13話
「ひ、卑怯だぞッ。そっちだけ強い奴ばっかでチーム組みやがって」
焦り、怒り、それらを実力不足という現実を覆い隠すための蓑として、さも正論のように叩きつけてくる。
「実力が拮抗するようにこの徽章でオーラの調整がされているのだけれど?」
対面する少女――南条葵もまた身に宿す怒りや焦燥を正当化するように誇示するように、尻餅をついている男を見下す。
ほんの数分前の戦闘ではなかった力任せのそれこそ【強化】らしさがみえる異能の使い方。
「まあどうでもいいわ、もう。貴方が【フューラー】なのは承知済みというより、言動から出てくるお山の大将感が否が応でも匂わせてくる。醜い中身を覆うための香水みたいに、ね」
蒼天へと右手を翳す。時間をかけて小指から順繰りに折り親指で最後に被せると一瞬で解く。
抑圧された熱が放射されるように手の平に小さな太陽が降臨した。
「消えろ」
「ぁあああぁぁ、ぁあああああああッ、ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!」
絶叫が木霊し、爆風が木々を薙ぎ倒し、轟音が終幕を降ろし、熱が冷めていく。
甲高い終了音が響き渡ったが、葵の心中に根付いたものが掻き消えるわけではなかった。
□
終わりの鐘が夜斗の鼓膜を震わせた。
急く必要など微塵もなく、ただただ無慈悲に告げられた。
誰もが臨んだ結果を得られず、さりとて最悪とは言い難い。不完全燃焼の内に幕が下りたのだ。
「さて一通り終えたけども、満足いった結果を得られたかい? それとも不満が募ったかい? ただし不平だけは謳わせないよ」
一同が介した時、弥が相も変わらずな調子で口にした。
「もしさっきので満足したなら、君達は頂点もしくは終着点。不完全燃焼ならそれで良い。成長の見込みがある――さあ帰ろう今日はお終いだ」
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追記 3月頭にpcが逝ってしまい、執筆できない状況になっています。再開は月末か4月頭になりそうなので、待ってくださっている方々にはとても申し訳ない気持ちで一杯です。




