第3章49話:領主邸
――――領都。
領主邸は、領都のはずれに存在する。
したがって領都には入らず、領主邸に直行することにした。
夜。
領主邸の前。
雑木林の中から、領主邸の様子をうかがう。
領主邸の中にはろうそくの明かりがついている。
「あれが領主邸なのね」
「ああ」
ラミアリスとともに領主邸を見つめる。
ラミアリスはそわそわしていた。
「本当に、領主を襲撃するのね……緊張してきたわ」
「……」
俺はそんなラミアリスを見つめる。
そして告げた。
「なあ……もしも嫌なら、引き返していいんだぞ」
「え?」
「領主討伐は俺のやりたいことであって、お前のやりたいことじゃない。無理に付き合う必要はない。ココを越えたら、本当の意味で後戻りができなくなる」
領主の討伐。
衛兵を殺したときは森の中だったので、俺たちの仕業だとは露見しない。
ラッガルを殺したときも、犯人が俺たちだとバレることはないだろう。
しかし……俺たちが領主を殺したことは必ずバレる。
そして指名手配をされ、追っ手を差し向けられるだろう。
俺はそれを逆手に取って、追っ手たちを狩るつもりだ。
明けることない戦いの日々が、長く続くことになる。
俺は覚悟の上であるが、ラミアリスにとって修羅の道だろう。
(ラミアリスは、とても強くなった)
レベルも上がったし、強化されたゴールドソードもある。
ルーカーの人生は過酷だが、少なくともラミアリスが一人で生きていくには十分すぎる力量だ。
わざわざ領主を倒さなくなって構わない。
そんな俺の言葉に対して、ラミアリスは言った。
「その忠告、もう何度目よ。しつこいわよ」
呆れ口調だった。
ラミアリスは続ける。
「領主は、ルーカーを迫害している張本人でもある。だから、あたしにとって無関係の存在ではないわ」
まあそれはそうだ。
ルーカーを集落に追いやり、好き放題に使い潰す制度を作ったのは領主だ。
もちろんどこでも領主なんてそんなものだが……
少なくとも、この領地の迫害システムを構築したのは、眼前の領主邸に住む主である。
因縁のある相手というのは間違ってはいない。
「だから付き合うわよ。領主をぶっ飛ばしてやったら、さぞ気持ちいいと思うからね」
「……そうか」
俺は小さく笑った。
ラミアリスの、こういう竹を割ったような性格は嫌いではない。
「だったら何も言わない。領主討伐のために、ともに戦おう」
「ええ」
俺とラミアリスは戦意を高める。




