表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

第1章7話:階級

俺は答える。


「そんなわけないだろ。これから討伐しようとしているのに」


「まあ、それはそうよね」


ラミアリスの中での疑いが薄れたようだ。


結構、単純な性格をしているようである。


「ところであんた、戦いの経験はあるか?」


と、俺は服のすそを雑巾ぞうきんみたいにしぼりながら、尋ねた。


れた服からは水がボタボタとしぼりおちる。


しっかり水気みずけを切っておく。


ラミアリスが答えた。


「一応、兵士へいし見習みならいだったからね。成人式で、ルーカーの烙印らくいんを押されちゃったけど」


「……そうか」


と俺は静かにあいづちを打つ。


ラミアリスが聞いてきた。


「あなたのほうはどうなのよ? というか、あなた、明らかに18歳じゃないでしょ? なんでいまさらルーカーになったわけ?」


「俺は37歳だ。……スキルテイカーって知ってるか?」


「聞いたことあるわね。たしかユニークスキルを奪うっていう」


「ああ。俺はそいつに、ユニークスキルを奪われた。それでルーカーになったんだ」


「え!? ユニークスキルを奪われるとルーカーになるの!?」


ラミアリスが驚愕きょうがくの声を上げた。


俺はうなずく。


「ああ。ユニークスキルを奪われて、無能力者むのうりょくしゃになった。だからルーカーってわけだ」


「ひどすぎるわね。被害者なのに」


とラミアリスが同情的どうじょうてきな目を向けてきた。


たしかにひどい話だ。


「じゃあ、いまのあなたの階級印かいきゅういんは『じゅう』なのね」


「そうだ。元の階級は六だったが……今は十だ。俺の階級印を確認してみれば、十の文字が見えるぞ」


18歳を迎えたすべての人間には、この世界を管理する精霊によって、魂に階級印が刻まれる。


階級印は、その人間の「階級」をあらわすもの。


身分と言い換えてもいい。


階級印によって、この世界での身分が決まるため、極めて重要なものとして認識されている。


ちなみに階級は十段階じゅうだんかいがあり、たとえば第三階級だいさんかいきゅうの場合は「三」を意味する印が刻まれる。


階級は一が最高であり、十が最低だ。


そしてルーカーは……もちろん最下位さいかいをあらわす第十階級だいじゅうかいきゅうだ。


ルーカーには「十」を意味する階級印が、その魂に呪いのごとく刻まれている。


(このゲーム世界の恐ろしいところは、誰でも他人の階級印を確認できてしまうところなんだよな……)


その人間に刻まれた階級印は『階級判定魔法かいきゅうはんていまほう』によって確認することが可能だ。


この魔法は、誰でも使用することができる。


つまり互いに階級印を確認しあうことが可能というわけだ。


たとえば俺が「ルーカーじゃない」と言い張っても、階級判定魔法を使われたら、一発でウソだとバレる。


俺の魂に刻まれた「十」の階級印が、無能力者であることを示すからだ。


「たしかに……あなたの階級印は、十を示しているようね」


と、ラミアリスが告げた。


俺に対して階級判定魔法を使ったらしい。


俺も、ラミアリスに対して階級判定魔法を使ってみる。


ラミアリスの頭のうえに「十」を意味する階級印が浮かんだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作者は他にもいくつか作品を書いております!

以下は恋愛ざまぁ系の短編小説です。よろしければこちらもお読みください↓

追放聖女、復讐する

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ