第5章89話:ラスボス
――――最終章
しばし俺はユーゴーを見つめたあと、振り返る。
「もう出てきていいぞ」
するとラミアリスとフラウが出てくる。
ラミアリスが言った。
「結局、一人で倒しちゃったのね。あたしたちの出番がなかったわ」
「ふきゅきゅ~」
「ラクで良かっただろ? さあ、戦利品を拾ってズラかるとしよう」
俺はユーゴーから戦利品を回収した。
あらかた回収を終えたら、場所を移す。
森の奥。
日が暮れてきたあたりで、野宿をすることにした。
「国から放たれた刺客と、冒険者は、これで全員倒したことになるのね。大きな山場を越えた気がするわ」
「その認識で間違ってないな」
ユーゴーはゲームクリアにおける一つの難所だ。
ゲームオーバーにならなくて良かった。
(このままクリアまで行っちまおう)
と俺は思った。
「で……次はどうするの?」
とラミアリスが聞いてきた。
俺は答える。
「次は――――スキルテイカーを倒す」
このゲームにおける『クリア』とは、いろいろある。
エンディングが複数に分岐しているからだ。
またルーカーと、ルーカー以外のプレイヤーでもエンディングが異なる。
ルーカーにとってのトゥルーエンドとは、スキルテイカーを討伐することだ。
いつでもいいのでスキルテイカーを殺したら、その時点でクリアとなる。
「スキルテイカーって、スキルを奪うっていう……」
「そうだ。そして、俺を破滅させた元凶でもある」
俺からスキルを奪い、俺をルーカーへと叩き落した元凶。
物語のラスボスとしては相応しい相手だろう。
「奪うってことは、いろんなスキルを持ってるってことよね?」
「そうだな。スキルテイカーは100種類以上のスキルを持っている」
「ひゃ、百!!? そんなやつに勝つのは無理でしょ!!? あたしたちは一つもスキルを使えないのよ!?」
ユニークスキルは一人につき一つまで。
しかもルーカーはその1つさえも持っていない。
俺の場合は、グラムバーストが一応スキルといえる働きをしているが……
それでもスキルテイカーのスキル所持数には遠く及ばない。
だが。
「確かにスキルテイカーのスキル所持数は脅威的だ。だが実際には、同時に使えるスキルは3つしかないんだ」
スキルテイカーの特徴について俺は説明する。
「ヤツはまず、スキルスロットにスキルをセットしてからじゃないと使えない。そして1度セットしたら、スキルスロットから外すのに最低でも24時間をあけなければならない」
奪ったスキルは100以上だが、スキルスロットにセットできる数は3つまで。
一度セットした場合、24時間はスキルが固定される。
別のスキルに切り替えることができるのは24時間後だ。
「な、なるほど……でもさ、逆にいうとスキルを同時に3つも使えるということでしょ?」
「そうだな」
「しかも、スキルテイカーが何のスキルをセットしているのか、わからなくない?」
「1つはわかっている」
と俺は前置きしてから、告げた。
「ヤツのスキルスロットのうち、1つは必ず『パーフェクトヒール』だ。パーフェクトヒールは、自分のHPを全回復する治癒魔法だな」
「はぁ!? 全回復って、何それ反則じゃない!? そんなめちゃくちゃなスキルを持ってるの!?」
ラミアリスの問いに、俺はうなずく。
スキルテイカーはチートスキルとしか言いようがないスキルを複数持っている。
ラミアリスは言った。
「ダメージを与えてもパーフェクトヒールとやらで全快されるなら、勝ち目なくない?」
「……でも、だから面白いんだろ?」
と俺は笑った。
スキルテイカーはゲームのラスボスだ。
ラスボスの攻略が難しいのは当たり前だ。
簡単なわけがない。
でも、だからこそ攻略しがいがあるのだ。




