第4章77話:毒2
まるで狂気のごとく鋭い視線を浮かべ、左腕の肩口に突き刺さった毒矢を、右手でぶちぶちと引き抜く。
力づくで矢を引き抜くなんて相当痛いだろうに、怒りと憎悪で感覚が麻痺しているのか、ローレッタは痛みを感じていないような様子だ。
「絶対に許さない。絶対にあなたたちを殺し―――――」
そこまでローレッタが告げた直後。
ローレッタは顔を歪めて、ふらついた。
「――――――、な、なにがっ!!?」
膝をつき、ガタガタと震えている。
少し毒が回ってきたらしいな。
ラミアリスは告げた。
「あなたに突き刺さった矢は、ただの矢じゃない。毒矢よ」
「毒矢……」
ローレッタが脂汗を浮かべている。
毒が身体にじわじわと広がっているのだ。
しかしローレッタは余裕めいた笑みを浮かべる。
「ふふふ。甘いわね。毒なんて、私の魔法で簡単に治癒できるのよ」
そしてローレッタは魔法を発動した。
「ラ・ピカス!」
解毒魔法を詠唱する。
ローレッタの身体に緑色の光が溢れる。
それで毒が治癒できたかのように思えたが……
「なっ……バカな」
とすぐにローレッタは気づく。
「治癒……できない!?」
ローレッタが焦ったように目を見開いている。
俺は淡々と告げる。
「シェルスネークという魔物の毒だ。猛毒でな。あんたの持つ解毒魔法では、治療不可能だ」
「……ッ」
ローレッタが歯ぎしりをする。
その表情には、絶望が立ちこめ始めている。
ローレッタは、その絶望を振り払うように叫んだ。
「舐めるな、ルーカァアッ!!!」
そしてこちらに向けて手をかざしてくる。
「ルナの仇よ!!! 死ねええええええええええ!!!」
彼女の手に炎が集中する。
だがそのとき。
「ふきゅきゅっ!!」
と樹上から飛び降りてきたスライムがいた。
フラウである。
樹上から飛来したフラウが、ローレッタの頭にタックルを食らわした。
「がっ!!?」
フラウによる突然の襲撃に、ローレッタが目を回して昏倒する。
――――ローレッタは強い。
もし毒にかかっていなかったら。
もしルナの死に動揺していなかったら。
フラウの奇襲にも気づけただろう。
だが、ここまで追い詰めることができたら、ローレッタに勝ち目はない。
起き上がろうとするローレッタに、俺は素早く接近し、ザファトロスの剣を突き刺した。
「あがっ!!!?」
ローレッタが力を失う。
その首を、俺は素早くハネた。
これでローレッタの討伐も完了である。




