第4章60話:峡谷へ
俺たちは出発を開始する。
森を抜けて、サッポラ草原へ。
さらにサッポラ草原を抜けた先に【ナヴァダル峡谷】がある。
峡谷の入り口にたどりつく。
白い岩石、石灰岩でできた巨大な岩壁が立ち並ぶフィールド……【ナヴァダル峡谷】。
ここは強い魔物が多い。
戦っても旨味がない魔物はできるだけ無視したい。
経験石や強化石は落ちていたりするので、回収しておきたいところだ。
「ここでとある魔物を狩る。……今日中になんとか終わらせたいな」
と俺は言った。
すでに日が暮れ始めている。
日が完全に落ちるまでに目的を果たしておきたい。
「あなた……なかなかの効率主義者よね。そんなにあれこれと急ぐ必要ってあるの?」
「俺はRTA走者だからな」
「だからRTAって何よ」
とツッコミを入れてきたが、説明する気はなかったので俺はスルーした。
代わりに、質問を返す。
「急がれるのはイヤか?」
「え?」
「急かされているようでイヤな気分になるなら、もう少しペースを落とすが」
RTAのプライドを守るなら、ペースダウンをするなんて言語道断だ。
しかし、ここはゲームの世界ではない。
パーティーメンバーであるラミアリスの不興を買ってまで、急ぎ足になることはない。
「別に気にしないわよ」
ラミアリスはそう答えた。
「むしろ、素早く強くなれるほうがありがたいわ。あなたのおかげもあって、大きくレベルアップできたことには感謝してるし」
「ふむ、そうか」
「だから、あなたのやりたいようにやってよ。こっちはできるだけ付き合うから」
「わかった。ならば遠慮はしない」
と俺は微笑んだ。
ナヴァダル峡谷を進む。
拾えるアイテムを拾いつつ、早足で歩く。
そして辿り着いたのは、崖である。
崖の下には円形の広場がある。
その広場に一匹の巨大な魔物がいた。
「あのモンスターは……?」
とラミアリスが首をかしげる。
俺は答えた。
「サラマンダーだ」
「サ、サラマンダー!? アレが!?」
「そうだ」
と肯定してから、俺は言った。
「あのサラマンダーを倒す」
「ええ!? サラマンダーといえば、ちょっとした上級モンスターよ!? 本当に大丈夫なの?」
「問題ない。真っ向から戦う必要はなく、ミノタウロスの弓によって狙撃すればいいんだ。ここから狙撃すれば、サラマンダーからの反撃が飛んでこない。だから一方的に攻撃できるわけだ」
「な、なるほど……」
とラミアリスは納得した。




