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無能力だからと追放されたオッサン、ゲーム知識で全ての敵をねじ伏せる  作者: てるゆーぬ


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第3章55話:上級魔族2


傲岸不遜ごうがんふそんな人間だな。ほどをわからせてやる必要がありそうだ」


ザファトロスは、そう述べながら右手にブレードを取り出した。


長さ3メートルもある、細くて長大ちょうだいな剣。


柄は黒色、刀身は血の色をしている。


俺は言った。


「ラミアリス、下がってろ」


「!!」


「俺が一人でやる」


俺はザファトロスの動きをしっかりと憶えている。


実力的に格上かくうえの相手であるが、問題なく討伐できるはずだ。


「大丈夫なの?」


「ああ」


と俺はうなずいた。


するとザファトロスは、さらに不愉快ふゆかいそうに顔をゆがめた。


「たった一人で我と戦うだと? どこまでもくさった人間め……ッ!」


そして。


戦闘の火蓋ひぶたが切られる。


ザファトロスが床を蹴り、滑空かっくうするように接近してきた。


斬りかかってくる。


「……ッ!」


ザファトロスの初撃しょげきを、俺は避ける。


さらにザファトロスは二撃目にげきめを放ってくるが、それを俺はかいくぐって反撃を返す。


ザファトロスがバックステップで避けた。


(まずは第一形態だいいちけいたいけずろう)


と俺は目標を定める。


――――シルバーソードの特殊効果とくしゅこうかを使えば、ザファトロスはいつでも殺せる。


しかしザファトロスには第二形態だいにけいたいがある。


第二形態になったときに殺したほうが、得られるドロップアイテムが多くなる。


なので、まずは第一形態を突破して、第二形態を引きずりだしたい。


だからしばらくは普通に斬りあいだ。


そのときザファトロスがブレードを高々《たかだか》とかがげた。


(来た……!)


と俺は目を細めた。


ザファトロスの大上段だいじょうだんである。


速いし威力が高いので、まともに食らったら真っ二つにされる。


しかしすきも大きいので、上手く避ければ大きな反撃チャンスになる。


―――――振り下ろされる大上段の斬撃。


ソレを斜め前に避けた俺は、ザファトロスの側面に入った。


そしてザファトロスを横から切り裂く。


「……!!」


強く斬りつけたはずだが、ザファトロスについた傷は深くない。


現在の俺の攻撃力では、ザファトロスみたいな上級魔族に深手ふかでを負わせるのは至難だ。


しかしザファトロスの精神は大きく乱れたはずだ。


動揺と激怒が、ザファトロスの顔に浮かんでいる。


「貴様……ッ!!」


ザファトロスが憤怒ふんど形相ぎょうそうでブレードを振り回してくる。


キレはあるものの、やや大振おおぶりの軌道を描いている。


ゆえに俺は、冷静にザファトロスの攻撃を避けつつ、隙を見つけて斬撃を差し込んでいく。


「ぐっ!!?」


俺の突きがザファトロスの横腹よこばらに刺さった。


ザファトロスが振り払うような斬撃を放ってくるが、それを避けつつ、今度は太腿ふとももに斬撃を浴びせる。


「おのれェッ!!」


イラついたザファトロスが、身体ごとぶつけに来るかのように、大きく前進しながら剣を振るってきた。


この攻撃は、斬撃と体当たりの組み合わせである。


ザファトロスの斬撃を防ぐことを意識しすぎると、体当たりを食らってしまうことになる。


だが、もちろん対処法は頭に入っている。


俺は大きく横ステップをして、ザファトロスの攻撃の軌道から脱出。


次いで、もう一度ステップをしてザファトロスのほうへと舞い戻り、回転斬かいてんぎりを浴びせる。


「ぐはッ!?」


これは大きくザファトロスの胸部きょうぶを切り裂くことになった。


例のごとく深手を負わせるには至らなかったものの、クリーンヒットにはなった。


「くっ……バカな。我がこうも一方的に斬りつけられる、だと!?」


ザファトロスが衝撃を受けている。


そろそろ第二形態に移行しそうだな。


そう思った俺は、ザファトロスをその気にさせるため、少しあおることにした。


「上級魔族も大したことないな」


「……!!」


「もっと歯ごたえのある相手かと思ったのに、期待して損したぜ! つーかお前、ほんとに上級魔族なのか? 実は出来損できそこないの下級魔族かきゅうまぞくだったりしないよな?」


俺が鼻で笑うような顔で、ザファトロスをあおる。


ザファトロスが、顔を激怒げきどの色に染めて歯ぎしりをする。






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