第1章23話:注意
目的のポイントにたどりつく。
まだ衛兵どもは来ていない。
俺はラミアリスに説明をおこなった。
「ここに来る衛兵で、注意すべきはクレオンだ」
「クレオン?」
「チャラついた男だ。一人だけ茶髪だから、すぐに見分けられるはずだ」
「ふうん? そいつがヤバいわけ?」
「ああ。クレオンのユニークスキルは『加速移動』だ。目にも留まらぬ速さで動き回る。いわゆるスピードスターだ」
クレオンは、アンナと同じく強雑魚である。
高速移動をおこなう、という単純なユニークスキルだが、シンプルゆえに強い。
高速でタックルされるだけでも大ダメージを負わされる。
速さを主体とした攻撃も、受ける側は反射神経を使わされる。
プレイヤーによっては衛兵隊長より厄介と感じることもあるぐらい、手強い相手だ。
しかし。
「めんどくさい相手だが、対処方法がある」
と俺は前置きしてから、説明する。
「まず『加速移動』は、その速さゆえに直線にしか動けない」
「ふむふむ」
「そして『加速移動』をするときは、かならず予備動作があるんだ」
「予備動作?」
「ああ。こうやって、右手を下から横に突き出すんだ。ヤツはこの動作をおこなわなければ、『加速移動』を使えない」
加速移動の条件は二つ。
1:右手を下に突き出す。
2:そのあと右手を横に突き出す。
クレオンは1の工程を省略するために、常に右手を下に向けている。
だから実質、横に突き出すだけで『加速移動』の条件が成立するのだ。
「戦闘中はヤツの右手に注目しろ。そしたら確実に回避できるし、カウンターも決められる」
「……なるほど。わかったわ」
ラミアリスが了解する。
そして。
15分後。
クレオンたちがやってきた。
クレオンと、男性衛兵1人、女性衛兵1人。
計3人の班である。
まず、茂みに隠れた俺たち。
衛兵たちが近くまでやってきた。
俺、ラミアリス、フラウは、同時に茂みから飛び出す。
「!!?」
相手が反応する前に、俺は男性衛兵を斬り殺した。
フラウが女性衛兵の顔面にタックルする。
「ふきゅっ!」
「ぐぶっ!?」
鼻にスライムが直撃して、女性衛兵がひるむ。
その隙にラミアリスが女性衛兵に近づき、斬りつけた。
「ぐあ――――――――っ」
急所を突いており、衛兵は即死である。
怒涛の如き展開に、クレオンが目を見開きつつも、素早く後ろへ跳んだ。
「ルーカーが刃向かってきただと!? バカな」
仲間が殺されたことに、クレオンが驚愕している。
俺は言った。
「即効で2人撃破。楽勝だな」
クレオンは感情的なタイプだ。
なので俺は、挑発的な言葉で、煽る。
「衛兵なんて雑魚ばっかりだぜ! あと1人も余裕で蹴散らして、さっさと森を出るか」
まさかルーカーから煽られるとは思ってなかったのか、クレオンが唖然とする。
そして、すぐに怒りの表情を浮かべた。




