第4章74話:それぞれの視点
<追っ手の視点>
ルナ、ザンドール、ローレッタの3人は、ロッシュの痕跡を辿り、コーレの街へと訪れていた。
聞き込みの結果、冒険者ギルドでロッシュが大暴れしたこと――――
その後ロッシュたちが森へと逃げ込んだことを、ルナたちは知ることができた。
「ルーカーのくせに冒険者になりたいだなんて、バカみたいね」
とルナは嘲笑するように告げた。
ザンドールが同意する。
「そうだな。きっと領主を殺すぐらいの実力があれば、冒険者登録してもらえると思ったんだろうぜ。浅はかにも程がある」
ルーカーは冒険者登録をすることはできない。
冒険者ギルドは、戦力になる人材は誰でも歓迎しているが、ルーカーだけは例外だ。
ローレッタが告げる。
「どうやらロッシュが非戦闘員である受付嬢にも手を挙げたみたいで、冒険者たちが相当怒ってるみたいね。上級冒険者やギルドマスターを中心に、ロッシュの討伐に向かうそうよ」
「ふーん。まあ、いいんじゃねーの? 俺たちの邪魔にならない範囲で、捜索なり討伐なり好きにすれば」
とザンドールがどうでもよさそうに言った。
「そうね。でも一応、冒険者たちと捜索場所が被らないように行動しましょう。そのほうがこっちも動きやすいから」
とローレッタが告げる。
ルナとザンドールは賛成した。
そして3人は、ロッシュたちが逃げ込んだという森へと、足を踏み入れるのだった。
<ロッシュの視点>
俺たちは森に隠れる。
草陰に潜んで、敵の登場を待つ。
「……」
今回の戦いは今までと大きく異なる。
というのも敵の出方を細かく予測できないのだ。
俺は、これまでゲームのRTA知識に基づいて、敵のあらゆる動きを予測してきた。
だが今回は、高い精度でソレを実現することは不可能だ。
敵の行動パターンが複数存在するからである。
俺が考えている状況とは、全く異なる展開になる可能性もある。
俺にあるのは―――――
敵がどんなユニークスキルを持っているのか。
そして俺たちが、どんな攻撃をぶつければ有効なのか。
その情報のみである。
(だが、勝利するためには十分な情報だ)
俺の思い描いている通りにいかなくても、必ず勝利は掴み取る。
そう意志を固める。
――――俺はプランを確認する。
(追っ手は、冒険者と同じタイミングで森に入ってくる。しかし冒険者とは別々の行動を取るはずだ)
刺客としてやってくるのはルナ、ザンドール、ローレッタの3人。
こいつらは冒険者とは同行せず、あくまで3人だけで行動する。
すると動きが読みやすい。
1:コーレの街の冒険者が捜索するのは、自分たちが馴染み深い場所からであり。
2:その場所を避ける形で、ルナたちが捜索をおこなう。
以上のことを踏まえれば、ルナたちの行動ルートが予測しやすい。
ルナたちが通るであろうルートで、俺たちが待ち伏せする。
(まずは3人のうち、ルナを真っ先に殺す)
ルナは近接主体であるが、ユニークスキルは魔法であり、物理・魔法の二刀流である。
しかも火力が馬鹿みたいに高い。
気持ちよく暴れさせると厄介なので、最初に叩いておきたいところだ。
ルナを殺すことができれば、姉であるローレッタに大きなショックを与えることができる。
気が動転したローレッタを殺すのは難しくない。
そこまで実現すれば、あとはザンドール1人を始末するだけだ。




