10 ハンナ売り場につく
意外に準備は大変だったけど、いよいよ今日じゃのぉ〜。
蒼の考えた袋に書いてあるマークも可愛いのぉ♪
しかしどこかに見たことあるような絵じゃのぉ……
「ハンナ、準備大丈夫?」
「むぅ? 野菜も卵も玄関に置いたし…… 蒼! 弁当は大丈夫かの?」
「うん、お弁当よりもいろいろ忘れたら困るものあるでしょ?」
「無い!」
「本当に大丈夫かなぁ」
蒼は相変わらず心配性じゃのう。
昨日から蒼が何度も確認してたろうに。
む? じぃの車の音じゃ。何度か車というものに乗ってみたが、良いものじゃ♪
「ハンナ! 行くよ」
「うむ」
「結構たくさん野菜あるね」
「卵は少ないがのぉ……」
「すぐプリン作れって言うからでしょ!」
「むぅ」
じぃ達も手伝ってくれて荷物を運ぶ。
こっちに来てから妾も働き者になったのぉ♪
いや…… 皆これくらい普通の事かもしれぬ。
妾の世界ではまだ小さい子供も働いておった。
何も考えずに生きておったんじゃな。
「どうしたの、ハンナ?」
「む、考え事じゃ」
「え! ハンナ熱あるの? それとも雪…… いや地震!」
「何を言っておる! 妾は健康だし今は夏じゃ! 地震は…… 分からぬが」
むぅ! 蒼は失礼な奴じゃ!
「うし! ほいじゃあ車に乗って」
「あ、はぃ。お願いします」
「うむ、よろしく頼む」
「なんで偉そうなのよ…… 」
車に乗って道の駅という場所に行く。
今回はそこの駐車場の一角で売るみたいじゃ。
よく分からぬが楽しみじゃ♪
蒼は心配そうな顔だったり、ニマニマしたり情緒不安定だのぉ……
「ハンナ、大丈夫かな?」
「何がじゃ?」
「いや、売れるかなぁ…… と思って」
「ふむ、売れなかったら自分達で食べればよいじゃろ」
「まぁそうだけど……」
相変わらずじゃのぉ。
「蒼の自慢の野菜たちじゃろ? そんな風に思ったら野菜も可哀そうじゃ」
「ハンナ……」
「くねくね虫に野菜が食べられてしまう! 大変じゃ!」
「もぉ! ありがと……」
「なんじゃ、よく聞えぬ?」
「なんでもない!」
「もう一度大きな声で、ありがとう今日はプリン作るねと、言ってもよいのじゃぞ」
「聞こえてるじゃない、それに勝手に増やさないでよ」
蒼はこんな一言で元気になる。
村のみんなも蒼の事を気にかけておるのは分かる。
蒼も気づいておるのになぜそんなに怖がる。
妾も蒼が元気になればうれしい。
妾の声もいつかは蒼以外の人を元気にさせることが出来るかのぉ。
むぅ、車が止まった。
人が沢山おるのぉ。ふむ、野菜やらパンやらいろいろ売っておる。
楽しそうじゃのぉ♪
「蒼ちゃん着いたぞ。蒼ちゃん達の売り場はあそこのテントだから準備してなぁ~。誰か手伝いいるかぁ?」
「と、とりあえずは大丈夫です。ハンナと準備します」
「うむ♪ 運転ご苦労じゃった」
「だからなんでそんなに偉そうなのよ!」
「いたっ、頭を叩くな」
「蒼ちゃんいいよ、じぃはお役にたてて光栄です」
「うむ、気にするな」
「こら! ハンナ!」
「逃げるのじゃぁ~♪」
蒼と一緒に野菜や卵を並べる。
卵は5個入りが2袋しかないがのぉ……
蒼のプリンが美味すぎるのがいけないのじゃ!
「ハンナ…… 卵5個で300円て高くない?」
「むぅ…… そうかのぉ?」
「むしろ蒼の野菜が安すぎる気がするの~」
「初めてだし、周りより少し安めのがいいかなって」
「ふむ……」
なるほどなぁ。
蒼はいろいろ考えておるんじゃのぉ。
「売れるといいね、ハンナ♪」
「うむ♪ 売れるじゃろ」
そろそろ開店じゃ♪




