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傲慢なお姫様と孤独の少女  作者: 白ヤギ
13/15

13 ハンナ魔法について考える

 蒼のやつ急に何を言っておる。

普通の会話で蒼の方がこんなこと言うなんて思ってなかったのじゃ。

うれしくて泣きそうになってしまった。

顔も真っ赤かのう?

こんな弱い自分の事を大切と言ってくれた。

肝心な時に魔法も使えぬのに。魔法を使えない時は怖い。

この世で自分が必要の無い人間に、まるで無価値であるように感じてしまう。

いつもは要らぬと思っていたこの力を……


「はい、ハンナ茶碗蒸し」

「むぅ…… ありがとなのじゃ」


 しかしこの茶碗蒸しもうまいのぉ。

初めて見た時は、プリンのがいいとごねたが食べてみたら、うますぎだった。

おかずプリンと呼んでおったが、茶碗蒸しというものらしいのぉ♪


「雨がすごいのぉ」

「ね、ハンナちょっといい」


 蒼の手がおでこに当てられる。

うむ、落ち着くのぉ~、む? もう終わりか。


「手で触ったけど全然分かんないや、ごめんもう一度体温計持ってくるね」

「むぅ?」

「いやなんか、こうすると分かるみたいだけど、私には無理だった」


 何がしたかったのじゃ? 時々不思議な事をするのぉ。

この棒を脇に挟むと何が分かるのじゃ?まぁよいか。


「ほぃ、ピピピピピと、鳴っておるぞ」

「う~ん、37.2℃ ね、下がってるよ」

「ほ~」

「なんか寝てたら治りそうね、よくなってるよ」

「ふむ、蒼は医者だったのだな」

「違うわよ」


 ふむ、蒼の知識は深いのぉ~

そういえば心なしか体も楽じゃ。


「汗かいたから服着替える? 今日はお風呂やめときなね」

「むぅ、蒼今日は着替えさしてくれ」

「何甘えてるのよ……」

「爺はいつもしてくれたぞ!」

「はぁ~しょうがないなぁ~」


 ぶつぶつ言いながらも今日の蒼は優しいのぉ~♪

ふむ、汗も拭いてもらいさっぱりじゃのう。


「ハンナ寝れる?」

「ずっと寝ておったからのぉ」

「とりあえず横になってなよ」


雨が強いのぉ〜家もキシキシ揺れておる。

蒼も畑が気になるのかのぉ?


「魔法なんかいらぬといつも思っておったが、肝心な時に使えぬとやはり不安じゃ」

「そうなの? 私はいつも使えないから分からないけど……」


 蒼に指摘される前から、うすうす気づいておった。

妾の力は皆に恐れられているという事を。 

子供の頃から自分に力が無ければもしかしたら、友達が出来るんじゃないかと母上に何度も泣きついた。

その度にハンナにはいつか本当の友達が出来るからと、励まされておったが……

その言葉を聞く度にそんな訳はないと思っておった。

何度も自分の魔力を憎んで、暴走するたびに恐怖して逃げる事しかできなかった自分。

悪いのは自分自身だったのに……それを魔法や父上のせいにして……


「蒼、妾は元の世界に戻ったら、父上と戦う」

「え? 急にどうしたの?」

「少しでも国を良くするために頑張るのじゃ」

「うん……頑張って! でも……もうすぐいなくなっちゃうの?」

「まだまだじゃ……なかなか魔力と調和が出来ぬからのぉ」

「そうなんだ♪ プリン食べる?」

「うむ、もらおう」


 蒼との別れはいつか来る、悲しい事だが……戻って妾にはやらなければいけないことがある。

もう自分の魔法には怖がらず向き合わなきゃいけないのぉ。

壊す力ではなく守る力を、涙流してる者を笑顔にする力を。

きっと妾の力にはそれが出来るはずだからのぉ……


 むぅ? ドアのほうが騒がしいのぉ、誰か来たのかのぉ?

こんな近くに来てもなお、探知が働かない。

よっぽど魔力がうまく練れてないのだろうな……魔法を使う事態にならなければよいがのぉ……

雨も風も酷くなってきておる。

 

蒼がどたばた戻ってくる。

胸騒ぎがするのぉ……

「ハンナ! ちょっと出てくるね」

「何を言っておる、こんな時に!」

「山田さんがいなくなったみたいなの、なんか私達を心配して見に行くって、出ていってから……」

「ふむ、ちょっと待っておれ」


 魔力を集中がうまくいかぬ、こんな大切な時に何をしておる、情けない。

じぃの波長は記憶しておる。なのに妾の魔力の波紋が広がらぬ……


「ハンナ、無理しないで?」

「今無理をしないでいつするのじゃ!」

「ハンナ……」


 そんな心配そうな顔をするな。

大丈夫じゃ……波紋を広がるイメージ


『サーチ』


 痛っ……初期魔法のくせに酷い頭痛じゃ。

だが何とかわかった、初め蒼と出会った時の排水路の辺りじゃ。


「ハンナ、すごい汗よ!」

「心配するな……じぃは初めて会った時、蒼が掃除しておった排水路の辺りにおる」

「ありがと! ちょっと見てくるね!」

「待つのじゃ! 妾も一緒に行くのじゃ!」

「何言ってるのよ…… 外はすごい雨だしハンナ顔真っ白よ!」

「心配するな、さっき国を良くするために頑張るといったばかりじゃろ。

 たかがじぃ一人妾の魔法でちょちょいのチョイじゃ」

「無理しないでね……」


 蒼に用意してもらった雨具を着るが体がふらふらする。

足手まといになるかもしれぬが、もしものことがあれば蒼が後悔するじゃろう……

蒼のそんな顔見たくはない!

蒼自身の体も心配じゃ。


「蒼、行くぞ!」

「うん……無理しないでね」


 ドアを開けると、外は風と雨が強く視界が悪い。

蒼を見失わぬように必死に後を追う。


「ハンナ? 大丈夫?」

「うむ……」

「手を繋ぐよ」


 蒼の体温が伝わってくる。

妾に熱があるせいか蒼の手は少しひんやりしておる。 

震えておるのか? 

大丈夫、いざとなったら魔法があるから心配するな……

ブログ始めました@w@

よかったら見くください><ノ


http://ameblo.jp/siroyagi0

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