4話 信頼
よろしくお願いします
「嘘だろ」
進は絶望していた。
なぜなら、10年前の大量無差別殺人事件は全てヒーロー達の手で仕組まれたものだと聞かされたからである。
進の心はもうぐちゃぐちゃに乱れていた。
そんなのありえない!いや、あってはいけないそんな事!ヒーローがそんなことするはずがない
…いや、まてよまだ証拠が語られてない。
これは、ただの憶測に過ぎないじゃないか
「証拠は?」
恐る恐る尋ねる。
「そんなものはない、全て憶測にすぎないからな」
不破は淡々と話す
「話になりませんね。机上の空論なんか聞きたくないです」
「お前も洗脳済みか。」
「はい?」
「
お前は10年前の事件何かおかしいと思わなかったのか?なぜ国は犯罪組織の名を公表しなかった。犯罪者の顔や実名だってただの一人も公表されていないなんておかしくないか。そこから俺たちは過去の凶悪犯罪者達とセイバーズがグルの可能性が高いと考えている。国とヒーローどもがグルかどうかはわからんがなんらかのヒーローによる圧力がかかっているはずだ。
次に、一年目の大量のヒーロー志願者に対するヒーロー養成所及びヒーロー組織本部の歓迎具合だ。なぜあれだけの人員を一年目に取り込んだ?単なる優しさか?本当に大量のヒーロー達で飽和したから翌年から厳しい審査を設けるようにしたのか?これも憶測になるが、
最初の一年目の加入者のほとんどつまりは今表で行動しているヒーローのほとんどが10年前の凶悪犯罪者達で構成されていると考えられる。翌年から加入を厳しくしたのは何も知らない新参者は単なる不安要素にしかならないからだと思う。
最後に… 」
「ちょ、ちょっと待ってください少し整理させてください」
あまりの情報量に進の頭はオーバーヒートを起こしていた。
何を間に受けているんだ俺は
あくまで、憶測だ。
そう、理にかなっている憶測…
だってもし仮に万が一この憶測が正しかったとしたら、父さん、母さんはヒーロー達によって殺されたってことになる。そんなの認めない。認めたくない。
進の全身からは大量の汗が噴き出していた。
それを見ていた不破は進に優しく話しかける
「すまん。正直お前がそういう反応するのは想像がついていた。だからすぐに言い出せなかった。かといって、言い出さないわけにもいかないだろ。ずっと俺はお前を見てきた。そして今のお前なら全てを受け入れられる覚悟があると信じて全てを打ち明ける決心をした。
……でも、そりゃ簡単に受け入れろなんて無理な話だよなぁ。信じたくもねぇよな。だって、お前本気でヒーロー目指してたんだからよぉ。」
不破の目には涙が溢れていた。
「…不破さん」
あの不破さんが泣いている笑顔すら滅多に見せたことのない人が泣いている。
その事実だけが信頼に値する証拠になった。
進はこれまでに経験したことのないほど強く胸が締め付けられていた。
俺はなんてダメ奴なんだ。
ちゃんと、訳も聞かず気が動転した勢いで言いたい放題言って挙句に俺のことをここまで育ててくれた人を疑い失望までしてしまうなんて。
不破さんは俺のことを心から気遣ってくれていただけなのに。
何が真のヒーローだ俺は…俺は
…
最低だ。