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騒乱の双子 お買い物編 合流

全部ランロクの所為です。私は悪くありません

ヒッカム空軍基地内 メインストリート


「全くあんな軽装備で帰ってきたと思ったら、戦闘機に詰め込めるだけ詰めて最速で帰ってきたのね…」


「えへへっお恥ずかしい…」


妹の近況を一通り話し終えた来夏は足りていない小物類や衛生用品等を買い出しに行くことになった。どうせならと芽衣ちゃん用ジュースや日向の菓子材料等を補充するために六花が、心配だからと遥が、価格交渉用の芽衣を連れてみんなでゾロゾロ購買部に向かっていた。


「いきなりウチも賑やかになったものだね、メイちゃん」


「だんだん長女としての立場が無くなってきているような気がするのです…」


遥は指を1つ2つと折って数えたあと、


「黒井家三女になるのかしら?」


「…五月家当主なので…いいのです」


芽衣はそういうと横でニヤつく黒井家次女を視界に入れた瞬間にキライ!と放った後、後ろの来夏にしがみつく。


「二人がいじめてくるのですー!!」


「ちょっと!私はいじめてなんかないわよ!」


「可哀想な芽衣おねーちゃん…私はそんな事しないよ!」


「あんたも何とか…六花?地面に転がってどうしたのよ……脈が触れない、呼吸無し、全く…日穂や小梅から聞いてはいたけど器用に死んでるわね」


「マズイじゃーん!急いで心肺蘇生しないと!」


「…嘘だって知ってるくせに、りっちゃんのばーか…」


芽衣の呟きに地面の死体はビクッと動くとブリッジから上体をもたげる様に起き上がる。


「気持ち悪っ…」


「ゾンビみたいっす」


芽衣は静かにお説教の準備を始めていた。



……なのです!わかった?」


「大変申し訳ございませんでした」


「あんた本っ当に変わらないわね」


「説教に見せかけた惚気ご馳走様でーす」


今回は甘味で誤魔化せず、こってりと道の端でレジスタンス隊員達にチラ見されながら叱られる六花と、身振り手振りで伝えたために若干息の上がった芽衣が身なりを整えると待っていた2人も歩き始める。


「しかし「さっきの誤魔化したわね」ゴホン!戦闘機を私用で使ってよかったの?神無月司令に怒られそうだけど」


「そこはうちの部隊長の手腕です!パイプがあってある程度の事なら不問になっちゃうんです!元々協調性0で手に余るエースの寄せ集め部隊ですからというのもありますがー」


「ちょっとライ!貴女なんでそんなところに入れられたのよ!」


「いやー小隊で色々ありましてー。それはいいんですよ、部隊長のおかげで部隊でも3~5番目には強くなりましたし」


「3〜5…確かにあんな飛び方する部隊だったら二人位は凄い人が居そうなのです」


「部隊長はうちの隊長を一方的に撃墜判定にしますから1と2の差はすごいですけどねー。本当に凄くて…飛び方に一目惚れと言いますかぁー…はい」


「僕の周りでは甘酸っぱいイベントが沢山だなぁ…ところで芽衣ちゃん」


「(これ以上は心臓が持たないので)嫌なのです」


「どんな事があれば人体が液状化するのかしら?」





購買部


「流石はヒッカム空軍基地!すごい店の数です!」


「私も初めて入ったけど凄いわね」


4人は入口にて案内板を見ながら行く店を決める。普段はレジスタンス隊員とその家族しか入れないため広い地下商業施設もどきはまばらに人が入るのみで空いていた。


「さて行こうか」


「新しいものがあるといいのですー」


姉妹が手を引き入ろうとすると来夏がそれを制止し走り出す。


「おーい!ユーイ!会いだがっだよー!」


「えっ!ライちゃん!?部隊は鹿島にいるんじゃないの?ほら涙と鼻水をこのティッシュで拭いて…」


「はいぢでんがんだよー」


「配置転換?じゃあ暫くはこっちにいる事になるんじゃないの?家では厳しいってメールで送ったよね?大丈夫なの?孤児院無くなったのは知ってる?」


「おーい、いきなり走ってどうしたの?ってユイちゃん。またあったね。おっと…慎太郎ごめんね」


追いかけてきた六花は来夏が抱きつく人物とそのエスコート役に声をかける。


「いいよ姉ちゃん、困って止まっていたところだし」


向こうでは双子が2人の空間を作っていたので慎太郎を連れて六花はヒソヒソ話す。


「どうしたの?購買部まで来て」


「唯華が除隊されたのを忘れて購買部で買い物しようと来たんだ」


「なるほど…デートの邪魔かもしれないけど僕達と入る?」


六花の提案にコクリと慎太郎が頷くとしばらくして芽衣達が追いついた。


「はぁはぁ…なんなのよってユイじゃない!それなら納得だわ。あの子空軍部行く時大変だったんだから」


「ふぅ…疲れたのです…。ってこれは!わぁー…すごいのです!」


芽衣はそういうと唯華のところへ向い、しげしげと眺め始めた。


「両足の関節にズレがあるし、骨折して接合した跡、肋骨もガタガタ、右足の神経と脊椎に損傷箇所、あとはストレスと疲労から来る体調不良もあわせて最高なのですー!」


「いきなり失礼だなぁー…って芽衣ちゃん!!どうしてここに!?」


「説明は後なのです!どうせりっちゃんが説明してくれるのです!」


芽衣は背中より菓子類やジュースを取り出すと唯華の背中に触れる。


「えっ!ちょ!くすぐったいってぇ!何か身体の中をモゾモゾされてる気がする!」


「こーら、動くんじゃないのです。最後にこことここをよいしょ」


「いっだぁ!!」


膝から崩れ落ちた唯華と満足そうな顔の芽衣。かたや呻いており、かたや腰に手を置いている。


「イテテ…何するの…」


「歩くのです」


「え?どう「あ、る、く、の、です」まぁいいけど…それがどうしたの?」


「大成功なのです!」


ムクリと立ち上がるとスタスタと歩く唯華。右足も左足も問題ない様に軽やかに出す。


「唯華ちゃん。右足でだけで立ってみて」


「六花ちゃん?出来ないことなんて知ってるでしょ?転んだら支えてね?」


ほらねと左足を上にあげるとしっかりと立てていた。


「どういうことぉ!!ドクターにも厳しいって言われたのに」


「お代はそうなのです…そう!限定品のクリームパンをご馳走になりたいのです!」


「待って混乱してるんだけど!何がどうだか」


「私も最初は戸惑ったわよ。昔の妹分がこんな子を姉妹にしてくるんだもの」


遥はため息混じりにつぶやくと、分かりやすく言うとねと前置きをし六花を指さし


「それは芽衣ちゃんの姉…じゃなくて芽衣ちゃん的には妹なんだっけ?兼司令部直属部隊44分隊員水無月改め黒井六花、その可愛らしい方がご存知の通りその姉妹黒井芽衣ちゃん。よくは知らないけど死んでなければ何でも治療できるらしいわ」


「水無月…?自警団での嫌な記憶が…夜間警備で寝てて避難できなくて本部うろついていたら窓から投げ込まれた人間に当たった時に聞こえたような気がする…」


「それは…ごめんね?あそこに居たのみんな敵対してたし…」


頭を抱える唯華にオロオロと言葉を紡ぐ六花。芽衣は哀れみ、その他はなんの事やらとポカンとしている。


「それはいいんですよぉ!どうして右足が治ったの!遥ぁ!」


「そっちに聞きなさいよ!」


「看護師でしょぉ〜!」


「看護師だからってあんなトンチキ分かるわけないでしょ!」


唯華は遥の肩を掴んで前後ろに揺らすも、遥に一喝され手を離す。そのまま芽衣の方へ目を向けると思いきや六花の肩を同じく揺らし始める。


「り〜っかちゃ〜ん!!ど〜いうことなのぉ〜!?」


「それには私が答えるのです!」


そういうと芽衣は画用紙をリュックサックから取り出し色鉛筆にて絵を書き始める。そこにはデフォルメされた唯華といくつかのイラストが付け加えてあった。


「まずは頚椎からなのです。何時のものかは不明な軽微な損傷箇所とストレートネックがあったので正しい形に治しておいたのです!その後肩が凝っていたし、関節もズレがあるので戻して、脊椎は損傷箇所が凄かったので一から形成し直して、肋骨も一から組み立て直して整えたし、腕にヒビが入って変にくっついていたのできちんとくっつけて股関節に入っていた金具は邪魔なので外してから損傷箇所を治して、大腿骨頸部骨折痕も同じく治して、神経系も繋ぎ直して、その他体内に残された金属片等を取り除いたら血流を良くして出来上がりなのですー!」


持っている画用紙には笑顔の唯華とレタリックで可愛らしく書かれた『出来上がり』の文字が書かれていた。


「そこでポカンとしているライもユイもこれだけは覚えておきなさい。あんなことはあの子しか無理よ」


「唯華ちゃん、こういうメイちゃんのやることに対していい説明あるけど聞く?」


「どんなの?」


「かわいいは正義!」


芽衣が目を瞑ってフフン♪とドヤ顔をしている周りで六花の真面目そうな顔での発言を4人は

「何を言っているんだ」という顔で見るのであった。


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