第4章78話:戦利品と別視点
俺はフラウを褒める。
「ナイスタックルだ、フラウ」
「ふきゅっ!」
フラウが歓びを表現する。
「ラミアリスもな」
「ふふ、当然よ」
ラミアリスは、自分では気づいていないかもしれないが、射撃の腕が上がっている。
ローレッタに対して、ミスなく毒矢を命中させてくれたおかげで、簡単に勝利することができたのだ。
頼りになる仲間である。
さて、俺たちはローレッタからアイテムバッグなどの戦利品を回収する。
そのあと俺は告げた。
「ルナ、ローレッタは死んだ。残るはザンドール。あとは冒険者どもか」
「冒険者の討伐は後回しにするのよね?」
「そうだ。まずはザンドールを殺す」
ルナ→ローレッタ→ザンドール→冒険者→隊長
この順番で始末していく。
ルナとローレッタが終わったので、次はザンドールの討伐だ。
相手は1人なので、殺すことは難しくない。
<ザンドール視点>
ザンドールは一目散に逃げていた。
ルナとローレッタが、あっという間に殺害されたからである。
ルナの死、そしてローレッタの殺害シーンをひそかに目撃したザンドールは、戦うことより逃げることを優先した。
(あいつら、普通のルーカーじゃねえ……!)
ザンドールは冷や汗を浮かべながら、そう内心恐怖した。
油断していたわけではない。
だが、まさかルナとローレッタがこんなにあっさり殺られるなんて、想像できるわけがなかった。
ロッシュとラミアリスに対する脅威度を見誤っていた。
(3対1じゃ分が悪すぎる。いったん帰還して、体制を立て直さないと)
ルナとローレッタは死んだ。
残るは、自分1人だ。
しかもロッシュとラミアリスのほかにスライムもいて、全員が無傷である。
この状態で3対1の勝負を挑んでも、ザンドールに勝ち目がないことは明らかだ。
(まずは"隊長"と合流する……ルナたちの仇討ちはそれからだ!)
隊長がいれば勝てる。
ザンドールはそう確信していた。
だから急いで合流するのだ。
そしてロッシュたちに復讐してやる。
「!?」
そのとき、背後から何者かが追ってくる気配がした。
ロッシュとラミアリスだ。
おそらくスライムもいるだろう。
もう追ってきやがった!
くそ!
ザンドールは必死の形相で、森の中を逃げ惑う。
だが。
「ぐっ!!?」
ザンドールの背中に何かが突き刺さった。
矢である。
その衝撃に、ザンドールが前に転倒する。
次いで、激痛が走った。
「がああああああああああ!?」
焼けるような痛みである。
全身の力が抜けそうになったが、気力を振り絞ってザンドールが起き上がる。
そしてがむしゃらに走り出す。
しかしザンドールは気づいていなかった。
彼に突き刺さった矢が、猛毒の染みこんだシェルスネークの毒矢であることを。
「ぜぇ……ぜぇ……はぁ……く、そ……」
少しずつザンドールの意識が遠のいていく。
足がもつれ、ザンドールは走ってられなくなった。
ふらふらしながら、近くの樹木に座り込む。
「逃げ……ねぇと……」
頭でわかっていても。
毒が思考を汚染し、肉体を汚染し、命の灯火を消していく。
そして重いまぶたを閉じたザンドールは、ついに意識を手放し……
二度と眠りから覚めることはなかった。




