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異世界転生したら暴れるしかなくね?  作者: また懲りずに書いておりますがなにか?
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転生直後編

まだ、続いております。肩の力を抜いてお楽しみ頂ければ幸いです。それではどうぞ!

ーー熱い……⁉。


あまりの暑さに俺は飛び起きた。


「ーーうわわわっ⁉び、びっくりした〜」


「ん?」


後ろを振り返ると、色黒で短髪の16歳前後の少女が驚いた表情で立っていた。


「……貴様は?」


「え?あ、あたし?あたしはキャル。冒険者のキャルよ。あなたは?」


「俺は……ーー」


俺は首をかしげる。


「なによ。もったいぶらないで早く言いなさいよ。恩人を目の前にして、名前も言わないつもり?」


不服そうな態度をとる少女キャル。


「いや待て。名前が分からんから答えられねえ」


「はあぁぁぁっ⁉」


俺の返答にデカイ声を上げるキャル。


俺は思わず痛くなった耳を抑える。


「うるせえな。鼓膜が破れるだろうがっ!」


「あっ、ごめん。じゃないわよ!名前が分からないってどういう意味よ!」


えらく憤慨している様子のキャル。全く意味が分からん。


「バカかお前?名前が分からないっていう意味さえ知らんのか?帰って語学の勉強でもして来い」


「なっ⁉あ、あんたねえ!」


なぜかさらにキレ始める。


「恩人をバカにするのも大概にしなさいよねっ!あたしは狩り場で倒れてるあんたを担いで安全なここまで運んであげたのよ⁉もっと感謝してこそすれ。悪く言われるいわれはないわっ!」


……なるほど。この女は勘違いしているようだ。


「分かった。その件については感謝する。だが、マジで名前は言えない。いや、分からないんだ」


「何を訳の分からないことを言ってーー」


「あー、だから!自分の名前が思い出せないっつてんだよ!な?分かるか?記憶喪失だよ。き・お・く・そ・う・し・つ!!」


「え、ええっ?ええぇーーーーーーっ!!??」


本日二度目の大声を出すキャルは信じられないとばかりに盛大なリアクションを見せた。


「これでもまだ文句はあるか?」


「え、いや……でも。記憶喪失って、ねー……本当に?」


「しつけえな。本当だってな」


「そ、そっかあ。そ、それだったらしかたないわよね。……あっ!」


「なんだ?」


「そういえば、あんたを助けた時にあんたのリュックがあるのよ。なにかヒントになるものでもあるんじゃない?」


「なにっ?それを早く言えバカ女っ!」


「ちょっ⁉バカ女は辞めなさいよ!もうっ……はい、これがそのリュックよ」


「お前、素直だな」


「うっさい!……で?中になにが入ってんのよ?」


「ん、ちと待てよ。えっと……?」


キャルから受け取ったリュックを開けて中身を確認してみる。


変わった物を挙げると、分厚い書物が二冊。見たことのない世界地図が一枚。それと金貨とおぼしき硬貨が入った袋が三つと、子どもの頭程の大きさはある何か分からん卵が一つ。である。


結局、自分の名前などが分かる情報は一つもないようだ。ーーと。


「う、うそっ⁉金貨が三百枚相当ある!あ、あなた一体何者よ⁉」


驚きで目を丸くするキャルに苦笑で返す。


「はっ。知らねえな。で、そいつはそんなに価値が高いのか?」


俺は金貨をアゴで指す。


「あ、当たり前よ!なんと言っても。金貨一枚で最高級宿舎で一月は遊んで暮らせるって聞いたんだから!あたし、金貨なんて久々に見たわよ!」


「ほう……そいつは確かにすげえな」


「一般庶民は銀貨でさえ、なかなか手に入れられないんだからっ!」


と、興奮したキャルは金貨の袋をうっとりと眺める。


不覚にも、そんなキャルが綺麗に見えて、思わず彼女の顔から目を背ける。


キャルはそれなりにレベルの高い美少女だと思う。さらに、彼女の色黒の肌は汗で艶めかしくテカっており、凛とした瞳は蘭々と輝いている。


「なあ、お前から見て。俺はどう見える?」


「え?も、もしかしてそれって。……あ、愛の告白っ⁉」


なぜか頬を染めて見つめてくるキャル。


「ちげえよバカ。そうじゃなくてだな、俺がどんな感じの顔で何歳くらいに見えるかと聞いているんだ」


てか、今の台詞をどう解釈すればそうなるのか。はなはだ疑問だ。


「あ、え。そ、そういうこと?そ、そうよね!あ、あははっ。ちょ、ちょっと待ってね。あたし、鏡を持ってくるから!」


キャルはそう言うと、足早に何処かに駆けて行った。


……あいつ、どこに行く気だ?お前の持ち物もここにあるはずなんだが……?


どうも女のすることは良く分からん。まあどうでも良いが。


勝手にキャルの荷物を漁るのは失礼だと思った俺は、退屈しのぎに二冊の分厚い本を手にとる。「カルバニアン聖伝辞典」と書かれたものと「魔法術式解説教本」と書かれたものである。


俺は「カルバニアン聖伝辞典」の本を開いた。


およそ400年前、この世界の創造主。ウクヌルス大女神は世界をカルバニアンと名付けた。ウクヌルスは世界に、人間・獣人・エルフ・竜人・モンスターなど多種の生物を生み出し。これらを共存させた。


カルバニアンは大きく五つの大陸に分けられた。北は人間が多く生活し、東は獣人が、南はエルフが、西は竜人が、そしてその中央にモンスターが棲息するようにした。


と、まあ序文はこのような感じだ。どうも俺は本を長く読めないらしい。面倒くさいしつまらないのだ。


なので、気分を変えて、今度は「魔法術式解説教本」の本を開く。


ふむ。見たところ多種類の魔法の使い方を紹介する本だ。


パラパラとめくっていくと、俺にとってかなり役に立つ項目を見つけた。それは「ちょー便利!面倒な事を一瞬で記憶する方法!」である。


魔法はイメージで発動するらしい。自分がしたいことと、その術式である魔法陣を頭の中に描くことで発動する。


俺は取り敢えず、楽に記憶する事と教本に書かれている複雑な魔法陣を頭の中で思い描いてみる。ーーと、なんとなくだが頭が若干熱くなり、パチンと何かが弾けるような感覚を感じた。それは魔法が発動した合図だった。


早速俺は教本をペラペラとめくってみる。


「……うお!、これやべえぞ!すらすらと頭に入ってくる!」


教本の次は「カルバニアン聖伝辞典」の内容を全て把握した。


完璧に二冊の分厚い本の内容を記憶することに、結果一分も時間を使わなかった。これは脅威的だ。


二冊の本を持っているのも重いだろうから、俺は本を燃やしことにした。


自分以外のやつが、この本で悪用しないために。


そうは言っても、この魔法を使えるやつはそうはいないだろう。


なぜなら、これは何度の高い無属性魔法だからだ。魔法は、火・水・風・雷・光・闇・無の7属性存在する。無属性意外は簡単にイメージを具現化しやすいものだが、無属性魔法は目に見えない物を具現化させる必要があるからだ。


例えば空間魔法。瞬間移動や転送など。主従契約魔法など。さらには、なにもない空間から物を創り出すことすら出来る。まさになんでもありな魔法である。


それをする事が出来る俺は、かなりの天才であることがうかがえる。決して過大評価ではない。


キャルが言った通り、俺は本当に何者なのだろうか?


「ーーあ、あのっ。おまたせっ!」


「お、キャルか。お前なをにしに行ってたんだ?」


息を弾ませて戻ってきたキャルはそっぽを向いて答える。


「べ、別に良いじゃないっ。か、鏡だったわね。今出すからっ」


そうやって自分の荷物に駆け寄るキャルを俺は引き止める。


「いや、それはもういい」


「え?いいって……。まさかあんた!あたしの荷物に手を出したわねっ!この変態っ!」


「してねえし変態言うな!……だから、お前の鏡は必要ないっつう意味だ。ほれ……」


俺は手元のなにも無い空間から、スッと鏡を創り出した。が、少し失敗。写るということを考えすぎた結果、鏡の柄とふちを取り付けられていなかった。すると、俺のしたことにキャルは大きく反応を示した。


「えっ?え⁉もしかして今の!無属性魔法じゃないのっ?どうして出来るのよ⁉」


「知るか。どうでも良いが分かっていることは、俺がとんだ化け物ってなことだ」


「化け物……?」


「ああ、本に書いてあった。無属性魔法は魔力を規格外に持ったやつが多いらしい。そういうやつは化け物だとな」


鼻で笑ってやると、キャルは俺の隣に腰を下ろした。


「……あんたは化け物じゃないわよ」


「あ?」


キャルは静かに、そしてしっかりと俺を見据えて、話し始めた。


「……あたしね。兄さんがいたの。もう五年くらい前かな?兄さんは言葉使いがとても悪くて、直ぐに手もでちゃう人だったの」


「お前の兄貴。死んだのか?」


「うん……。でね?兄さんはいつもそんな人だったから、村の人もお母さんお父さんも良く思っていなかった。兄さんはとても強かったからみんなに化け物だって言われてたの」


キャルは地面に視線を落として語り続ける。


「でも、兄さんが手を挙げる時はいつもあたしの為だった。あたし、よくイジメられていたから……。私を助けて兄さんは、いつも化け物呼ばわりされて、でも化け物呼ばわりされたことに怒ることはなかったの。それどころか、いつも「俺は化け物だからな」って認めてどこか諦めてた」


この女はなにが言いたいのだろうか?もしかすると、俺を励まそうとしているのだろうか?だとしたら全く意味のないことだと思う。


「ある日。兄さんはモンスターを狩る依頼で狩り場に行ったの。あたしは兄さんがどんな戦いをするのか、興味本意で追いかけた。そしたら、モンスターに襲われちゃってひどい目にあった。あともう少しで死ぬところだったあたしを兄さんが助けてくれた」


「それで兄貴は死んだというわけか?」


「うん。……あたしの所為で。兄さんはあたしに転移魔法で狩り場を脱出させてくれた。その同時に兄さんはモンスターに食い殺されたの……」


「ふん。で、なにが言いたいわけだ?」


俺の問いにキャルは笑って答える。


「化け物って要は捉え方次第なんじゃないかなって?村の人たちから見たら化け物でも、あたしを守ってくれた兄さんは、あたしにとってヒーローだった。そして、兄さんを食い殺したモンスターはあたしから見て化け物に見えた。でも、モンスターは自分の子どもを守る為にそうしただけ。モンスターの子どもからしたら、親はヒーローだったんじゃないかな?」


なんだそれ。


「結局、化け物にしか見えんやつからは化け物に変わりねえじゃん」


「だから捉え方だって!ヒーローにしか見えない人から見たらヒーローに変わりないってことだよっ!」


「だが、俺は誰から見ても英雄でもなんでもない。じゃあ化け物だろ?」


あれ?俺はどうしてこんな論議を真面にしているんだ?なんかの価値に変わるわけでもないくせに……。


「あんた、結構バカなんだね。じゃあなにか化け物らしい事でもしたの?その事実がない以上、あんたは化け物でもヒーローでもない無属性魔法が使えるただの人間じゃない!」


「アホか。俺は戦闘狂だぞ?」


何故か分からないが俺はそう思う。


「だとしてもそれも捉え方。なにかちゃんとした理由があったんじゃないかしら?」


こいつはあれだ。ああ言えばこう言うといった感じのやつだ。拉致があかない。もうどうでも良いか。


「ふんっ。お前の言いたい事は概ね分かったとしよう。だからこの話は終わりだ。問題はこれからどうするかだ」


「……まあ良いわ。あんたにはあんたの考え方があるんだし」


少し不満そうなキャルだったが、一応この話は一段落つけるようだ。


「ここはモンスターが多く棲息する中央大陸だな?」


「ええそうよ」


「依頼は達成しているのか?まだ残っているのなら手を貸すが?」


「結構よ。もう済んでいるから。あとは帰るだけ」


「そうか、なら俺を貴様の住んでいる所まで案内しろ」


「横暴ね。まあそのつもりだったから良いんだけど……。じゃあ行くわよ!」


キャルが住んでいるのは人間が多く住んでいる北大陸だと言う。


まあ、取り敢えずあれだ。この女に着いていって、自分探しでもしてみるつもりだ。記憶なんてそのうち戻って来るだろうしな。


「なに、まだボサッと座ってんのよ!早く行くわよ!あんたの所為でこっちは時間が無いんだからっ!」


「うるせーな!今、行くところだったろってな!」


さて、俺の記憶ってのはどんなものか。ちょっくら探しに行って来るってな。


灼熱の狩り場をあとに、俺はキャルの隣に並んで歩いて行くーー







と、いう感じです。著者も退屈しのぎに書いているだけですので。難しい事は考えずにこれからもお楽しみ下さいますようよろしくお願いします。


さて、少し告知ですが、今回まだ拾っていない、謎のたまごに着いて触れさせて頂こうと思います。ではではまた後ほど……。

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