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幕間

ようやっとPCが届き、設定その他もろもろ終えて投稿できました。これからもよろしくお願いします。

 夜の帳が降りた頃。カーテンの隙間から射す月光に滲み照らされる男女。密会であっても蜜会では無い。漂う空気が乾いていた。

「興味が湧いたんか?」

「それは当然だよ、会長」

 八重の会長が興味なし気に七瀬へと問う。だが、彼女は興味津々に高らかに返す。

「あんなイレギュラーな戦術が浮かぶんだ。気にも留めない方がおかしい」

「言うて、アレが考案したかなんて解るんか?」

 ほんの数分前まで携帯端末にメールと共に添付されていた映像ファイルを興味もなく淡々と流していた八重の会長は客観的にしか知らないためにそう口にする。

「クフフ。駄目だよ会長。そんな早漏じゃ――おっと間違えた早計じゃあ」

 八重の会長がピキッと青筋が浮かべるが、無視すると次を促した。

「あのグループ内は名家で溢れていた、馬鹿ではないにしろ彼らは常に王道を歩むタイプ。そんな彼らが何かしらの影響を受けてあんな作戦を行動に移したんだ。ならあの中で違和感があるとすればあの少年――更級夜斗しかいないじゃないか」

 ――あの戦闘。流石人殺し……ますますイイ男になってるじゃあないか。

 気付かれない様に顔を手で隠すと獰猛な笑みと愉悦に浸った瞳を浮かべた。

 一方的に夜斗のこと知る七瀬は、彼の成長が堪らなく嬉しかったのだ。

「ああ、わーったわーった」」

「それをな……おいおい、ここからなんだが?」

「ええわ、もう。お前の顔、見たら解んねん」

 視界にすら入れていないのにそれこそ何が解るんだ、と言いたい七瀬ではあったが、ふと部屋に置かれた姿見が映った。そこにはひどく緩み切っている間抜けとも形容できる自分の顔があった。

 ――なるほど。そこで見てたのか。

 もしかしたら隠したであろう表情すら知られているかもしれないが彼の場合、心底呆れて興味がないと言った様子だ、ここで〝取る〟ほどではない。寧ろ興ざめだ。

 ――いやはやどうにも面白い、学生っていうのは……。

 

                   □


「弥君――〝力〟を使ったよね?」

 録画されていた【クリーク】を流し見していた唯が、不満な目を向けてきた。

 映像自体におかしな点はなく、各異能者も違和感はない。それでも唯が感じ取ったのは流れの規則的な不規則性。

「……」

「使ったよ、ねッ?」

 顔を背けていた弥を、無理やり顔を合わせるために頬を引っ張る。

「ひはひ、ひはひっへ」

「で、使った理由は?」

「え、もう疑われすらしないのか」

 半眼で可愛く睨みつけてくる唯の顔を堪能したいのは山々だったが、彼女が時間をかけたところで折れる姿などあり得ない、それこそ時間の無駄遣いを起こしてしまうと判断し弥は真面目な口調へと移った。

「あれだけ名家が固まった、何かあると踏んだんだよ。特に九十九学園生の黒髪の少年。あれは僕と同種だけど、違う。得体の知れない存在。だから彼を中心として能力を使った。そうしたらあの結果だ。おそらく全員がわだかまりを抱えたまま終了したと思う。ただ一人を除いてね」

「――柳生の子ね」

「そう。彼女は僕の能力を消したけど彼に掛かった能力の影響下からは出られなかった。ただ、少年の何かを消し去りはした。もしかしたら、そもそもとして僕の能力を無力化する予定も無かったんじゃないかな」

「でもただの学生が弥君の能力を無効化なんて」

「ああ、普通は出来ないけれど、彼女の場合は違う。ほら、腿に巻いている刀。あれ」

「じゃあ彼女も――」

「僕らと同じ領域にまで足を踏み入れているんだよ」






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