第4章73話:冒険者ギルド4
「テ、テメエ!!」
「受付嬢は戦士じゃないだろ!? なのに殴るなんて……!」
と冒険者たちが抗議してくる。
俺は言い返す。
「うるせえ!! じゃあ聞くがよ、ルーカー相手なら気軽にボコっていいのかよ!? お前らがいつもやってることだろうが!」
すると冒険者たちが反論してきた。
「ル、ルーカーを殴るのは別にいいだろ!?」
「常識でしょうがそんなのは!」
「バカなのかテメエは!?」
口々に言ってくる冒険者たち。
俺はつぶやいた。
「そうか。常識か」
クソみたいな常識だ。
しかし、常識だというならしょうがない。
この世界のルーカーに対する認識は、そんなもんだ。
理不尽に激怒してもしょうがない。
だが今は、激怒を演じる時間だ。
俺は盛大にぶちぎれる。
「ふざけんじゃねえええぇえ!!!」
俺は近くにいた男冒険者に掴みかかった。
俺はその冒険者を、殴りまくる。
「なんでルーカーってだけで!」
「がっ!?」
「こんな目に!」
「ぐあっ!?」
「遭わきゃいけねえんだよォ!!!」
「がはあぁっ!!!?」
さもルーカ―が理不尽を嘆いているような言葉だが……
もちろん全て演技である。
あらかた暴れまわってから、俺は言った。
「ちっ……胸クソ悪い冒険者ギルドだぜ。おいラミアリス」
「な、なに?」
「帰るぞ。こんなクソみたいなところに長居はしたくねえ」
「う、うん」
ラミアリスはおずおずとうなずく演技をした。
そうして俺たちは、冒険者ギルドをずかずかと立ち去っていくのだった。
冒険者ギルドを出て、そのまま街を出る。
近くの森に逃げ込んだ。
「ふう……」
と俺はひと息ついた。
「良い感じで大暴れできたな」
「アレが全部演技だなんて……あんた、いろいろすごいわね」
「そうか? つーか、お前もきちんと演技できてただろ」
「そうかしら?」
「そうだぞ。おかげで、本気で暴れるルーカーの姿を、より印象づけられたはずだ」
俺は一拍置いてから、さらに続けた。
「あとは森に隠れていれば、俺たちを捜索するために追っ手どもがやってくる。そこを返り討ちにする」
「……冒険者たちも追ってくるんじゃないの?」
「だろうな。たぶんギルマスが、俺たちを討伐するために動き出すだろう」
「ギルマスって……」
ラミアリスが顔をひきつらせる。
さすがにギルドマスターと戦うことになったら厳しいと思ったのだろう。
「ギルマスも含めて、今の俺たちならば倒せるさ」
と俺は笑うのだった。




