20話
どうもお久しぶりです。
一月半ほど相手の最新話投稿です。構想は出来てる、次のプロットを練っているなど言いながらこれだけ期間が空いたのには(言い)訳があります! リアルが忙しかったのです。
ええ、それはとてもとても………………――――――――8月末に出た某ゲームをやり込んだり、某オンラインTCGでランクを上げるのに必死だったり、唐突に観たくなったアニメをマラソンしたり、『君の名は』を観に行ったり……もう粉骨砕身、遊び尽くすのに一杯でした。
そのせいで? お蔭で? リアルの友人から蹴られ殴られ(まあそれだけ楽しみにしてくれているので嬉しいのですがw)中々に充実した夏でした!
「もう大丈夫か? ……って聞くまでもないか」
病院の出入り口付近にある柱に背中を預けていた空御。いったい何時から居たのか定かではないが、夜斗が出てきてから見つけるなり彼は肩を竦めた。心配事が消え去ったからだろう。
「ああ。これから黒須先輩に会いに行く。……手伝ってくれるか?」
「ダチの頼みだ。任せろ。な、悠霧」
柱の陰から申し訳なさそうに悠霧が現れる。彼女の事だから力になれなかったことを悔いているのだろうが、それは相手が上手だっただけで彼女が持つべき責任は無い。
そもそもとして神殿の存在を認知していても、入るための手順を簡略化されているのは璃音と夜斗のみだ。一応、空御と悠霧も許可されているが、全ての手順を踏む必要がある。早くても数時間はかかるのだから、四月朔日が侵入し、キューブを盗み逃走するまで数十分だった。どちらにせよ無理な話だったわけだ。
「なぁ悠霧。俺にはお前が必要だ。力を貸してほしい」
だからこそ取り戻すため、この瞬間のため彼らの力が夜斗には必要不可欠。
親しき中にも礼儀あり、と夜斗は照れも恥じらいもなく真摯に頭を下げた。その口調に熱は感じられないのは、嵐の前の静けさと言わんばかりに抑えているからだった。
その内に秘めた思いが通じたのか、はたまた彼女が夜斗のためにもう一度動けると言うことへの歓喜かは知らない点だが、悠霧がその豊満な胸が跳ねるほどに大きく頷いた。
夜斗の動機と仲間の承諾。動く材料、動ける支度は済んだ。
問題は敵の強さ。
夜斗は内心で唸る。九十九学園の封印は璃音と彼女と遜色のない異能者によって多重の結界と封印を施している、にも関わらず四月朔日宗二郎はそれをこじ開けた。何年にも渡って準備をしていたのだろうと考えるが、それでも一人で解くには無理がある。バックに大きな組織があるのは明白だ。
だがそんな些細なことはどうだっていい。なにせ夜斗の目的は才華の元へと行き彼女との対話である。ただその道中の敵をどう対処するかが問題なだけだ。当然その妨げになる四月朔日宗二郎を無力化することが重要である。その過程で黒幕が出てくればそれも倒せば済む話。
ならばどう倒すか。最悪殺すことになっても問題はない。敵は犯罪者だ。情報と手段を整理しながら夜斗はプランを組み立てていく。今度は失敗が許されない。トランプで果てしなく高いタワーを作る気持ちだ。
「二人とも、敵は陥落街の方面に居る。目的は言わずもがな――」
「また、物騒なことを……というか、学園を狙ったやつらが、あっちに行くのは適当か」
空御の呆れに夜斗と悠霧も同調する。
国軍所属の空御は末席と言えどキューブと言う存在と価値は熟知している。だからこそ、学園内において、記憶の操作対象から外れたのだ。
悠霧の方も、親族が警察関係の重役に座っている者達。空御程ではないにしても情報程度は掴んでいる。
相手方にしてみれば目的の半分以上はもう終わっているも同然。後は陥落街での仕事を終了させれば万々歳だろう。
それを阻止するために動けるのは夜斗の把握している限りは自身と友人二人。国家の犬様は各所で被る被害現場で奮闘するだろう。
悠霧や空御の家のコネクションを使えばいくらかの人員は割けそうだが、二人の実力より劣る人材は夜斗にとっては足手まといもいいところ。
帰結した答えに内心で頭を振ふる夜斗。
「それなら、早く向かわないと危ないですね」
悠霧の危惧をあざ笑うかのように、闇夜に肌を焼くような強大な力を感じ取った。
夜斗の心に折り目はついた。もう後戻りはしない。
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