第4章83話:隊長
少し場所を移動する。
森を出て、岩場に出た。
大きな岩や岩壁に囲まれた草原地帯だ。
ここでユーゴーを待ち構えることにする。
……10分後。
ガシャン、ガシャンと音を立てて、一人の重戦士が現れた。
ユーゴーである。
全身を鎧に身を包んだフルメタルの戦士。
身長194センチの巨体であり、縦にも横にも大きいデカブツだ。
兜をかぶっており、容貌は見えない。
巨大で幅広の大剣を背負っている。
アランドールが持っていたアヴァロンソードよりも平べったい形をした大剣だ。
剣も鎧も重量感がある。
「見つけたぞ」
ユーゴーが口を開いた。
「ロッシュ……それからラミアリスだな?」
「ああ。お前は隊長ユーゴーだな」
「ほう。ワタシのことを知っているようだな。部下どもから聞いたのか」
ユーゴーが一拍置いてから、さらに告げる。
「ルナ、ローレッタ、ザンドール……3人とも、ワタシの可愛い部下であった。しかし、貴殿らが殺した」
「正当防衛でしょ。あんたらが殺しに来たのを返り討ちにしただけよ」
とラミアリスが冷たく言い放った。
ユーゴーが反論する。
「正当防衛……しかし、元はといえば、貴殿らが領主イザナを殺したことが発端だ。ルーカーが領主を殺したとなれば、我々も貴殿らを探し出し、抹殺するしかなくなるだろう。それを正当防衛というのか?」
「元はといえば、領主……ひいてはこの社会が、ルーカーを迫害しているから悪い。ひどい仕打ちをしてきた者が、今回、逆襲されたというだけだ」
「なるほど。そもそも迫害するほうが悪いと言いたいわけだな」
「何か間違っているか?」
「迫害されるほど弱いから悪い……という見方もある。弱肉強食の世界では、弱さは罪だ」
「それが正しいなら、俺たちに殺されたイザナやルナたちも、ルーカーに負けるほど弱かったから悪いんだろうな? ヤツらより強かった俺たちが責められる謂れはない」
「くくく」
とユーゴーが笑った。
「なかなか話せるルーカーだ。実に愉快」
そしてユーゴーが続ける。
「それだけに惜しいな。ワタシは貴殿らを抹殺しなければならない。愛すべき部下たちの仇であり、ワタシに与えられた使命だからだ」
「あんたが勝つことが前提みたいに語っているが……そう簡単にいくと思うなよ」
と俺はつぶやいた。
ユーゴーが応じた。
「うむ。ワタシは、ルナたちを打ち破った貴殿らが弱いとは思っていない。だが――――ワタシの強さに及ぶことはない。すぐにソレを思い知ることになるだろう」
そしてユーゴーが大剣を構える。
俺もアイテムバッグからギガントロスハンマーを取り出して、構えた。
ラミアリスは後ろに下がる。
するとユーゴーが怪訝そうに尋ねてきた。
「む? 一人で戦うつもりかね?」
「ああ、そうだ」
「そうか」
ユーゴーは一拍置いて。
「単騎決戦は望むところだ! ゆくぞ!」
地面を蹴り、突進してきた。




