第5章93話:ラスボス戦2
するとルシュトは笑い転げる。
「くく、ははははははははは!! ぶっ殺しに来た? 復讐に来ただと?」
「ああ。ちなみにこっちの女は別だ。スキルを奪われたのは俺のほうだ」
「あはははははは! 確かに、テメエはルーカーのようだな! ……いや、女のほうもルーカーか?」
ルシュトは階級判定魔法を使ったようだ。
ラミアリスのほうに視線を向けている。
「あたしはスキルを奪われたからルーカーになったわけじゃないわ」
「なるほどな。天然のルーカーかよ。まあどっちでもいい――――どっちにしろ底辺だからな!」
とルシュトは嘲笑する。
ラミアリスは吐き捨てるようにつぶやく。
「人のスキルを奪うっていうんだから、どんな性悪かと思ってたけど……想像通りのクズのようね」
俺は賛意を示す。
「そうだな。だが、ルーカーじゃないやつなんて、大抵こんなもんだ。それに、もう勝負はついてるからな。いつも通り、一方的にボコり倒して終わりだ」
「あ?」
とルシュトは顔をしかめた。
「勝負はついてるだと? 何を言ってやがる」
「そのままの意味だが?」
と俺は答えた。
ルシュトは考え込んだあと、ほくそ笑んだ。
「くくく。さっきの麻痺攻撃のことを言ってんのか? それならこの通り、とっくに解除できているが?」
「……」
「本当は麻痺攻撃のあとに、斬撃でも浴びせるつもりだったんだろ? だが、俺の立ち直りがあまりに速くて、攻撃を浴びせる暇がなかった。違うか?」
「違うな」
と俺は短く答える。
するとルシュトは一瞬顔をしかめるも、すぐに笑った。
「ぎゃははははは。強がりは大概にしろよ! まあ仮に強がりじゃなかったとして――――お前、わかってんのか? 俺は奪ったスキルを自在に行使することができる。今まで奪った100を越えるスキルを、どれでも使い放題ってことをな!!」
「使い放題じゃないだろ? お前が使えるスキルは3つだけだ」
「!!」
ルシュトは笑うのをやめた。
警戒の目で俺を見つめてくる。
「……どこでそれを知りやがった」
「さあな」
ゲーム知識で知った……
などと説明しても、伝わらないだろう。
だから適当にごまかしておく。
ルシュトはしばらく俺を警戒の目で見つめていたが、やがて不敵な微笑みを浮かべた。
「たとえそれを知っていても、俺に勝つことは不可能だ」
そしてルシュトは宣言した。
「ルーカーに落ちたゴミが、俺を殺そうだなんて、うぬぼれもはなはだしい。この世はスキルが全てであり、それを制した俺こそが史上最強であることを、いまにわからせてやるよ!」
「ああ。やってみろよ」
と俺は煽る。
ルシュトは笑みを浮かべた。
「最近手に入れたスキルをぶちかましてやる!! そのスキルの名は―――――【セラヴィデント】。名前だけだとどんなスキルがわからねえだろ?」
いや、知っている。
セラヴィデントは周囲に天からのいかずちを降らせるスキルだ。
広範囲を攻撃するので避けるのは難しいし、当たったらダメージが大きく、しかも感電する。
自分が使うなら極めて有用であり、敵が使ってくると極めて厄介なスキルである。
「それをお前たちに叩き込んでやる。いくぜ―――――セラヴィデント!!!!!」
ルシュトが両手を大きく広げ、天に向かって詠唱した。
その詠唱に応じて空からいかずちが……降ってこない。
「あ、あれ?」
とルシュトが冷や汗を浮かべている。
「セラヴィデント!! セラヴィデントッッッ!!!」
何度も詠唱している。
「ちっ、なんで発動しやがらねえ」
苛立ったように、焦ったように、ルシュトが舌打ちする。




