表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/16

第1章4話:逃亡計画

「助かりたいか?」


ラミアリスが俺の声に反応する。


暗くて見えにくいが、ラミアリスがこちらに視線を向けてきた。


俺は言った。


「この馬車で集落まで移送されたら終わりだ。一日中いちにちじゅう、監視されるし、逃げられなくなる」


ゲームでも、馬車から逃亡せずに集落まで到着してしまうと、そのままバッドエンドになる。


ルーカーとしてプレイをはじめた場合の洗礼として知られている。


ゲームだったらロードして再開できるものの……


今はゲームじゃない。


本物の異世界だ。


バッドエンドは即終了そくしゅうりょう。二度目はない。


「もう一度聞くが、助かりたいか? 自由を手にしたいか?」


「当たり前じゃない」


ラミアリスが答えた。


「あたしはこんなところで終わるつもりはない。いつか絶対、幸せな暮らしを手に入れるんだから。ルーカーとして、最下層をいずるつもりはないわ」


どうやらラミアリスは、希望をあきらめていないようだ。


俺は微笑んだ。


「そうか。だったら、俺が助けてやろう」


そして続ける。


「今から俺が言うことに、黙って従ってくれ。そうしたら、あんたを助けられる」


「あなた……何? せめて名前ぐらい言いなさいよ」


「ロッシュだ。あんたは?」


「……ラミアリスよ」


ラミアリスが答える。


続けて彼女は尋ねてきた。


「で? どうするつもりなのよ?」


「とりあえず、この馬車から脱出する」


ラミアリスが険しい声で言ってくる。


「脱出といっても、馬車の周囲に衛兵が6人はいるわよ。御者ぎょしゃもいれたら、7人が敵だわ。たった2人で倒せる?」


「無理だな」


俺は正直に答えた。


こちらは2人。


相手は7人。


ただでさえ数の不利がある。


おまけに、俺たちには武器もなく、ルーカーであるためユニークスキルもない。


武器とユニークスキルをどちらも使える衛兵たちと戦うには、あまりにも力不足ちからぶそくである。


「倒すことは考えず、今は逃げることを優先する」


「逃げるって、どうするのよ?」


「いいか? 今、この馬車は崖沿がけぞいの坂道を走っている。そう、すぐそばに崖があるんだ」


「崖……まさか」


ラミアリスが思い至ったようだ。


俺はニッと笑った。


「そうだ。崖から飛び降りるんだ」


ラミアリスが絶句する。


彼女は少し語気を強めて言ってきた。


「崖から飛び降りるって……かなりレベルを上げてないと死ぬでしょ。あたしはレベル低いわよ」


この世界にはレベルやステータスという概念がある。


自分のレベルやステータスは、頭の中で念じることで確認可能だ。


「俺もレベルは高くないぞ」


と俺は言った。


「じゃあダメじゃない? 絶対死ぬし、たとえ運よく生き残っても、大怪我おおけがするわ。動けなくなったら意味ないでしょ?」


「実は、この崖の下には川が流れているんだ。そこに上手く着水ちゃくすいするように飛び降りる」


「そんな無茶な……」


「無茶でもやるしかない。なにしろ成功したら、衛兵を振り切ることができるからな」


と俺は説明する。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作者は他にもいくつか作品を書いております!

以下は恋愛ざまぁ系の短編小説です。よろしければこちらもお読みください↓

追放聖女、復讐する

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ