第3章、第4章、第5章
この話はかなり短くなってしまったため、3、4、5章を合わせて投稿させていただきます
第3章
彼女はいつも楽しそうにしていた。
雨が降った日は雫を眺め、
曇りの日は風を楽しむ為に鼻を高くあげ何も見えない中ひっそりと微笑んでいた。
笑っていること自体は少なかったが、何処かで楽しんでいていつも満喫していた。
私にはそうみえた。
そんなリリィでも悲しそうな顔を見せる。
蝉が夏を教える頃だった。
第4章
私は身体が弱いらしい。
軸のない足音をたてながら歩いていた。
ここは、よく、分からないけど、みんながいなくて静かだから好き。
でも人がいると五月蝿くて怖くて表情を変える。
だから夜に自分でわざわざここに来る。
あ、あの。
と声をかけられて振り返るとそこには多分女の人がいた。
大丈夫ですか、?
声をかけられ私は必死に逃げようとした。
怖かった。
母親とか、父親とか、友達とか、置いていったなんて知られたらまたあの日々に戻ってしまう。
上手く話せなくて、いつも沈黙を創ってしまっていた。
だから、落ち着けるようにいつも同じ語を話す前に持ってきた。
「わたしね」と言えばみんなしんみりとせずに軽やかに聞いてくれる。
あの人たちも今の私に逢ったら見直してくれるかな、。
私はわたしらしく全力で回していた足を止め後ろを振り迎えって言った。
「わたしねリリィって言うの。」
彼女との出会いはここからだった。
私は夏が嫌いだ。大嫌いだ。
暑苦しくて鼻に纏わりつくような夏の汚れた匂いを身に纏う私の手を繋いでくれた。
ここにいることは誰にも言わない。
私が見張っているからゆっくり寝ていいよ。
おやすみ。
と言って貴女は私が寝るまでずっと抱きしめてくれていた。
第5章
お姉さんこんにちは。
そこには先客がいた。
「私ね、分からないの。貴女はどうしてここを知ってるの?」
「今の私はもしかしたら気まづい顔しちゃってるかな、質問に質問で返しちゃってごめんね
でも、私は“貴方”を待っていたの。」
「私ね、リリィっていうの」
「そう、リリィ、久しぶりねリリィ」
「とりあえず私がなぜここを知っているか話すね」
優しそうな口調で話す貴女。
貴女と一緒にいた昔の記憶が迷彩からでてきた。
徐々にまた偏りを見せるようになると思っていた。
けれど貴女にはもう昔の面影はなく、ましてや哀愁など微塵も感じなかった。
カーテンが揺らぐあの一瞬の儚い刹那の時間をも貴女は大切にしているように思えた。
「リリィ、聞いてくれてる?」
逃げなければいけないと身体が言っているように感じた。
過去を避けなければならない、過去に触れてはいけない。
「待って、リリィ!」
私は無我夢中で走った。
でも途中で喀血してしまって迫り来る貴女を他所に私はその場に倒れ込み瞼を閉じた。
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