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みんなの質問コーナー

あすか:「いやはや…ラウンド3での『神は死んだ』宣言、そしてラウンド4での宇宙と意識の探求…まさに、私たちの価値観や存在そのものが揺さぶられるような議論でしたね!この知的な激闘を受けて、視聴者の皆さんの心にも、たくさんの『問い』が生まれているようです。それでは、『みんなの質問コーナー』パート2、始めていきましょう!」(クロノスタブレットを軽快にタップする)


あすか:「クロノス、最初の質問は…?はい、来ました!ハンドルネーム『永遠の初心者さん』から、ニーチェ様へのご質問です!『ニーチェ様の永劫回帰の話、衝撃的でした…。でも、正直、もし本当にそうなら絶望しかない気がします。だって、失敗とか後悔も含めて、全く同じ人生を無限に繰り返すなんて…考えただけで辛いです。「肯定しろ」って言われても、どうすればそんな風に考えられるんですか?やっぱり「超人」じゃないと無理なんでしょうか?』…うーん、これは私もすごく気になります!」


ニーチェ:(目を細め、挑戦的な視線をカメラに向ける)「絶望だと?フン、それは貴様がまだ『ラクダ』だからだ!与えられた重荷をただ背負い、義務だの、諦めだの、来世の救いだのに心を縛られているから、この一度きりの人生を、その隅々まで愛し、肯定することができんのだ!」(立ち上がりかけるほどの熱量で)


ニーチェ:「いいか!永劫回帰を肯定するとは、単なる忍耐や諦めではない!自分の人生の全ての瞬間、その歓喜も、苦悩も、過ちも、後悔さえも…その全てが『この私』を形成するために必要不可欠であったと知り、『そうだ、これが必要だったのだ!』と、自ら望んで、創造的に選び取ることなのだ!それが運命愛アモール・ファティだ!」


ニーチェ:「超人とは、最初から特別な存在なのではない。この永劫回帰という最も重い思想に耐え、それを祝福へと転化できる強さを獲得した者のことよ!貴様も、ラクダの段階を超え、獅子のように既存の価値を破壊し、そして幼子のように無垢に新たな価値を創造するならば、超人への道は開かれる!」


あすか:「う、うーん…なんだか、すごく厳しいけど、でも、力強いメッセージですね…。永遠の初心者さん、少しでもヒントになりましたでしょうか…?」(圧倒されつつも、次の質問へ)


あすか:「さあ、続いての質問です!ハンドルネーム『星屑の私さん』から、今度はセーガン様へ。『セーガンさんのお話、分かりやすかったです。でも、科学的に考えると、やっぱり死んだら意識も何もかも終わり、ってことなんでしょうか?正直、ちょっと寂しいし、虚しい気もします…。あと、よく聞く臨死体験とかって、科学ではどう説明するんですか?やっぱり、あれは魂が体から抜けてるんじゃ…?』」


セーガン:(優しい眼差しで、落ち着いて語りかける)「星屑の私さん、そのお気持ちは非常によく分かります。死が完全な終わりだと考えるのは、誰にとっても寂しく、時には受け入れがたいことかもしれません。」(少し間を置いて)「現在の脳科学の知見に基づけば、私たちの意識、思考、記憶といったものは、脳という物理的な器官の複雑な活動によって生み出されていると考えられています。ですから、脳の活動が完全に停止した場合、意識もそれに伴って消滅すると考えるのが、現時点では最も科学的に合理的な説明です。」


セーガン:「臨死体験についてですが、これは非常に興味深い現象ですね。しかし、これも多くの場合、脳の機能が極限状態に置かれた際に生じる現象として説明が試みられています。例えば、脳への酸素供給が不足したり、特定の神経伝達物質が放出されたりすることで、光のトンネルを見たり、幸福感を感じたり、体外離脱感覚を覚えたりといった、特有の主観的体験が生じるのではないか、と考えられています。残念ながら、それが客観的に魂が体外に存在した証拠である、と結論づけることは、現在の科学ではできていません。」


あすか:「脳が見せる幻覚…のようなものかもしれない、ということですか?」


セーガン:「そう表現することもできます。ただ、」(少し言葉を選ぶように)「誤解しないでいただきたいのは、科学は『魂は絶対に存在しない』と断定しているわけではない、ということです。科学はあくまで、現時点で観測・検証可能な範囲で、最も確からしい説明を提示しているに過ぎません。意識の本質など、まだ解明されていない謎も多く残されています。科学者として、未知の可能性に対しては常に開かれた姿勢でいるべきだと考えています。」


プラトン:(頷きながら)「セーガン殿の謙虚な姿勢には同意する。臨死体験者の語る強烈なリアリティや、その後の人生観の変化などを聞くと、単なる脳内現象という説明だけでは、何か重要なものを取りこぼしているのではないか、という疑念も哲学者としては残るのだよ。意識というものの深淵は、我々の想像を遥かに超えているのかもしれん。」


イムホテプ:(静かに、しかし確信を込めて)「死の淵で垣間見るのは、来世への光、あるいは冥界の闇の警告に他ならぬ。魂の存在を疑うこと自体が、真理から目を背ける行為なのだ。」


ニーチェ:「フン、臨死体験だの魂だの…死に際の幻覚にまで意味を見出そうとするとは、人間とはなんと弱い生き物か!」


あすか:「うーん、科学的な説明と、体験した人の実感、そして哲学や信仰…いろんな考え方がありますね…。星屑の私さん、ありがとうございます。」(クロノスを見る)「まだまだ質問は頂いていますが、残念ながらお時間のようです。」


あすか:「永劫回帰を肯定する強さ、科学が示す死の姿と意識の謎…皆さんから寄せられた質問によって、議論はさらに核心へと近づいたように感じます。さあ、これまでの全ての議論を踏まえ、いよいよ最終ラウンドです。賢人たちは最後に、私たちにどのようなメッセージを投げかけるのでしょうか?」


(質問コーナーが終了。スタジオの照明が再び変わり、最終ラウンドへの期待感を高める、厳かで感動的な音楽が流れ始める)

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