表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傲慢なお姫様と孤独の少女  作者: 白ヤギ
8/15

8 ハンナ少しイライラする

 ふむ、結構な人数だの。

鶏小屋を作るのを手伝ってくれた者もおるのぉ。見た事無いのもおる。

蒼は…… むぅ妾を置いてじぃの奥方の所へ行っておる。ふむ、プリンを渡すのじゃな。


「あの、これ本当につまらないものですけど、鶏小屋とかのお礼にと思って」

「あらぁ、気にしなくていいのに、可愛い袋ねぇ」

「その中にはプリンが入っておる、つまらないものじゃないぞ♪」

「ちょっと、ハンナ! 少し黙ってて!」

「へぇ〜蒼ちゃんも大きい声だせるのねぇ」

「あ、すいません」


何を蒼は真っ赤になって俯いておる。

蒼の周りで、キャッキャ女性達が集まってきておる。しかしみんな、年寄りばかりじゃ。


「ハンナもたべる?」

「食べるに決まっておる♪」

「なんで決まってるのよ、さっき食べたでしょ」

「3個食べていいかのぅ?」

「話聞いてるの? ダメに決まってるでしょ!」

「本当に仲良いのねぇ。姉妹みたいだねぇ〜」

「こんな可愛い子出来るなら、お父さんにもうひと頑張り頼もうかしら」


 馬鹿ねぇと、また大きな笑い声が起きる。

ふむ、蒼の周りは笑い声で溢れておるのぉ。

あっちでは、じぃ達も蒼からのプリンをもらい、ほくほく顔で食べておる。

全く蒼はなんで、くねくね虫になるのかよぉ分からぬ。

村の人はみんな好い人じゃ♪


「蒼ちゃん! 野菜もあれだけ穫れてるなら、今度街へ売り行くか?」

「あ、山田さんこんばんはです。売り行くって……」

「心配する事ない! みんな手伝ってくれるって」

「はぁ〜」

「なんじゃ? 売りに行けば良いじゃろ?」

「ちょハンナ、なんか迷惑かけたら困るし……」

「誰も蒼ちゃん達の事迷惑なんて思ってないさ、可愛い女の子いると頑張る奴もいるしなぁ」

「うむ、妾も蒼も可愛いからのぉ♪ 」

「んだんだ」

「ちょっと! ハンナ……」


 蒼はすぐ赤くなったり下を向くのぉ。

じぃ達も蒼の事を気に入っておるのじゃからもっと甘えればいいものを。

全く頑固じゃのぉ。


「蒼、野菜を妾も売ってみたいのぉ♪」

「そーだよ、蒼ちゃんとりあえず今度マーク作って、袋作って売ってみな!」

「そだそだ」

「あ…… はぃ…… お願いします……」

「なんじゃ蒼? お腹すいておるのか? あそこにうまそうな物沢山あるぞ♪」

「ちょっと! ハンナ! 」


 蒼が何か言っておるが、じぃ達も食べ物をくれて笑顔じゃあるまいか。

ふむ、てっきり何か会議があるのかと思っておったが、食事会みたいじゃのぉ。

さっきから食べておるだけじゃ。

ふむ、変わった集まりじゃ。

偉い人もおらぬみたいだし、みんなそれぞれ好きなことを言っておる。

王様はおらぬのか?

まぁよい♪ このおつまみというものも、なかなかの美味じゃ♪


「ハンナ! 食べてばっかいないでもう行くよ」

「なぬ? まだ沢山あるぞ」

「今から山田さん達はお酒飲みながらいろいろするのよ。いても邪魔になるし」

「ふむ、では帰るかのぉ。じぃ! 妾は帰るぞ!」

「おぉ! また困ったことあれば何でも言っておくれよ。あとは野菜売る話も進めておくからな」

「うむ、頼む」

「ちょっと! あ、お願いします…… おやすみなさい」

「おぉ! 蒼ちゃんもお休み!」


 みんなに挨拶されて愛されておるのぉ~。

なのに蒼は何であんなに自信ないのじゃ?

まぁよい。蒼自身の問題じゃ。今日の晩御飯は何かのぉ♪


「ハンナ! 野菜売るなんて…… どうしよ?」

「む? なんか蒼のマークを考えればよいのじゃろ?」

「いや、そうじゃなくて」 

「蒼は何でそんなに自信がないのじゃ? プリンも喜んでくれたじゃろ」


 結局聞いてしまった。

蒼を見ておるとなんか胸がモヤモヤする。一体なぜじゃ?


「む? 何を止まっておる?」

「うん…… 」


 なんか言いたそうな顔じゃのぉ。まさか、あ! 猫だ、では無いじゃろうな……


「ハンナ……」

「何じゃ? 声が小さいぞ」

「もしハンナの恥ずかしい事を、みんなが知ってて笑ってるとしたらどうする?」

「ふむ、笑っている物を力で黙らせるかのぉ」

「もしそれが出来なかったら?」

「妾に出来ない事は無いから分からぬ」


 ふむ、たまに蒼はこんなことを言う。

出来ない者の気持ちなど分からぬ。

なぜそんなことを考えないといけないのじゃ!


「ふむ、もし相手を黙らせれないのであれば、笑われることを諦めるかのぉ……」

「もし! 戦おうとしても勝てなかったら?」

「何を大きな声出しておる、だから妾には分からぬ!」

「そうだよね……」


 蒼がこんな話をするたびに、モヤモヤは大きくなる。

イライラすると言ってもよいくらいじゃ!

畑を荒らしてたやつが来た時の気持ちは嘘ではない!

それでもやはり弱い者の事は考えれぬ。


「蒼は畑を荒らしに来たやつら相手に立ち向かったじゃろ」

「でも結局何もできなくて……」

「蒼、妾には弱い者の気持ちなど分からぬ! 考える必要もないと思っておる!」

「そうだよね…… やっぱり分からないよね」

「じゃあ蒼は、鶏の気持ちや猫の気持ちなど考えるのか? 考えぬじゃろ? 妾にとってはそうゆうことじゃ!」


 むぅ、黙り込んでしまった。怒っておるかもしれんのぉ。

でも今言ったことは妾の中の真実じゃ。

それが違うなら…… 


「蒼? 怒っておるのか?」

「怒ってないよ、ごめんね変なこと言って」

「怒ってないなら良い。じゃあ今日の晩飯はお肉とプリンじゃな♪」

「プリンは無し! 野菜炒めよ!」

「なぬ! 怒っておるではないか!」

「だーかーら、怒ってない!」


 変な空気はなくなった♪ 

肉が無いのは残念でも、蒼が笑っておるなら問題無しじゃ♪ 

今夜も月がきれいじゃのぉ~♪




 蒼の日記 6月○日


 今日はプリンを作った。

ハンナはもちろんの事、山田さんの奥さん達や男の人にも好評だった。

やっぱりうれしい、でも調子に乗ったらダメだね。

今は嫌われてないけど一度嫌われたら大変だ。


 ハンナと帰り道、少し空気が変になった。

確かに私は自分が弱い事ばかり考える。

高校時代のいじめの事をハンナに言ったてしょうがないのに……

こんな根暗な私によくハンナは付き合ってくれてる。

感謝をしなくては。

もしかしたらハンナは帰る場所がなくて私としょうがなく一緒にいてくれるだけかも。 

嫌われたくないなぁ。

それとハンナの例えは少し変だったけど確かにそうかも。

私以外の子が虐められてたら助けれたかどうかは…… いやきっと助けないね。

結局自分がかわいいだけなダメなやつだ、私は。

ハンナはが気を使って茶化してくれてようやく空気が戻った。


 町の集会所でもハンナがいるだけで空気が明るくなる。

おまけでいいからそばにいたい。

野菜売るなら迷惑かけないようにしなきゃいけない!

頑張ろう!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ