塔と本に夢中と警戒と
塔の入口付近で真生はライゼア達に言葉をかけたあと中に入っていき……。
翌日になり、ここはドウナーアル城に隣接する塔だ。
塔は何階層まであるのか雲を突き抜けていてみえない。
この塔の最上層部にはアルラセナがいる。
そして塔の入口に真生の姿があった。その近くにはライゼア、ダランカル、ナシェル、アクスファハンの四人が真生を見送るために来ている。
現在、真生は塔を下から上へとみて口を開け驚いていた。
「どれだけ高いんだ? 天辺が全然みえないぞ」
「百階層以上は確かあったはず」
「そんなに階層があるのか。だが、どうやって建てたんだ?」
こんなに高い塔を、どんな方法を使って建てたのか真生は凄いと思い魅入っている。
「よくは分かりませんが……確か各種族の能力と魔法を駆使して建てたと聞いてますう」
「なるほど……協力してか。どのぐらいの年月を費やして完成したんだろうな」
「そこまでは分からないのじゃ」
そうナシェルが言うとライゼアとダランカルとアクスファハンは頷いた。
「そうか……まあいい。それに、このことを考えたって仕方ない。今は塔の最上階に向かいアルラセナに辿り着けるかだ」
「昨日も言ったが。塔の中には色んな罠が仕掛けられてる。いや、それだけじゃねえ。アルラセナが更に罠を仕掛けているかもしれねえからな」
「ああ……勿論、気を付ける」
そう言い真生は片手をあげ軽く振り笑みを浮かべる。そして「じゃあ行く」と言ってライゼア達に背を向け塔の中へ入っていった。
「マオウ様……大丈夫でしょうか? 心配ですう」
「心配していても仕方ないのじゃ」
「ナシェルの言う通りだ。そんな簡単に魔王さまがくたばる訳ねえ。まあ心配なのは塔を破壊されるんじゃねえかってな」
「ええ……もし何もなくアルラセナ様の所に辿り着いたとしてもです。戦闘にでもなれば間違いなく塔は破壊されるでしょう」
四人は真生よりも塔のことを心配しているようだ。
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その頃、何処かの薄暗い建物の一室では真生を召喚した者が水晶の前で本を読んでいる。
どうやら水晶に真生の姿が映し出されているにも拘らず気づいていないのか吞気にお茶やお菓子を口に運びながら本を読んでいるようだ。
それにしても、どんな本を読んでいるのだろう。
(人間の国から拝借してきましたロマンス小説は、とても参考になりますわ。
ああ……マオが早く魔王に覚醒しないかしら。その時は私が貴方の心を射止めるのですわ)
相当、自分に自信があるようだ。
(私がマオを召喚したのですもの、もしなびかないようでしたら操れば良いのですわ。まあ、そんな万が一などあるとも思えませんが)
そう思考を巡らせながら高笑いをしていたのだった。
――場所は塔の第一階層に移る――
塔の中へ入った真生は周囲を見渡した。
「魔物が住みついている。これって倒さない方がいいのか?」
そう思い警戒しながら歩みを進める。
周囲に魔物や魔獣が居るにも拘らず真生を襲うどころか逆に怯え警戒しているようだ。
まあ、それだけ真生の体から強い気が漏れ出しているのだろう。
これでもダランカルに教わったお陰で、だいぶ気を抑えられるようにはなっているのだ。
「襲ってくる気配はないな。それなら構わないでおくか」
そう言い真生は第二階層にのぼる階段を探しながら奥へと向かっていった。
読んで頂きありがとうございます(^_^)/
では次話もよろしくお願いします(#^^#)




