第4章75話:撃破
しばらく待機する。
現在地は、森の小川のそばである。
小川の近くには大小さまざまな岩が横たわっている。
その岩のうち、高さ3メートルほどある大きい岩の背後に身を潜める。
「……」
30分ほど何もせず、ラミアリスとともにじっと待つ。
すると。
足音が聞こえてきた。
「……!! 来たな」
俺は小声でつぶやいた。
足音から、相手が一人であると把握する。
「うーん、全然いないなぁ」
と独り言をつぶやいている。
その声から、相手がルナであると俺は察した。
ターゲットだ。
(バラバラに行動してくれて助かるぜ)
と俺はほくそ笑んだ。
相手は3人パーティーだが、3人が固まって行動すると広範囲を捜索するのが難しい。
その判断で、彼らは、互いに距離を取って行動しているのだ。
だから現在、ルナは一人。
もちろんルナは、ローレッタやザンドールとは離れすぎない範囲にいる。
しかし俺たちがルナを襲撃しても、すぐさま仲間たちが駆けつけられる距離ではない。
今なら安全にルナを殺せるというわけだ。
(ザファトロスの剣はフルチャージしてきた)
ザファトロスの剣に秘められた必殺技を使うには、チャージが必要だが……
ここ数日間の旅のあいだに、チャージはMAXにしてある。
そのチャージした力のうち3割を使うことにする。
残り7割は"隊長"の撃破のために温存しておくことにする。
「ふう……」
俺は深呼吸をした。
精神統一し、集中力を高める。
そして岩の後ろから、ザファトロスの必殺技『グラムバースト』を発動する。
ザファトロスの剣が光り輝く。
その状態で俺は、剣を斜めに振りぬいた。
次の瞬間。
ザファトロスの剣から、斬撃の形をした光が放たれた。
禍々《まがまが》しい、どす紫色の剣閃。
その閃光が巨岩を切断し―――――
さらに岩の向こうにいたルナを切り裂いた。
「え?」
ルナは一瞬、何が起こったのかわからないような声を上げた。
ザファトロスの斬撃は、ルナの身体を斜めに両断していた。
ルナの上半身の中ほどから、斜めにズレ落ちていく。
どさりと、ルナの身体が倒れた。
「あたし……死ん……で……」
ルナの目から光が消えていく。
絶命するルナ。
(よし。一撃で仕留めることができた)
と俺は歓喜する。
声を上げる暇もなかったため、ルナの死はまだ、ローレッタやザンドールに気づかれていない。




