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気ぶりカップルストーキング作戦

全話の別視点です。裏話的なものです

割とバカップルの話は面白くかけるので好きです。

ヒッカム空軍基地 メインストリート


「あのー?涼花ちゃん?なんであの子たちをつけてるのかね?」


「しー…です吉継さん。あのニブニブポンコツ星人がデートです…。きっとハプニングのひとつやふたつあると思うので…助けてあげないと…」


持ち前のハイスペックを惜しみなく使って同じ様に隠れる吉継。壁に張り付いて涼花の友人らしき女の子を共に尾行していた。


「涼花さんや、デートの尾行なら自然について行けばカップルだから目立たないのでは?」


「でもぉ…」


「この僕に可愛い涼花とデートする権利を頂けませんか?」


「……許します」


吉継が差し出す右手に左手を差し出した涼花は頬を赤らめて彼の右を手を繋いで歩いてゆく。


メインストリート とあるカフェ


『わぁ…こんな綺麗だと食べれないです〜』


『そういう……よ…』


『嬉しいですけど、そういうことは将来結婚する娘に言ってあげてくださいね?』


『この鈍感……!』


『これでも感は鋭いって部隊では言われていたんですよ〜?!』


「涼花ちゃん?あの鈍感お化けは何?同じ男として可哀想に感じてきたよ」


「やっぱり…」


少し離れたテーブルにて吉継は鈍感お化けにため息をつきつつ、大盛りパフェを食べる涼花に話しかける。


「全く…!あんなにアピールされて冗談だと思うなんて…!むぐっ…小学生相手だとしても考えられません…!」


少し怒ったからか頬張るパフェのせいか頬が膨れている涼花を優しげに吉継が見つめ、


「それにしても可愛いなぁ…」


とつぶやく。


「ダメです…!吉継さんは私だけのものです…!」


涼花はそれに対し、唯華達が見えないように椅子から立ち上がり、膨れた頬で訴える。吉継はため息をつきつつ、涼花の目を見て答える。


「涼花が今日も可愛すぎる。友達の恋路を心配して尾行したり、フルーツいっぱいのパフェを頼む時少し悩んだり、俺が余所見したと思ってヤキモチ妬いたり。これには初めて神に感謝したかも。いや、あの時感謝したわ」


「恥ずかしいからやめてください…」


その時カフェの客と慎太郎は気がついた。


『この空間甘ったるいな』と



購買部 入口


『どーしよー!そうじゃん!私退官していたじゃん!』


『他の所でもいいよ。……だし』


『それは嬉しいのですが!せっかく案内出来たのにぃ!』


「だと思った…」


「退官してたら入れないわな…声かける?」


「そうだね……って待って…!あれ六花ちゃん達じゃない…?何とかなるかも」


二人の視線の先には六花達4人が歩いていた。どうやら気がついた様で2人にそれぞれが話しかけ、中に一緒に入る事にしたようだった。


「良かった…」


「いや、一般の人は一人までじゃなかった?あのお姉ちゃんと二人じゃ不味いんじゃない?」


そう呟く吉継に涼花はフフン♪と得意げな顔をする。


「あれを見て…最強の通行手形だから…」


「うぉ!芽衣ちゃんもいるのか…!…すげえ、あの融通が効かない奴らが特例を認めたのかよ…」


「寧ろ芽衣ちゃんにお願いされてダメって言える人物が貴重じゃない…?」


「確かに…姉妹…はダメだな。相当なことじゃなければ甘やかすだろうし…あれ?いなくない?」


「まぁ芽衣ちゃん自身は六花ちゃん関係以外は常識人だし問題は無いだろうけど…」


目の前に現れたのはレジスタンス公式(許可済み)アイドル黒井芽衣。恐らく知らない隊員はいない程の人気と本人の明るく可愛らしい性格からほぼ何処でも顔パスという存在だが、吉継は知っていた。彼女が一人で出かける事は無いと。


「あー…やっぱりあのビルの屋上に小梅さん達いる…」


「冗談でもその銃口を向けないで欲しいけどね…」


「あっ、六花ちゃんもこっちに気がついてるみたい…。ありがとー…」


涼花が小さく手を振ると、向こうもこっそり振り返してきた。


「さて俺達もデートとしますか。雑貨でも見てく?あとあまり手を揉まれるとこちらも照れるというか…」


「へぇっ…?!これはその…大きいなぁって…」


照れたように頬を染め体格差的に上目遣いとなるその一言は吉継のハートを撃ち抜くには強すぎた。しかし次の瞬間には背中に何かが激突した様な感触と痛みが走った。何となく何処からか


『イチャついてんじゃないわよ!』


とお叱りが質量を持った非殺傷弾として飛んで来たようだった。


「イテテ…それじゃ中入ろうか?何となくまた背中が痛くなりそうだし」


道を見渡せるビルの方に向かって怒ってるよ!とジェスチャーをする涼花の手を引きつつ購買部モールに入って行った。


「地下は食料品店だけだから…二階の雑貨コーナーだね」


「姉さん達ってば……」


涼花に背中をさすられながら吉継は二階に向かうこととした。


「これ可愛い…」


「ん?あぁ確かに可愛い…のか?ハマグリ?」


涼花はそのデフォルメされたハマグリが描かれたグラスを2つ手に取り、カゴに入れる。


「ハマグリって同じ貝の形はないんだって…だからその…ええっと…なんでもない…!」


その時吉継は察した!でも本人から言わせた方が可愛いと!


「へー、すごいね!遺伝子で決まってるのかな?」


「その…私達も別々になっちゃったら…ピッタリといかないよね…?だからその…ずっと…一緒が…いいな…なんて?」


よしつぐのきゅうしょにあたった!こうかはばつぐんだ!かわいさにはいぼくした。


「…日向ちゃんに借金してでも…!」


「そんなに高くないよ…?!二つで20レジドル位だよ…?!」


「いや、結納金とか…式代とか」


「…何時でも待ってるから…♪大切にしてね…?一生♪」


周りの男性隊員は壁を殴ったし、女性隊員達はあら〜と微笑んだ。そして空気は甘くなり、休日返上で荷物を運んでいた二人は「なんか隊長達がイチャついてる気配!」と感じ取った。



「何だかんだ買い物したね」


「フフフッ…アナタ…♡旦那様…♡吉継さーん…♡迷うなぁ…♡」


買い物中の涼花の小さな呟きは吉継の理性を削りに削り、今に至っても削りとる。あれ以降涼花の脳内では新婚生活が広がり、それはとても幸せなようだった。吉継は恥ずかしいやら自分がその中心とされているのが嬉しいやらで大変だった。


「俺はなんつー娘に惚れたんだ…」


「えへへっ…後悔しても離してあげません…♪」


「死んでも離れたくないから困ってんだけどなぁ…」


「あっちでも一緒に決まってますよ…。神様を脅しますので…♡」


周りは思った。イチャつきやがってと。そしてついでに思った。神様を脅すって何?と。


「あれー?涼花ちゃん達だー!」


「涼花お姉さんと栗林のお兄さん?何でここに?」


「Zzz…んぁ…涼花ねーねと吉にーに…?」


後ろからゆっくりと近づくお菓子類の山にはヒッカム空軍基地名物の高官娘三人組が器用に後ろ側に座っていた。


「げぇ!日向ちゃん!今日はお菓子の持ち合わせは無いぜ…」


「今日は買い出し…?」


二人が話しかけると日向はリアカーの引手に指を向け、ストーップ!と叫ぶとそちらから悲鳴と呻きが聞こえてきた。


「イッテェ!聞こえてるっつーの…」


それに呼応するようになんで俺も私もと抗議の声が上がる。


「この方法が早いんだもん」


「お父さん話聞かないし」


「あんてーは大事…」


ちびっこ達はその抗議に軽く返す。その中から二人の半ばボロ切れのような男二人が出てくる。


「隊長ー!俺ら売ってデートっすかー?」


「酷い目にあってるぜ…あれがなけりゃ栗原さんを締め上げてた」


何故か第4偵察班の二人が訓練師団に混じってリアカーを押していたようだった。


「西寺と田中ぁ?何でこんな事に…」


「今日は待機…だったと思うのですが…」


「東城さんからは隊長命令だと聞いてるっす」


「同じく」


それを聞いた日向は少し考えるとお菓子の山を渡り、リアカー人夫リーダーの首を両手で軽く包む。


「悪人成敗サンダー!」


東城は道に倒れ込み、その後に来た娘に踏んだり蹴ったりされ、その友人に身体いっぱいにサインペンで小学生らしい落書きをされていた。



「イッテェ…日向ちゃん何すんだよ!というかこれはやりすぎだろ!」


「知らなーい、罰でも当たったんじゃない?」


「お父さん…ハァ…」


「さいてー」


カップルは苦笑いしつつ、班員含む訓練隊員達に解散を伝え、ぶつくさいう上官を荷造り用のロープでリアカーの持ち手に縛ると三人組に別れを告げた。


「じゃーねー涼花お姉ちゃん!」


「おい待てー!これ解いてから去ってくれー!」


「ヒナちゃん、何か叩けるものある?」


「花ちゃん…ハエたたきあった…」


二人が海岸線へ向かうと、後ろからぺシーン!イッテェ!と音がし、居住区の方へ向かっていった。




ヒッカム空軍基地 海軍部 広場


「涼花ちゃん、なんでここ?確かに景色はいいけど…陸軍部上がりとしては肩身が狭いのだけど」


「秘密…♪」


二人は海軍部管轄エリアの広場に来ていた。芝生に覆われた広場は運動に励む隊員が多くいて、のんびりとは少し違うような場所であった。


「確かにたまには芝生の上でのんびりするのもいいかな」


「こっち来て…」


広場の片隅、海に面した広場からは見えない物陰にポツンと鐘が置かれていた。そこには例の鐘と書かれており、嫌がらせ目的の設置だったのがとある事情で聖地になった場所であった。


「あぁー…陸軍部時代に海軍部の奴への嫌がらせに作ったけど…ありきたりだけど確かにいいかもね」


「…一緒につこ…?」


吉継はあくまで『モテない海軍部隊員に嫌がらせ目的の恋人の鐘(笑)』の認識だが、涼花からしたら『友人姉妹のアレ以降聖地と化した霊幻新隆な鐘』なのである。なので、看板には『この鐘をついた恋人は永遠に結ばれます(笑)』と書いてあるが、アレ以降その後にそれに従ってキスととある一言つけるのがロマンチスト乙女隊員に伝わるおまじないになった。


「じゃあせーのでいこうか、せーの!」


紐を引くとカランカランと鐘の音がし、男性隊員は、誰かが嫌がらせでついたのだろうと、そして数人の女性隊員は二人の後ろからこっそり眺めていた。


「さーてこれでずっと一緒だね」


もちろんそうとは知らないただの鐘と思っている吉継は涼花に向き直り話しかけると、涼花が満面の笑みでこちらを向いていた。そしてそのまま背伸びをして頬にキスをすると、


「吉継さん…!だーい好き…です…!」


その時数人の女性隊員は芝生の斜面に倒れ込み、ただ一言『尊い…!』と気絶した。吉継はフリーズしていた。


「吉継さん…?」


「…ドウイウコトナノ?」


「実は…芽衣ちゃんがここに来て、六花ちゃんに本気の告白をしたらしくて…、それからは鐘がなっている間にキスと告白をするとずーっと一緒でいられるんだって…♪」


少しはにかむ様に涼花が伝えると、吉継はそのまま笑顔になった後地面に倒れた。


「吉継さん…?!吉継さーん!!」


彼の身体にはカワイイが強すぎた。浴びたカワイイは彼の脳を焼き、心臓を止め、鼻から溢れ出た。

客観的に見れば、鼻血を地面に広げ、可愛すぎると小さく呟く死体の様になっていた。


その後、買い物から帰り、のんびりしていた芽衣の元に六花に担がれた吉継とその横で事の顛末を伝え、芽衣に黒歴史を思い出させる涼花が泣きながらやってきた。事件現場で心配して物陰からスキャニングしていたものはこう言った。


「あたし思うの、恋する乙女の本気の告白は相手と付近にいる人を殺せる禁止カードだと」


ちなみに目が覚めたら何故か怒っているような芽衣に追い出された吉継が帰るとベットに結婚資金と書かれた封筒に、とある人物の名義が書かれた膨大な金額が書かれた小切手が手紙と共に置かれていた。


『親愛なる栗原へ、これまでとこれからの迷惑料です。これを使って幸せにしてあげてください。貴方の妹分H.Kより』

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