第5章96話:ラスボス戦5
「というわけで、お前を死ぬまでタコ殴りにする。殴られながら、辞世の文句でも考えとけや」
「――――――――――」
ルシュトが走り出す。
敵わないと思ったか、逃亡を始めたのだ。
しかし、ルシュトの前にラミアリスが立ちはだかる。
「ふン!」
「があぁっ!!?」
ラミアリスが前蹴りを食らわせた。
ルシュトが尻餅をついて、うずくまる。
俺はルシュトに近づいた。
「ま、待ってくれ!!」
とルシュトが必死の形相で叫んだ。
「ゆ、許してくれ!! 俺が悪かった!! スキルを奪ったことも謝る!! あんたに一生つぐないをする!!」
そしてルシュトは土下座をしてきた。
全力で訴えてくる。
「だから許してくれ!! 死にたくないんだ。頼むッッッ!!!」
「甘えるなよ」
と俺は冷たく言ってから、ルシュトを掴んで立ち上がらせる。
そしてルシュトを、何度も殴りまくる。
「―――――、ぐぁあっ!!?」
「お前を倒しても、奪われたスキルは戻ってこない。俺は一生ルーカーだ」
「うぐっ! ぐがっ!!? ぐはっ!!!?」
「俺だけじゃない。お前にスキルを奪われたやつらはみんな、一生底辺として生きていくんだ」
「あぎっ!! ぐはっ!! あがああぁっ!!?」
「いまさら謝罪しても遅いんだよ。命乞いは認めない。せめてお前にできるのは、できるだけ無様に死んでいくことだけだ」
「ぎっぃいいいああああああああああああ!!!?」
ルシュトの膝をへし折る。
泣き叫ぶルシュト。
「パーフェク、ト……ヒィルウウウウウウウゥウッ!!」
必死の声で詠唱する。
ルシュトが全快した。
しかし、魔力を消費しすぎたか、疲労困憊といった様子である。
「ぜぇ……ひぃ……はぁっ……ぜぇ……ぜぇ……ぇ……はぁ……」
さらにぼろぼろと泣き始めるルシュト。
さすがに暴力の嵐に耐えかねたようで、ルシュトは泣き言を漏らしている。
「ひ、ひっぐ……うぐっ……パパ、ママァ……助けで……助けでぐれよぉ……」
……俺はこいつを許すつもりはない。
生かしておいても、どうせ復讐に来るだけだからだ。
スキルを封印できている今だけが、こいつを殺すチャンスなのだ。
だからこのチャンスを逃すことはない。
(そろそろ、いいか)
俺は、ルシュトのトドメを刺そうと思った。
アイテムバッグから、大剣を取り出す。
その大剣は、ユーゴーが使っていた武器―――【ユーゴーの大剣】だ。
ユーゴーの戦利品として回収したものである。
攻撃力が抜群に優れているとは言いがたいものの、ルシュトを斬り殺すには十分な武器である。
俺はその大剣を構える。
「終わりだ、スキルテイカー」
「ひっ」
ルシュトがビクッとする。
俺は大剣を振りかぶった。
「や、やめろ!! お願いだ、やめてくれぇッ!!!」
しかし俺は、その懇願を無視した。
大剣を振り下ろす。
ザシュッ、という音を立てて、ルシュトが肉体を切り裂いた。
「ご、ふ……」
血が噴き出る。
さらに俺はもう一度、大剣を振り、ルシュトの首を斬り飛ばした。
宙を舞う生首が、やがて地面に落ちる。
かくして、ルシュトは死に絶える。
ラスボス討伐が完了するのだった。
「お疲れ様」
とラミアリスが言ってきた。
「結局、あんたがほとんど一人で倒しちゃったわね」
「……今回は俺の復讐だ」
だから、これでいい。
ラミアリスが尋ねてくる。
「すっきりした?」
「……そうだな」
復讐を果たした歓び。
そしてラスボスを倒し、ゲームクリアを果たした達成感。
それらが俺の中で、渦を巻いている。
「でも……まだまだ先は長いからな」
ゲームは長い。
このゲームはエンドコンテンツが充実しており、本編よりもボリュームが多いのだ。
だからゲームクリアをした後も、旅は続いていく。
しかしスキルテイカーの討伐は、一つの区切りではある。
なので無事にルシュトを撃破したことを、今はただ喜ぼうと、俺は思うのだった。
―――――最終章 完
次回、エピローグ。




