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18話

今日は稀にみる二話投稿です。

夜斗は神殿への侵入者を知らせる警報が璃音と同じく脳裏で響いた。即座に呪符を起動できず、数十分掛けてようやく神殿の中へと入ると、全てがボロボロだった。核シェルターよりも強度の高い内壁が崩れ、石畳の床には倒れ伏せた女性。

「璃音ッ!?」

 最初の一声はそれだった。

眼前の光景に意識が追い付かなかった。力尽き、地に這いつくばる璃音と、少しばかり焦げ破れた黒装束を纏う男。その男の顔には見覚えがあった。それどころかよく知る人物だった。

「……四月朔日――先、輩?」

「ああ」

 静かに頷いた。

 まるで関係ないように。

「夜斗、そいつを止め、カハッ――止めろ」

必死の形相で璃音が力無く叫ぶ。

思考が凍り付いている夜斗は意味が解らなかった。

――どういう、こと……だ。

何故、ここにこの人が居るのか。

何故、キューブが奥で眠っていないのか。

何故、璃音が死にかけているのか。

何故、そんなことを言うのか。

「でも璃音がッ」

「あたしのこ、とは後に……まわせ。さっさと、やれぇッ」

「……それはお勧めしない。早く、そいつを治療しないと間違いなく死ぬぞ。オーラの枯渇で抵抗値も下がっている。自らの呪いで侵されているのだからな……」

「――ッ!」

 璃音の身体が弱っているのは解る。その内部では、もっと悲惨なことになっていると、どうして彼が知っているのか。どこまで夜斗と璃音の関係、キューブのことを掴んでいるのか。

 一人でここまで手元に集めるなど不可能だ。特に夜斗の情報は名家である人間ですら真実を知ることはできない。それを四月朔日という男は把握している様子なのだ。ブラフや虚偽、虚勢ではない。

「俺は、俺には……璃音を放っては置けない」

 夜斗は璃音の元へと駆けつける。四月朔日がすれ違いざまにみせた笑みを凶器に感じてしまった。それでも、夜斗は璃音の義親の方を優先してしまう。彼がどれだけ危険な存在か承知しているにもかかわらず……。


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