第4章88話:決着
(出せよシールドバッシュ。このままだと負けるのはわかってるだろ)
と俺は心の中でつぶやいた。
ユーゴーはバカじゃない。
状況は読めているはずだ。
俺はシールドバッシュが来るのを待つ。
そして。
ユーゴーがグッと盾を引いた。
(来た……!)
シールドバッシュの構えだ。
シールドバッシュは、大盾を使った【突き】と【突進】の合わせ攻撃である。
突進しながら大盾を突き出してくるようなイメージの攻撃だ。
ユーゴーはシールドバッシュを繰り出してきた。
ユーゴーの巨体と合わさって、まるで重戦車のような迫力がある。
まともに食らったら一撃でノックアウトだ。
だが、ここで俺はいよいよ温存してきた『グラムバースト』を行使する。
「ハァアアアッ!!」
ギガントロスハンマーをスイングする。
遠心力を全力で溜めたフルスイングに『グラムバースト』も発動した。
「!!?」
ギガントロスハンマーの『グラムバースト』が、ユーゴーのシールドバッシュに直撃した。
ズガアアアァァンッ!!!
と凄まじい轟音が響き、風圧が吹き荒れる。
――――結果はわかっていた。
ユーゴーのシールドバッシュが、大盾ごと破壊される。
「ぬおおおおおおおお!!?」
ばらばらに砕け散った大盾。
ユーゴーが突進とは逆の方向に吹っ飛んで倒れる。
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
俺は肩で息をする。
しかし心の中ではガッツポーズをしていた。
グラムバーストで大盾を破壊できた。
そのまま盾の向こうにいたユーゴーにも致命傷を与えることができたはずだ。
俺の勝ちである。
「シールドバッシュを……狙った、だと……」
ユーゴーが倒れたまま、驚いたように言葉を漏らしている。
「全て、読まれていた……ということか」
とユーゴーが悟ったようにつぶやく。
「あんた、強かったぜ」
と俺は賞賛した。
俺はユーゴーの攻撃パターンを知っていた。
それでもなお簡単ではない戦いであった。
もしもユーゴーの大盾攻撃を、たった一度でも食らっていたら、敗北は必至だっただろう。
無事に勝てて安堵している。
「くくく。賞賛されても、負けていたら世話はない」
ユーゴーが敗北を受け入れ、しみじみした様子でつぶやいた。
「貴殿は、その未来に何を望む? この、ルーカーにとって残酷でしかない世界を変えるか?」
ユーゴーが尋ねてきた。
俺は即答した。
「そんなことに興味はない」
さらに続ける。
「俺には夢がある。その夢を叶えるために、戦うだけだ」
異世界を最速攻略するという夢。
俺が目指しているのはそれだけだ。
社会の変革などは、別に望んでいない。
「そうか」
ユーゴーが言った。
「貴殿と戦うことができて良かった。せいぜい草葉の陰で、貴殿の夢が叶うことを、応援することにしよう……」
「ああ」
そしてユーゴーは、息絶えた。




