第1章19話:攻防
俺は斧を手放しつつ、着地する。
「スキルテイカーを返り討ちにするだって? 殊勝な発言だな」
と俺は言った。
仲間をやられたアンナは、すぐさま状況を把握して、槍を構える。
俺は告げた。
「だったらまず、俺を返り討ちにしてみるがいい」
「っ!!」
アンナが長槍による刺突を放ってきた。
俺は長槍を横に避けたあと、バックステップで距離を取る。
アンナの攻撃は、やはり鋭い。
こいつは、雑魚の中でも強い部類の敵――――いわゆる強雑魚である。
「不意打ちで一人倒したぐらいで、調子に乗らないでもらえる?」
「……」
「しょせんあなたは、ルーカーに落ちた愚図。大人しくお縄につくことね? 1対1では、あたしと勝負にならないんだから」
とアンナは煽ってくる。
一人殺されても、アンナはほとんど動揺していない。
むしろ獲物を狩るような目で、俺を見つめている。
1対1ならば絶対に勝てると思っているようだ。
そんなアンナに対して、俺は言った。
「ふむ。一つ聞きたいんだが――――誰が1対1だと言ったんだ?」
「!?」
次の瞬間、茂みに隠れていたラミアリスが飛び出して、アンナに斬りかかった。
驚愕するアンナ。
すぐさまラミアリスの攻撃を防御しようとするが、間に合わず、右上腕部に斬撃を食らった。
「ちっ……2対1だなんて、卑怯じゃない!!?」
とアンナが俺たちから距離を取りながら、叫んだ。
ラミアリスが告げる。
「ふんっ、あなたが仲間を死なせたから悪いんでしょ」
「……!」
「ラミアリスの言う通りだな。数の上では互角だったのに、1人死なせたあんたが悪いぜ」
俺たちの言葉に、アンナが歯ぎしりをする。
俺は肩をすくめながら言った。
「安心しろ。俺たちも、あんたたちの数が多くたって、卑怯とは言わないさ。こっちはあんたら12人を全滅させるつもりなんだからよ」
「な、なぜ捜索隊の数が、12人だと知ってる……!?」
「さあな。一つ答えられることは、俺はあんたらの手の内を全て知っているということだけだ」
と俺は告げた。
そして宣言する。
「あんたら12人は皆殺しにする。あんたも、ここで死んでくれ」
「……ッ!」
次の瞬間、ラミアリスがショートソードですくいあげるような斬撃を放った。
アンナに斬撃が迫る。
その斬撃に、アンナは槍の斬撃をぶちあてた。
ラミアリスとアンナが膠着状態になる。
そこに俺が斬りかかった。
ショートソードを握った俺は、アンナの側面に横凪ぎの斬撃を放つ。
「くっ!!?」
アンナが慌てて横に避けるが、フラウが横から飛び出してきた。
「ふきゅ!!」
「がっ!?」
フラウにタックルを食らわされ、アンナが一瞬バランスを崩す。
そこにラミアリスが迫る。
ラミアリスの袈裟斬りが、アンナを切り裂く。
「ぐあああっ!!?」
悲鳴をあげるアンナ。
受けた傷を押さえながら、フラウをにらむ。
「くっ……スライム!?」
そんなアンナに対し、俺は冷たくつぶやいた。
「死ね」
そしてアンナの腹に、ショートソードを突き刺す。
「ぐふっ!?」
俺はショートソードを引き抜いた。
アンナが腹をおさえて倒れる。
そんなアンナに、俺はトドメとばかりにショートソードを、突き立てる。
アンナから血が噴き出し、絶命した。




