アルラセナの塔★第一階層《罵声と納得》
悩んでいると真生の目の前に可愛いゴーストが現れて……。
どうしてもスキルを使って掃除をしてみたい真生だが早くアルラセナの下へ行きたいと思う気持ちとの葛藤で苛立って来ていた。
(どうする? あーなんで決められないんだよ! 俺って……ハァー)
苛立っていたが、スパッと物事を決められない自分に呆れ果てる。
「何かいい方法はないのかよおぉぉー!!」
そう叫び頭を抱えた。
「何をそんなに悩んでるのよ! 魔王さまだとしても、ワタシの眠りを妨げるなんて最低なんだからね」
そう声が聞こえ真生は周囲をグルリとみる。だが何処にも姿はみえない。
因みに可愛らしい声だ。
「誰だ! 姿をみせろ!?」
「あー分かったわよ」
そう言ったと同時に声の主は、ボワーンッと真生の前に姿を現わした。
「ヒッ!!」
声の主の現れ方と姿をみて真生は驚き腰をぬかす。
そう真生の目の前にはゴーストが居たからだ。
だが見た目は結構可愛い。まるで、フランス人形のようである。
このゴーストは生前の名前……今の名前でもあるが、ポメル・クリウエスと云う。
現在ゴーストだが生前は、ドール使いと云う魔種族だった。見た目だけなら人間と見分けがつかない種族である。
「足が透けているってことは、ゴーストなのか?」
「そうよ! ゴーストじゃ悪いの?」
「なるほど……いや悪いとか、そういう事じゃない。いきなり現れたから驚いただけだ」
そう言い真生は立ち上がりながらお尻のホコリを払った。
「そう……それで何を悩んでいたのよ」
そう問われ真生は悩んでいることを説明する。
「なんなの……馬鹿なの? あー失望した。まさか魔王さまが、こんな優柔不断だなんて思わなかったわ」
「おい、そこまで言わなくてもいいだろ!」
「今の魔王さまをみていると、イライラするのよね。よく考えてみて、この塔には多種多様な魔種族の者が住みついているわ」
そう言われるも真生は理解できずにいた。
「何が言いたい? 確かに住みついている魔種族たちはいるようだが」
「分からないようね。知能はたいしたことないのかぁ」
「さっきから俺を馬鹿にしてるのか?」
あまりにもポメルが自分を馬鹿にしている態度をとっているため護は余計にイライラしてくる。
「馬鹿にしてないわ。只、事実を言ったまでだけど。まさか、ここまでヒントを出しても答えを出せないような能無しなの?」
「能無しだと! いや、待て!? 確かに、そうだな……少し冷静になってみるか」
ポメルに言われ真生は一瞬、腹を立てた。だが、ポメルの言っていることも確かに正しいと思い冷静になる。
「そうそう……冷静に考えてみてねえ。それでも分からないようなら、それだけの存在しかないってこと……」
「ああ……そうだな。このぐらいのことも考えられないなら真の魔王なんってなれやしない!」
そう言い放ち真生は思考を巡らせる。
その言葉を聞きポメルは、ウットリし喜んでいるようだ。
(こうでなければ駄目よ。ワタシの理想である魔王さまは物事を瞬時に理解し判断できて聡明な方じゃないとね)
そうポメルは真生に自分の理想を押し付けただけである。
そんな事とも知らない真生は、ひたすら悩んでいた。
(そうは言ったが、どうすればいいんだ?)
読んで頂きありがとうございます(/・ω・)/
では次話もよろしくお願いします(#^^#)




