になる花じゃった♪」

「ハンナ、向日葵みたいだからこの大きい方向日葵にするね」

「むぅ? 大きい方は蒼じゃろ?」

「え? 私はこの小さい方だよ」

「そうかのぅ?」


 誰が見たって、ハンナが大きい方なのに。

とりあえず、色を塗って細かい所を仕上げていく。出来たら山田さんの所に持っていけば、マークが印刷された袋を業者さんが作ってくれるみたい。

あ! 色は塗っても意味無いじゃん。でもエプロンも作るみたいだから、塗らなきゃダメか。


「何をブツブツ言いながら色を塗っておる?」

「え? 声出てた?」

「うむ、顔を上げたり下げたり忙しそうだ」

「えぇ? そんな事してた?」

「はぁ〜いつもしておるぞ」


 えぇー! それならもっと早くいってよ!


「はぁ~こんな感じでいい?」

「うむ…… しかしどこかで見たことある絵じゃのぉ……」

「え? 今私が描いた絵が?」

「うむ、まぁ細かいことは気にしてもしょうがないのぉ」

「えぇ、気になるよ! 今はパクリが問題になってるって、ラジオでいっていたし……」

「何をバカなことを言っておる…… 早くそれをじぃのところに持っていくぞ」


 わ、私パクッてないよ。もしかして問題にならないよね……

でもマークはちゃんと出来た。あとは山田さんのところに持っていったら全部やってくれる。

ほんとに親切だなぁ。


「ハンナ、売れるといいね」

「うむ♪ 売れるじゃろ♪」

「そ、そうだよね…… 」


 もうすぐ私達の野菜や卵が売られるんだ。

ドキドキするけど楽しみだなぁ。




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