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傲慢なお姫様と孤独の少女  作者: 白ヤギ
7/15

7 ハンナとプリン

 うむ♪ 最近は順調だのぉ♪

じぃ達が協力して蒼の家に鶏小屋を作ってくれた。卵もそこそこ取れておるし、烏骨鶏と云う可愛い奴もくれた。

妾は、コッコちゃんと名付け可愛がっておる。

たまに蒼が心配そうな眼差しを向けてくるが、どうせ蒼の事じゃ、いらぬ心配をしておるのじゃろう。


「ハンナ〜卵あった?」

「うむ! 大量じゃ♪」

「鶏の世話好きねぇ〜」

「うむ、妾には葉っぱを見て、ニヤニヤ気持ち悪い事言う趣味は無いからのぉ〜」

「なっ! 見てたの?」

「見るも何も、じぃ達も知っておるぞ?」

「えー! 恥ずかしすぎてもう生きていけ無い」

「何を言っておる? まぁ良い、卵置いておくぞ」


 蒼はよく、自分の畑の前でクネクネ踊っておる。まさか見られておるのに気づいておらぬかったのか?

今頃真っ赤になって、手をバタバタさせてもなにも変わらぬじゃろ。

そんな事よりも、何か作ろうとしているのかのぅ。食べ物だと嬉しいのぉ〜。


「何か作るのか?」

「あ、今晩村の集まりがあるんだけど……」

「ふむふむ、それで? 何をモジモジしておる? トイレか?」

「違うわよ! その、鶏とか小屋作ってもらったから、プリンでも作ってみようかなぁって」

「プリン? 食べ物か?」

「うん、甘いデザート」

「ふむ、興味深い♪」

「なによ、興味深いって、食べたいだけでしょ?」

「違うのじゃ! 妾が味見をして、喜ぶか判断するのじゃ♪ 」

「ほんとに?」

「当たり前じゃ! 妾は姫じゃ! 嘘付かん!」

「嘘つき」

「むぅ」


 なにやら、蒼は忙しそうだから、畑の世話もしておく。魔法も使うがなるべく手でやる。

ふむ、農民というのは大変じゃ。元の世界では妾は、ご飯を沢山残しておった……

こっちの世界に来てから妾には分からない事が沢山できる。

何が正解で何がダメなのか分からぬ。

もし間違えておったのなら妾は許されるのだろうか……

どんだけ考え事があっても、生活するために仕事をしなくてはならぬ。

農民は大変じゃ。

それでも葉っぱの虫を捕ったり雑草を抜くのも悪くない。

こっちに来てから楽しいことばかりじゃ。プリンも気になるしのぉ♪


「あ、ハンナありがと」


 水を上げて、虫を取っていると蒼が声を掛けてきた。

そろそろお昼の時間じゃ♪


「む? お昼かのぉ?」

「うん、あとプリンもできたから食べる?」

「しかたないのぉ~、そんなに食べてほしいなら食べるのじゃ♪」

「別に食べなくてもいいよ」

「むぅ! 食べるのじゃ!」

「1個だけよ」

「うむ♪ ちゃんと蒼の分もあるのか?」

「あ、うんあるよ」

「ならよい」

「なんで偉そうなのよ」

「姫じゃからな!」

「何言ってんのよ!」

 

 蒼が妾の後頭部を叩く。

元いた世界なら許されぬことだが、こっちの世界ではツッコミというらしい。

変な文化じゃのぉ~。でも嫌な気分にならないのぉ。

畑から家までの帰り道、この道を歩くのが好きじゃ。

城にいた頃は外にもあまりでなかったのぉ~。

今蒼がおるから楽しいのか、それとも妾が変わったのか、不思議じゃのぉ~


 む?家に入ると甘い匂いがする♪


「むむ? なんか甘い匂いがするのぉ?」

「なにそれ? モノマネ? 甘い匂いはプリン。お昼ご飯食べてから食べよ」

「うぬ、楽しみじゃのぉ♪」


 プリンという食べ物はプディングと似てはおったが全然違う!

なんじゃあれは! 蒼は魔法使いなのか!

2個3個食べたいといったが足りなくなると言っておった。

悲しすぎる。


「蒼! プリンは毎日作るのじゃ!」

「え? 毎日食べる物じゃないでしょ」

「毎日食べたいのじゃ! 意地悪するな!」

「意地悪じゃないでしょ」


 むぅ…… 沢山そこにあるではないか。けち!

でも、きっとじぃ達に渡しても余るじゃろ♪


「いつ集まりに行くのじゃ?」

「夜の6時くらい」

「まだまだじゃのぉ…… プリン腐るのではないか?」

「心配しなくても冷蔵庫入れておくから大丈夫よ」

「むぅ!」

「むぅ! じゃないでしょ! 食べたでしょ!」

「はぁ~」


 粘ってもダメな用じゃ……

ここでは妾のわがままは通じないのじゃな。

それから時間まで、畑を耕したり、鶏の世話をする妾達。


「じゃあそろそろ時間だけど…… 」

「なんじゃ?」

「なんかよく考えたら年配の方にプリンて変じゃない?」

「別にいいじゃろ…… 余ったら妾が責任を持って処置をする!」

「ハンナが食べたいだけでしょ!」


 また、くねくね蒼が始まると思ったけど復活したみたいじゃのぉ……


「向こうで変なこと言わないでよ! プカプカ浮いたりするのもダメ! 」

「はぁ~。蒼は口うるさいのぉ……」

「じゃあ行くよ」


 落ち込んだりギャーギャー言ったり、蒼は大変じゃのぉ。

自分の好きなようにしたらいいものを。

ジメジメしておるが、夜は風が吹くと気持ち良い。

蒼がまた道の途中で猫を見つけ、「あ、猫だ」と言っておる。

蒼はもしかしたら猫が食べたいのかも……


「おぉ! あそこが集会所か。人が沢山おるのぉ」

「田舎だから少ないでしょ」

「それでも沢山おる、ご馳走の予感じゃ♪」

「ご馳走無いわよ、ほとんどお酒のおつまみ、ばっかりだったよ」

「なんということじゃ…… 」

「だから私のプリン変かも……」


 くねくね蒼になっておるがそれどころではない。

ご馳走がないじゃと……

これはパーティーじゃなかったのか。

こんな事ならお昼ご飯ちゃんと食べるべきじゃった…… 



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