睡眠と襲われ蹴ると着替えと
真生は魔王の玉座に腰かけ眠っていると……。
ライゼアを待つ間、真生は退屈だったので玉座に恐る恐る腰かけた。
(この椅子って……多分、魔王の玉座ってヤツだよな。まあ、これから魔王になるなら座っても問題ないだろう。
そういえば、この魔王城にはライゼアしか居ないのか? もし他に居るなら、どうやって証明したらいいんだ。
ライゼアだけが俺を魔王と言っていたとしても他のヤツらは理解しないんじゃないのか?)
不安になり対処法が何かないかと考える。
すると脳裏に【今考えても何も浮かびません】その後【何も考えず普通にしていましょう】のように書き込まれた。
(そうだな……まだ起きていないことを考えていたって分かりっこない。今は目の前で起きたことに対処していくしかないんだよな)
そう考えが纏まると【そう、それでいいのですよ】そう脳裏に浮かび上がる。
ニヤッと笑みを浮かべ真生は「ああ……」と言ったあと疲れたので目お閉じた。すると何時の間にか眠ってしまう。
暫くしてライゼアは部屋に入るなり眠っている真生を、ウットリし見惚れる。
「寝ているマオウ様も素敵ですう。んー……魔王となったばかりで疲れたのかもしれないわ。ですが、みていたら味見したくなったのですけど」
吸い込まれるようにライゼアは「カプッ!!」と真生の首筋にかぶりついた。
「※▲✕★……!?」
寝ている所いきなり首筋を噛まれ痛さのあまり真生はライゼアを思いっきり蹴ってしまう。
蹴られたライゼアは宙を舞ったあと床に叩き付けられる。
「痛いですう……マオウ様。ですが素敵な、ご褒美ありがとうございますう」
それを聞き真生は、ジト目でライゼアをみた。
「ご褒美って……ハァー、まあいいか。それよりも、なんで俺の首筋を噛んだ? それに……そういえばライゼアの種族って」
「種族? あーヴァンキュスですう。それと噛んだ理由は余りにもマオウ様が美味しそうだったのと無防備でしたので」
「そういう事か。血を吸うって……ヴァンパイアみたいな種族なのか?」
ニコッと笑みを浮かべライゼアは首を横に振る。
「違いますう。あのような下等種族と一緒にしないでください。それはそうと、マオウ様は何も知らないのですね……なぜですの?」
そう問われ真生は、なんて応えればいいのかと戸惑った。
タイミングよく真生の脳裏に【異世界から来たことを伝えても問題ないですよ】と文字が浮かんだ。
「……(汗)。信じてくれるか分からないが俺は、この世界と違う場所から転移して来たんだ」
「異世界転移……そうなのですね。では別の世界で産まれ、この世界で覚醒するべく……」
「そ、そういう事だ(汗)」――……――(フゥー……勝手に解釈してくれて助かった)
そう言い真生は苦笑する。
「それでは、この世界のことを何も知らない……じゃあ着替えたあと書斎を案内しますので」
「もしかして……勉強をするのか?」
「勉強? それが何か分かりませんが、この世界のことを学んで頂きますう」
なんで異世界に来てまで勉強しないといけないんだと思い真生は、ハァーっと溜息をついた。
「まあ、そうだな。この世界のことを知っておかないと何もできないか」
「そうですう……では先ず着替えてください」
床に落としてしまった魔王の服を取りライゼアは汚れていないかを確認する。その後ホコリを落としたあと真生に渡した。
(思ったよりも派手じゃない。どこぞの貴族が着る服を少し派手にした感じだ。これなら、なんとか着れる)
服を受け取ると真生は着替える場所を探し周囲をみる。
「ここじゃ着替えられないな」
「アタシは気にしませんわ。いえ、お着替えの手伝いをさせて頂きたいのですが」
「そ、それは……大丈夫だ! 自分で着替えたい」
そう言われライゼアは目を潤ませ泣きそうになっていた。
真生はそれをみて、どうしたらいいんだと困惑する。
【着替えをさせてもらった方がいいでしょう】と真生の脳裏に浮かんだ。
(ああ、そうだな。分かったよ。覚悟を決めりゃいいんだろ(泣く)……)
そう思い真生は腹をくくりライゼアを見据える。
「ごめん……そ、そうだな。やっぱりライゼアに着替えを手伝ってもらおうか」
ライゼアの目が輝いた。
「はい! 喜んで着替えをお手伝いいたしますう」
「ああ……頼む」
そう言い真生は魔王の服をライゼアに渡す。
ニコニコしながらライゼアは魔王の服を受け取り近くの台に置くと真生の服を脱がせ始める。
そして真生は、どうにでもなれと思いライゼアに身を任せ着替えをしていたのだった。
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