第4章85話:善戦
「なるほど。ハンマーを扱う動作のつたなさを修正してきたか」
とユーゴーが言った。
「面白い。気持ちよく殴られたことも、吹っ飛ばされたことも、久しぶりだ」
気持ちよく殴られた……か。
芯をずらしておいて、よく言うぜ。
「油断はしまい。本気でいかせてもらおう」
とユーゴーは告げて、突進してきた。
身体ごとぶつけにいくような大剣での斬撃。
これを正面から受けるつもりはない。
俺は横に退避する。
反撃のハンマーを放つ。
だがユーゴーに剣で受けられた。
さらに数度、打ち合う。
「ヌオオオオオォォッ!!」
ユーゴーが吠える。
大剣を二度、三度、四度と振り回してくる。
まるで大剣なんて重量物を振り回しているとは思えないほど、軽々と斬撃を放ってくる。
だが、こちらも同じだ。
ハンマーによって、ユーゴーの攻撃に合わせる。
互角の状態である。
「ぬう……強いな。まさかここまでとは」
ユーゴーが驚いている。
「どうやって鍛えた? ルーカーがこれほどの力を手に入れるなど、考えられない。それに、国にとってはあってはならないことだ」
「教えるかよ」
と俺は短く答えた。
「知りたきゃ、俺を倒してみろ」
「ではそうしよう!」
ユーゴーが気迫をにじませ、さらに大剣の勢いを加速させる。
だが……
俺はその攻撃を完全に見切った。
「!!」
俺のハンマーがふたたび、ユーゴーの側面を叩く。
「ぐああああ!?」
吹っ飛んだユーゴー。
今度は踏みとどまることができず、転倒した。
さきほど吹っ飛ばしたときよりも、綺麗な形で決まったクリーンヒットだ。
俺は心の中でガッツポーズをする。
「ぬうぅ……ッ!!」
すぐさま起き上がったユーゴーが、斬りかかってくる。
しかし、俺は、もはやユーゴーとは互角ではなかった。
「ぐっ!?」
ユーゴーの斬撃を回避して、カウンターの一撃を叩き込む。
「がっ!!?」
さらにハンマーの下からすくいあげる攻撃で、ユーゴーを叩く。
「ぐぅうううっ!!?」
さらにハンマーによる連打を浴びせる。
猛撃といってもいい攻撃の嵐に、ユーゴーは苦渋の様相を呈す。
(よし……ピーク時の感覚が戻ってきたぜ)
ハンマーを扱う感覚。
それがさっきよりも増して、復活してきた。
おかげでユーゴーと互角の状態が崩れ……
一方的な展開となり始めたのだ。
逆にユーゴーは、俺のハンマー攻撃に対応できていない。
ならば、この勢いのまま与えられるだけダメージを与えておきたい。
できれば押しきる!
そういう心持ちで、俺はハンマーを振り続ける。




