第1章17話:戦利品
ただその前に、強化をしておきたい。
召喚石を取り出す。
「フラウ」
「ふきゅっ!」
「この2つのショートソードを強化してくれ」
俺はフラウの前に、ショートソードを2つと、強化石を4つ置いた。
「ふきゅきゅっ!」
フラウは了承の声を上げる。
そしてショートソードと強化石をじっと見つめる。
するとショートソードと強化石の下に、魔法陣が現れた。
鍛冶をするための魔法陣である。
魔法陣のきらめきとともに、ショートソードと強化石が光を帯びる。
次の瞬間。
強化石とショートソードが融合―――――
強化石は消滅し、ショートソード2本だけが残った。
魔法陣が収まっていく。
強化が完了したようだ。
「これで強化ができたの?」
「そうだ」
できあがったのは【ショートソード+2】。
それが2本である。
「すごくカンタンね。鍛冶屋に頼むより100倍速いじゃない!」
たしかに鍛冶スライムの鍛冶能力は素晴らしい。
一瞬で鍛冶が完了するので、鍛冶屋泣かせである。
(まあ、ルーカー救済用のスライムだからな。性能はチート級だ)
街の施設が利用できない【ルーカーペナルティ】は、あまりにもプレイヤーにとって凶悪すぎる。
だからゲームが詰んでしまわないように、ルーカーにはいくつもの救済が用意されていたのだ。
この異世界でも、同じ仕様が適用されているのだとしたら、今後の攻略において、積極的に活用していきたいところだ。
「今後はしばらくこのショートソードを使っていこう。……フラウ、ありがとな」
「ふきゅー!!」
フラウを撫ででやると、嬉しそうな声で鳴くのだった。
さて、俺とラミアリスはショートソードを腰に携帯する。
そのときふいにラミアリスが尋ねてきた。
「そういえば、衛兵から服は奪っていかないの? 防御力が上がると思うけど」
俺は答える。
「こいつらの服は意外に重量があるからな。俺たちが身につけると、動きが鈍くなって良くない」
「そうなのね」
とラミアリスが納得した。
防具は、もっと先で手に入るものを身につける。
それまではしばらく、ボロを着たままでいい。
「さ、この調子で残りの衛兵どもを片付けるぞ」
「ええ!」
回収作業が終わったので、俺たちは次の目標地点へと移動を開始するのだった。




