第2章35話:ラッガルと別視点
ダンジョンを出たあと。
ラミアリスが尋ねてきた。
「で……次はどこ行くんだっけ?」
「次はラッガルを襲撃する」
と俺は告げた。
「ラッガルって?」
「ルーカーの集落を管理している役人……そのトップだ」
「!!」
ラミアリスが眉をぴくりとさせる。
――――監視長ラッガル。
俺たちが移送されるはずだったルーカー集落の、統治をしている男。
つまりルーカーを閉じこめる牢獄の所長だ。
当たり前だが、ルーカーを人間扱いしていないような、冷酷非道な役人である。
「ラッガルはとある場所からゴールドソード、シルバーソードという武器を回収することになっている。そのゴールドソード、シルバーソードを、俺たちが奪う。これがラッガル襲撃の目標だ」
「その武器は強いの?」
「強い。フラウの力で強化すれば、ずっと使い続けていられる代物だ」
ゴールドソードは強化の恩恵が大きく、攻撃力も高い。
ゲーム終盤まで現役であり、『ゴルソ一本でクリアが可能』と言われたほどだ。
一方、シルバーソードは領主との戦いのときに絶大な効果を発揮する。
ゴールドソードとシルバーソード……
どちらもRTAにおいては欠かすことのできないレア装備である。
「ただ、いきなり襲撃しても勝てないからな。まずは襲撃のための準備が必要になる」
と俺は今後の方針を口にした。
「まあ、あんたに従うわよ。きっと上手くいくんでしょ?」
「もちろんだ。俺の計画に隙はない」
そう俺は断言するのだった。
<ラッガルの視点>
監視長ラッガル。
大柄の体格。
スキンヘッドのおっさんだ。
ファー付きで、血のような色をした真紅の革コートを身につけている。
彼はとある山を訪れていた。
そこに出現した危険なボスモンスター『デビルイード』を討伐するためである。
いろいろ調査した結果、デビルイードには、ある特性があることがわかった。
『一度食事を始めると、攻撃をされても食事をやめない』という特性だ。
そしてデビルイードは人間を好んで食べる魔物だ。
そこでラッガルはひらめいた。
「だったらデビルイードにルーカーを食わせ、そのあいだに全員で攻撃を仕掛ければよい」
と。
かくしてラッガルは、ルーカーの集落から一人のルーカーを連れてきた。
女性のルーカーである。
縄で両手、両足を縛っている。
その状態で、女性をデビルイードのいる洞穴の手前へと投げ捨てる。
すると"エサ"の匂いにつられてデビルイードが、洞穴の中から現れた。
「ひっ!?」
と、手足を縛られた女性ルーカーが、恐怖に顔をゆがめる。




