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騒乱の双子 買い物編

エタることはないです。忙しくてかけてないだけです(言い訳)

ヒッカム空軍基地 購買部

なんやかんやと合流した六花達は購買部入り口にて、金属探知機ゲートの横に立哨中である隊員に、隊員カードの確認を要求された。六花と芽衣、来夏は隊員カードを渡すと彼は難色を示した。

「申し訳ないのですがね、一般の方は1人2人なら同伴していただくことは出来るのですが、3人となりますと……」


「ダメですか……」


慎太郎と唯華が肩を下ろすと隊員は申し訳ないと言うように会釈をする。六花は仕方ないと後ろに隠れていた秘密兵器を前に出す。


「ダメなのです……?」


芽衣が身長的に上目遣いとなって小首を傾げて手を合わせて出てくると、


「こちら中央門警備小松、Aコード発生。警備隊に増援を要請する。繰り返すAコード発生。増援を要請する」


その無線通信に反応したのか付近で警戒していた隊員が急いで集まってきた。


「どうぞお通りください。荷物等に関しては是非とも我々にお声掛けいただければ」


先程のが嘘のようにとてつもなくにこやかに金属探知機ゲートをどかして呼び出しボタンらしきものを手渡す。


「いいんですか!?ありがとうごさいます!」


慎太郎が唯華と手を繋ぎ隊員に聞くと、


「まぁ君は知らないかもしれないがあの芽衣ちゃんの命令は割と高位でね……ヒッカム空軍基地内だったらほぼほぼ承認されるんだよ……。まぁさっきHコードも出てたけど……。遊びに来た隊員からすればカオスだろうね……。」



「久しぶりにここに来ましたけど、こんな立派でしたっけ?」


唯華はキョロキョロと見回し、慎太郎はそんな唯華を微笑ましく眺めている。


「流石はメイちゃん!一緒に来てくれて良かったよ」


「もっと崇めるがいいのですー!」


「あんたら往来で何やってるのよ……」


入り口付近で茶番をやる姉妹に遥は呆れつつ、初めて見る購買部を眺めていた。近くでは自らの頬をつねるもの、友人と殴りあって痛いと呟くもの。神に祈るもの。また黒井家関係者来たよ……と嘆く訓練教官長一同など様々な隊員がいた。


「まずは来夏の生活用品を揃えに行くべきじゃない?お菓子もそこにあるし芽衣ちゃんの用事も済ませておきましょ」


慎太郎達2人に芽衣が何かを渡すとそれぞれ別れて六花一行は1階の生活用品や食料品等の揃うテナント群へ足を進めた。




1階テナント群


「来夏の衛生用品と芽衣ちゃんのお菓子類から解決していきましょ」


「まぁ僕らの補充用でいいならうちに結構置いてあるけどね……」


「もったいない気もするのです。」


「それは……流石に出血多量で死んでしまうと思うので……まさか身体の危険があるとは…」


姉妹の発言に小声で来夏が呟く。


遥が、自分に合ったやつが1番いいのよと衛生用品のコーナーより持ってきてどれにすると来夏にいくつか見せながら答える。来夏はあっさりとどれにするかを決めると中々時間がかかりそうな芽衣のお菓子類の購入に移った。


お菓子類のコーナーには、女性隊員や若い男性隊員がチラホラと見受けられ、その中に一際目を引く小学生の3人組がいた。


「ヒナちゃん達なのです?」


「そうらしいね」


「妹さんですか?」


小学生の3人組は六花と芽衣に気がつくと1人は走って六花に飛びつき、1人は小脇に少女を抱えて走ってきた。


「おねーちゃん!」


「六花お姉さんに芽衣お姉さん!こんにちは」


「おー…ライねーねに遥おねーちゃん。ライねーねはお久しぶりー…」


1人は姉の腹に頭をグリグリし、1人は礼儀正しくペコリと頭を下げ、抱えられている少女は手の平を前にのばし挨拶する。


「買い物中声掛けてごめんね、花ちゃん」


「とんでもないです。会えて嬉しいですから!」


「とーかちゃん!!あいだがっだよー!って隊長!!どうしてこんなところに!」


「あー!来夏ちゃんだー!配置転換したけど孤児院無くなっていなかった?大丈夫?うちに来る?部屋ならいーっぱいあるから」


「へへへっ……待てよ……」


来夏は脳内で情報を整理した。

隊長は六花さんの妹→同じ家→推しとアイドルとマイエンジェルと同居→死亡確定(キャパオーバー)


来夏は流れる様に意識を彼方に送った……。


「あんたも器用に気絶できるものね……」


「いつものだー!」


見慣れた二人はいつもの事と思い、


「負けてられないね…」


「とっさに受け止めたのはいいとして、何を言ってるのです……」


芽衣はバカな事を呟く六花に呆れたように呟き、


「どうしよう!冬華ちゃん!」


「ライねーねは大丈夫。身体だけは丈夫」


花に降ろされた冬華は倒れる来夏の横にて親指を立てて答える。




二分程経った所で、花に心配した目で見られて、冬華にちょび髭を描かれていた、顔の上に男性用靴下が乗っかった来夏が目覚めた。


「失礼しました!もう大丈夫です。なんか臭い気はしますが!」


「いつもこんな扱いだったの?遥お姉ちゃん」


「懐かしさすら感じるわね」


「なんともな扱いなのです」


年長組が憐れむ様な視線を来夏に浴びせる中、花は摘んだものを日向から密閉容器を受け取り、顔を近づけない様にして収納していた。


「さて!芽衣ちゃんのお菓子、選んでいきましょー!」


「えっ?…そ、そうなのです!どれにしようかなー…」


芽衣は焦った様にお菓子類の置かれているコーナーに駆けて行き、小学生組がそれを追い越さない程度に走って着いていく。


「どのくらいかかりそう?しばらくかかるなら今日の夕飯の食材買って来るのだけど」


遥が六花へ所要時間を聞くと、六花はすぐに終わるよ。と芽衣の方を指さす。


「店員さん!いつもの詰め合わせをお願いするのですー!」


「あらあら…!今日は妹さんと来てたのねぇ」


会計にいた穏やかそうな80代程の女性店員はにこやかに対応した後、カウンターに置かれた電話を使い、「こちら13コーナー、芽衣ちゃんがいつもの詰め合わせを注文したから、発送準備お願いしますね」とどこかに伝えると、何か返答があったのか、あらあらと目を細め了承する旨を伝える。


「今日は東城のおじさん?が運んでくれるらしいわよ。お会計はこのくらいね〜」


「うんうん!良かった良かったー!」


「お父さん…」


「ついでに私達も乗せてもらって戻ろー…?多分物置には入り切らないだろうし…少し貰っていーい?芽衣おねーちゃん」


小学生組はマイペース?に各々の反応をし、芽衣は思い浮かんだ家族揃って迷惑をかけている男性に心の中で謝りつつ、タグを取りだし会計をする。


「いや、流石に一声かけてから購買部を回るのです」


「別にいいけど…いつものでしょ?」


「来夏のこと可哀想に思うのにそこは違うのね…」


遥は知らぬ不運な男に憐れみを持つが、六花が

「下手な訓練より隊員が成長するらしいよ。それをいい事に乗っかる東城さんも東城さんだけど」

と、言うと若干の呆れが湧いてきた。



「申し訳ないのです…」


「こんなことならおじさん達に任せておいてよ芽衣ちゃん!お前ら!感涙にむせいでる場合か!気持ちは分かるが行くぞ!」


「いえ…俺生きてて良かったなって」


「東城教官、私前方が霧がかっていて見えません!」


六花側からは見えないが、本人的には応援のつもりでサービスした笑顔を浮かべて、能力を使って疲労や怪我等を直した後、お願いする芽衣の対面には目元を抑えて涙を拭く者や、抱き合い号泣する者等々とても購買部入り口で繰り広げられているものとは思えない激戦地から命からがら帰還したかのような情景が拡がっていた。警備していた隊員含めた周囲もそれを見て涙し、芽衣と六花は今度から労わってあげようと若干の申し訳なさを感じていた。


「病院で分かってはいたけど、割と魔性よね。あの子」


「相当悪感情がない限り同性すら堕とすナチュラルボーンアイドルなので、うちのメイちゃん。中学生時代なんか下駄箱が使えないから鍵付きロッカーとポストありましたし」


遥は六花がサラッと発言した異常事態に引きつつ、咽び泣くゾンビ?の集団と、オロオロする一人の常識っ子とゾンビ達にせっつく二人の非常識っ子を見送った。

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