第3章46話:経験値稼ぎ
――――第3章
「さて、これから領都へ向かう」
と俺は答えた。
するとラミアリスが疑問を呈してきた。
「領都というと、領主がいるところじゃない? もう領主邸を襲撃するってこと?」
「いや、違う。領都に向かいつつ、途中のフィールドで、装備やアイテムを回収するんだ」
領都へ向かうという課題をこなしつつ……
装備やアイテムの回収という課題も進める。
つまり、二つの課題を同時にこなしていくのが目的だ。
実にRTAらしい効率の良い立ち回りで、俺は大好きである。
「なるほど。領都へ向かいながら、領主討伐の準備を進めるというわけね。納得したわ。さっそくいきましょうか」
「ああ、そうしよう」
方針が決まったので、俺たちはさっそく出発することにした。
【フレイダ平原】をあとにする。
しばらく道なき道を、北西の方角へと進んだ。
すると、大きな谷にたどり着く。
ここは【ラッバール渓谷】と呼ばれる場所だ。
重要アイテムを採掘できる場所である。
谷の途中にある洞窟が採掘ポイントなので、立ち寄っていく。
洞窟内部。
俺はラミアリスに指示した。
「ここで経験石と強化石を集める。つるはしを渡すから、がんがん掘っていってくれ」
するとラミアリスは首をかしげた。
「強化石はわかるけど……経験石ってなに?」
「経験石とは、使用すると経験値がもらえる石のことだ」
経験石は経験値がかなりたくさん得られるアイテムだ。
レベルが低いときに使うと、がんがんレベリングをおこなうことができる。
だから積極的に集めたいところである。
「ふうん? でも、あたし、経験石なんて見たこともないから、採掘できても判別できないわよ?」
「うーん。なら俺が経験石を採掘して、現物を見せるから、それまで待機しててくれないか?」
「わかったわ」
というわけで、とりあえずつるはしを持つ。
このつるはしは、ラッガルたちを討伐したときに得られたものだ。
俺はそのつるはしで、壁を掘り始めた。
異世界のつるはしは魔法で強化されているので、そうそう壊れない。
どんどん掘り進めていく。
「おっと。強化石が出てきたな」
さっそく強化石が出土する。
さらに掘ると、また強化石だ。
またまた強化石。
どんどん出てくる。
「すごいわね。こんなにカンタンに強化石が集まるなんて」
「この洞窟は、経験石と強化石がザクザク出てくるからな。宝の山なんだよ―――――っと」
そのとき、ついに経験石が出土した。
俺はラミアリスに見せる。
「これが経験石だ」
経験石は、緑の光を封じ込めたような色合いの、美しい鉱石である。
「なるほど……これが」
とラミアリスは興味深げに経験石を見つめる。




