第1章32話:返事
「もちろん、今すぐ領主邸を襲撃するわけじゃない。念入りな準備をおこなってから、領主に戦いを仕掛ける」
俺はまだまだレベル不足だし、装備も弱い。
現在の状態で領主邸に突撃しても、あっけなくゲームオーバーである。
だから準備をする。
レベリングや装備集めなどをおこなう。
もちろんRTA知識を使うので、素早く、効率よく……だ。
だらだらと時間を使うつもりはない。
そうして準備が整ったら、領主討伐を決行する。
遅くとも半月以内には領主殺害を達成するつもりで、計画を立てるつもりだ。
「ほ、本気でやるつもりなのね……」
俺の目が真剣であることを理解したのか、ラミアリスはそう納得する。
「全く、とんでもないことを考えつくものだわ」
「で……あんたはどうするんだ?」
「え? どう、って?」
「俺と協力して、一緒に領主を討伐するか? それとも……ここで別れるか?」
「……!」
俺は領主討伐を実行すると決断しているが、ラミアリスはそうじゃない。
俺についてくるか、ついてこないか。
選択肢が存在する。
「一応言っておくが、もし領主を殺したら、国から追われる。間違いなく指名手配をされるだろうからな。穏やかな日々は完全に終了する」
「……衛兵を殺した時点で、お尋ね者だと思うけど」
「いや、俺たちが衛兵を殺したのは森の中だ。遺体は魔物に食われるだろうし、俺たちが衛兵殺しをやったことは露見しない」
一般的にルーカーが衛兵に勝てるとは思われていない。
だから俺たちが衛兵を殺したとは、誰も判断しないだろう。
「今ならまだ、何事もなかったように生きていくことはできる。引き返すなら今だぞ」
なかば脅しのような意味も込めて、俺はそう告げた。
ラミアリスが俺についてくるにしても、ついてこないにしても。
自分で決断しないと意味がない。
ラミアリスはしみじみとつぶやいた。
「……どうせ、普通に生きていったって地獄でしょ。ルーカーの人生なんて」
さらにラミアリスが告げる。
「だったら賭けに出ることも必要だと思うのよね。あなたについていけば、人生逆転できるんでしょ?」
「ああ、もちろんだ。領主殺しも成功させるし、そのあともずっと勝たせてやる。俺にしたがえば、ルーカーからの大逆転をさせてやろう」
「ふふ、ほんと自信家よね。でも、実際に12人の衛兵を蹴散らした実績もあるわけだし……あなたの言うことなら、信じられるわ」
ラミアリスが微笑んでから、真剣な顔つきで俺を見つめてくる。
「あたしのことは、好きに使ってくれていい。しばらくあなたのもとに身を預けるわ」
「……そうか」
と俺は応じてから、告げた。
「だったら俺から言うことは何もない。……これからもよろしくな、ラミアリス」
「ええ、こちらこそ」
ラミアリスが答える。
さて、そろそろ食事も終わりだ。
今日はもうやることがない。
寝る準備をするとしよう。
衛兵隊長たちの戦利品にキャンプ用具一式があった。
それらを用いて、テントを設営する。
俺たちは寝番を順番に担当しながら、テントの中で就寝するのだった。
第1章 完




