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オープニング

(暗転したスタジオ。荘厳かつミステリアスなオープニングムービーが流れる。ピラミッドのシルエット、古代ギリシャのアゴラ、ニーチェの肖像、回転する銀河…それらが激しく交差し、「死後の世界」を象徴するようなイメージ映像が展開。最後に、燃えるような文字で番組タイトル『歴史バトルロワイヤル:魂の行方』が浮かび上がる)


(ムービーが終わり、スタジオが明るくなる。中央には、透明感のある白い衣装に身を包んだ司会のあすかが立っている。手には不思議な光を放つタブレット「クロノス」を持っている。背景には様々な時代の風景が融合したような幻想的な映像が映し出され、「歴史バトルロワイヤル」のロゴが輝いている。コの字型に配置されたテーブルには、すでに4人の対談者が着席している)


あすか: 「皆さん、こんばんは! そして、ようこそ。ここは過去と未来、あらゆる時代の記憶が交差する場所。『歴史バトルロワイヤル』へようこそ!」(可憐な笑顔でカメラに向かって手を振る)


あすか: 「私は、時を超えた物語の声を聞き、皆様にお届けする案内人、あすかと申します。」(ぺこりとお辞儀をする)「そして、こちらが私の頼れる相棒、クロノス。このタブレットが、今宵の特別な旅をナビゲートしてくれます。」(クロノスを軽く掲げてみせる。タブレットが一瞬、強く光る)


あすか: 「今宵、この特別な場所に、人類史にその名を刻む、偉大なる知性が集結してくださいました。皆様、ご紹介いたしましょう!」(あすかの視線とカメラが、一人目の対談者へ向かう)


あすか: 「まずは、遥かなる古代エジプトより… ファラオに仕え、神々の叡智を体現し、壮大なピラミッドを築き上げた伝説の宰相にして大神官! イムホテプ様です!」


イムホテプ: (背筋を伸ばし、厳かな表情でゆっくりと立ち上がり、胸の前で腕を交差させる独特の礼をする)「アンク・ウジャ・セネブ。(Ankh, wedja, seneb. - 生命、繁栄、健康あれ)」(低く、響き渡る声。その意味は画面に字幕で表示される)「この場に集いし者たちに、ラーの光とオシリスの導きがあらんことを。」


あすか: 「ありがとうございます、イムホテプ様。続いては、古代ギリシャより、哲学者の中の哲学者! イデアの輝きを追い求め、魂の不滅を論じ、西洋思想の礎を築かれた、プラトン様です!」


プラトン: (穏やかな微笑みを浮かべ、ゆっくりと頷く)「ご招待に感謝する、案内人殿。そして、共に真理を探求するであろう、他の賢人たちにも挨拶を。」(隣のイムホテプ、向かいのニーチェ、セーガンに視線を送る)「この対話が、我々すべてにとって、魂をより善きものへと導く機会となることを願っている。」


あすか: 「プラトン様、その理知的なお言葉、ありがとうございます。魂、まさに今宵のテーマに深く関わってきますね。そして… 19世紀ドイツより、『神は死んだ』と雷鳴のように宣言し、既存の価値観に激しく揺さぶりをかけた、孤高にして情熱の哲学者! フリードリヒ・ニーチェ様です!」


ニーチェ: (腕を組み、他の対談者を睥睨するように見渡しながら、挑戦的な笑みを浮かべる)「フン、時空を超えた見世物小屋か? まあ良い。退屈な永遠よりは、一時の狂騒も悪くあるまい。」(あすかに鋭い視線を向け)「案内人よ、この茶番…いや、討論とやらが、我輩を退屈させぬことを期待するぞ。」


あすか: (一瞬たじろぐが、すぐに笑顔で)「ニーチェ様、ご安心ください。きっと、あなたの精神を躍らせるような、刺激的な時間になるはずです。クロノスもそう予言しています。」(ニーチェは鼻を鳴らす)


あすか: 「最後に、人類が星々へと目を向け始めた時代、20世紀アメリカより! 無限の宇宙コスモスの神秘を解き明かし、科学の言葉で私たちに語りかけた天文学者であり、偉大なコミュニケーター! カール・セーガン様です!」


セーガン: (人懐っこい笑顔で、他の全員に軽く手を挙げてみせる)「これは驚きました。信じられないような顔ぶれですね。まるで夢のようです。案内人のあすかさん、そしてクロノス、この素晴らしい機会をありがとう。」(目を輝かせながら)「イムホテプ様の古代の知恵、プラトン先生の哲学、ニーチェ氏の鋭い問い… 科学とは異なる視点から『死後の世界』を考える、またとないチャンスです。心から楽しみにしています。」


あすか: 「セーガン様、こちらこそ光栄です! まさに今宵は、古代の信仰、哲学、近代の懐疑、そして現代科学… あらゆる知性が交差する、歴史的な一夜となります!」(あすかはテーブルの中央に歩みを進める)


あすか: 「さて、賢人の皆様。今宵、我々が挑むテーマは… 人類がその誕生以来、問い続けてきた根源的な謎。すなわち… 『死後の世界』 です。」(スタジオの照明が少し落ち、テーマが強調される)


あすか: 「生あるものは、必ず死を迎えます。では、その先には何があるのか? 無か、それとも…? この永遠の問いに、皆様それぞれの時代、それぞれの視点から光を当てていただきます。」


あすか: 「皆様には、時を超えた特別な依頼として、事前にこのテーマ、そして今宵ご一緒される方々の偉大な業績や思想について、クロノスを通じてお伝えしております。準備は万端と伺っておりますが…」(あすかは問いかけるように、4人を見渡す)


イムホテプ: (厳かに頷く)「死と再生のことわりは、我らが神官の最も重要な知識。異邦の考えも、興味深く拝見した。」


プラトン: (穏やかに)「魂の行方については、生涯をかけて探求してきたテーマだ。他の賢人たちの考察を知ることは、さらなる思索の糧となるだろう。」


ニーチェ: (皮肉っぽく口角を上げる)「予習だと? フン、死んだ神の言葉や、星屑の計算なぞ、我輩の哲学の前では児戯に等しいが… まあ、反論の準備にはなった。」


セーガン: (微笑んで)「ええ、実に刺激的な予習でした。特に、これほど多様な死生観が一堂に会するとは… 科学者として、知的好奇心を大いに刺激されています。」


あすか: 「ありがとうございます! さすが皆様、準備万端、闘志もみなぎっていらっしゃるようですね!」(クロノスを操作する)「それでは、まいりましょう! 長い長い人類の問いへの旅へ… 『歴史バトルロワイヤル:魂の行方』、いざ、開幕です!」

(ファンファーレのような効果音と共に、スタジオ全体が明るく照らし出される。カメラがあすかと、これから始まる激論を予感させる4人の対談者の表情を捉えて、第一ラウンドへと続く)

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 始まる前に質問をひとつ。  いつも呼ばれて来ているゲストたちですが、彼らってどういう扱いなんでしょう?  生存中の過去の人物の召還?  死者の魂の疑似実体化?  過去の記録から模倣再現した虚像?  …
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