進化から卒業へ
外伝二話突入
そして本編は多分明日に更新
櫻木優斗が誕生してから10年の月日が経った。
そのころには彼についての事件はもう忘れ去られたものへと変わった。
櫻木優斗の義理の父となったΦは、彼と共に現在日本を離れ、イタリアのベネチアに住んでいる。
「なあΦ。あんたは何者なんだ。そして俺も何者なんだ。」
「はあ。いいか優斗。君は私とは血縁関係にない。それに正体を探るにはまだまだこれからさ。」
「うーわ。マジで腹立つ。」
「そう生意気いうのもあいつに似ている。」
Φは狙撃銃を取り出し、白い布巾で丁寧に拭く。
櫻木はため息をつき、玄関まで向かう。
「おい優斗。どこに行くんだ。」
「別に、今日はスパゲッティの気分なんだ。買い物に行くんだよ。」
「なら、財布もってけ。」
「いいよ。あとで払ってくれればいい。」
櫻木はそう言って、家を出た。
家の場所は地中海を眺めることが出来る絶景の場。
櫻木はその時、何かを知りたかった。
この時の櫻木はすでに海外の大学を飛び級し、数か月前卒業した。
しかしその時まではΦの言うとおりに行動していた。
だから櫻木は今日初めて自由になれたといっても過言ではない。
櫻木はそのまま坂を下り、いつものお店に向かった。
「おや。あんたあそこの爺さんの坊主じゃねえか。買い物か。」
「まあついでに。あとどっか面白い場所とか知ってたら案内してくれよ。」
「へへへいいぜ。ああでも先に情報料を買わなくちゃな。」
「情報料か。ならあの麺とトマトを三種類。マッシュルームがあったらそれをくれ。」
「さすが分かってるじゃねえか。そうだな。本当は2.3ユーロだが、今回はおまけして1.7ユーロにしてやるよ。」
「はいちょうど。じゃあ教えてくれよ。」
「ああ。確かあそこのサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会っていうところにいったらどうだ。最近になってやたらと人気が出たのか、観光客も多く来るんだよな。」
「へー。」
「ああでも水上バスで6ユーロかかるから、金持ってなかったらやめとけよ。まあ乗らなくても写真とかとってもいいけどな。」
「ふーん。ありがと。じゃあまた。」
櫻木はそのまま走る。
「ははは。やっぱガキは良いもんだね。」
「すいません。」
「ああ、いらっしゃい。」
その返答と同時に銃口が店主の額に触れる。
「ここに、黒髪で日本人の少年はいませんでしたか。」
「おいおい。それについては先に情報料を払わなくちゃ。」
「これが、あんた用のものさ。」
銃の引き金が引かれると同時に、強盗犯の腕が一瞬で切断された。
銃の発砲はなく、ただその場に腕が転がり落ちた。
「な・・・なんなんでお前は。」
「ああ、ここはただの店じゃねえんだ。一応、御用達のためのものだから。残念だけど死んでくれ。」
店主は銃を抜き取り、そのまま発砲。
「おし、クリーニングだ。丁寧に掃除しろよ。」
店から現れたのは、数名の清掃員だった。
清掃員はモップをバケツに入れ、死にこませると、死体にそのままこする。
すると、その死体はそのまま消えていった。
「さすが特殊榕化液。全く何の成分が入ってんだ。」
「少なくとも地面が何一つ害がないのと、薬品成分がすでに無くなっているので、使用後には影響はないようです。」
「しかしあの爺さんも頭おかしいだろ。確かに系列の事務所だけどよ。こちとら今ギャングと抗争中なんだよ。なんだよあいつを守るなんて。あいつってそこまで狙われてるのか。」
「当たり前ですよ。彼、軍事帝国の指揮官ワンダーランドのリーダー『アリス』の息子だって。そしてその国の参謀と駆け落ちして日本で生まれた彼を国が逃すわけにはいかないでしょ。」
すると死体の中から何かが現れる。
「これは、GPS探査機器。」
「もしかしたら、もうすでに、彼は狙われている。」
空中から突如現れる手榴弾。
その爆発はベネチア全体に知れ渡る。
「ここがサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会。」
櫻木は水上バスを使い、この場所へと着く。
中に入ると絵画の数々。
観光客はそれに感化されているが、櫻木は全く心が動かなかった。
なんとも言えない感じだ。
そもそも芸術を理解しているのかが謎なんだが。
櫻木はそのまま奥へと進む。
そのとき、遠くから爆発音がこの場に響く。
教会内はパニックになり、その場にいる人々は慌てふためく。
すると誰かが櫻木に近づく。
櫻木は違和感を感じたのか、その人から逃げる。
何だあいつは。何故俺を追いかける。
櫻木はそのまま協会内に出た。
そのまま買ってきた食料品を外に置き、隠れる。
すると黒いコートを羽織った集団が一斉に出てきた。
あいつらはなんだ。
目的は俺なのか。
分からないが、俺を追っていることは分かる。
だからこそ、どうするべきか考えろ。
すると一人倒れる。
その集団は慌て、そのまま散会した。
櫻木の目の前を通過したが、視界に入っていなかったのか、そのまま走り去った。
櫻木はその死体に近づく。
そこから銃とGPS探査機器、撃ち込まれた銃弾を拾う。
銃弾にはK2341と書かれている。
K2341・・どこかで見たことある。
「おい。お前今何をしている。」
後ろに黒い男が櫻木に向かって話しかける。
「そういえばなんでここに日本人のガキがいるんだ。」
「日本人。確かに日本人だ。」
「おおっと。イタリア語を話すのか。君、もしかして地元の人。だったらなおさらここから離れろよ。今死神が鎌を飛ばしたからな。」
「死神・・・?」
「まああるバケモンがここに潜伏している。だからこそ、お前の安全を考慮して言ったんだ。さっさと行け。」
櫻木はそのまま去る。
この時チャンスであった。
絶好のチャンスだ。
だが獣は狩人の言葉を信じてはいけない。
彼は銃を抜き取っていた。
だがその前に、彼は倒れたのだ。
櫻木は後ろ向きで気づかれないように撃ったのだ。
「お前。なんで。」
「なんでって。狩人の言葉を信じたからじゃないからかな。」
するとどんどんと仲間が集まってくる。
櫻木は何のためらいもなく打ち続ける。
そして買い物袋のそばまで走り、中に入っていたものを取る。
取ったのは、小型拳銃である。
そのまま黒い集団の頸動脈を狙い撃つ。
そこから手榴弾を取り出し、後ろに迫る敵を爆破させる。
その爆煙の中、櫻木は突っ込み、奥にいる最後の一人をナイフで刺す。
櫻木は教会内の敵を倒した。
「なぜだ。なぜ殺せる。」
「何って。今回は重大な、卒業試験だからさ。」
辺りからは拍手喝采の声援が送られる。
「は・・・何だよこれ。」
「じゃあな。」
櫻木は最後の一人の顔を踏み潰す。
「おめでとうございます。あなたは晴れて、ビギナーからエージェントになりました。これからも立ちはだかる困難が待っていますが、このナイフに誓い、新たな存在へと変わり進化しましょう。」
一人の老人があるパスを櫻木に渡す。
櫻木はここから新たに、殺し屋となった。
「ただいま。」
「お帰り。よく合格したな。」
「それで、話してくれるんだろ。俺の正体を。」
「ほっほっほ。相変わらず面白い奴じゃ。」
「いきなり爺臭くなったな。」
「まあそれはおいおい分かることじゃろ。しかし私の本当の名を聞かさねばならない。」
「Φじゃない名か。」
「ああ、私の名前は櫻木重蔵。まあもう貴様にはその名を無くしてもいいだろ。新しい道に進むんじゃからな。」
「別に、そのままでいいよ。いいや、そのままにしてくれ。俺はそのために生まれてきたようなもんだ。だからこの名を人生で通すよ。」
「はあー。まあ別にいいんだけど。とりあえず明日からイギリスな。」
・・・・
櫻木はそのままイギリスに強制出向された。
とはいえあれは予想外だった。
一体だれが、襲ってきたのか。
豆知識
麺・・・小型拳銃
トマト・・・銃弾
マッシュルーム・・・手榴弾
ちなみに店主と清掃員らは無事でした。