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茨城攻略戦 終幕

エタラナイヨウニシマス。ホントウデッス

筑波山山頂


「戦車砲があってよかったってものね…。あれはでかいわ」


安心したような間宮の発言に日向が渋い顔で答える


「貫通はするんじゃないかな?絶命には程遠いだろうけど。おそらく出てきているのは一部分だけだし、弾種も徹甲弾のみだから致命的な出血にはならないだろうし」


徹甲榴弾でもあればなぁと日向が砲塔に登り、主砲をたたく。視界が解放された芽衣は若干気持ち悪がりながらも双眼鏡で眺めていた。


「近接戦闘は効果が薄そうです。それこそ対地爆弾とかを埋め込むとかでない限り」


つくば市内を眺めながら六花が答える。間宮も考え込んだのち首を振った。


「表皮がかなり分厚そうね。観察を続けるしかないわね」


市内には幼虫と飛行を行うアイクのみが残り、飛行型も幼虫から距離を開けていた。その理由をすぐに目の当たりにすることとなった。幼虫が蠕動運動をすると、口からタールのような黒い塊をトンボ型やハチ型に散弾のように吐きかけ、落ちたものを顎でつかみ口の中に入れてゆく。


「航空支援もダメそうね…。何かいい方法はないのかしら」


間宮が頭を抱えていると、日向は困った顔で答える。


「ないわけではないんだけど~…。気が進まないなぁ」


そういいながらトレーラーから何かを芽衣とともに転がして持って来た。円筒形の黒い筒に多くの配線が伸びている。


「なにこれ…。ドラム缶?」


「ヒナちゃ~ん…なんで爆雷がこんなところにあるの?」


南は爆雷を指さしじろじろ眺める。


「作戦名は赤ずきん作戦だよ!」


「「大体わかった」のです」 「はぁ?」 「赤ずきんといいますとー?」


姉妹は大体察したという顔で六花が爆雷を担ぎ準備運動をする。芽衣はため息をつき間宮に比較的に柔らかい箇所を聞く。間宮はよくわからないまま芽衣に伝えると、そのまま姉妹間で作戦会議を始めた。


「地表から3メートル40センチの箇所に切れ目を入れて大体2メートルの深さで埋め込んでほしいのです。方法は任せるのです。点火はヒナちゃんが遠隔でできるようにしてるでしょ?」


「分かった。日向は僕が離れて2秒後に爆破してほしい。全く無茶苦茶だよ」


「効果はあると思うよ?素材は残念だけど切れ端でもなんとかなるかな?大きさが大きさだし~」


2人を置いてけぼりにしたまま作戦開始をしてしまった。




「近くで見るとかなりの大きさだなぁ…。目が悪くて助かるけど」


ビルのような幼虫に走って近づくと何の苦もなしに本体にたどり着いた。


「それじゃお邪魔するよ~」


大太刀で切れ目を作ると幼虫は異物を出す様に暴れだした。しかし緩慢な動きのため六花が放り出してしまうことはなく無事に爆雷を埋め込んだ。巻き付いていた太い電線を外に出すと、急ぎ合図をして飛び出した。




「準備ができたみたいなのです!ヒナちゃん!爆破して!」


「何をする気なの?」


「間宮さんは見ててほしいのです」


次の瞬間、幼虫の体内が膨らみそのまま真っ二つになった。あたりには桃色の肉が飛び散り、その中にはアイクの生き残りがわらわらと寄ってくるが、近づくたびに部位ごとに分けられ気球と共に上空に上ってゆく。米粒よりも小さなものが双眼鏡の向こうに見え、幼虫を解体している様だった。


「赤ずきんを助けた後は石を詰めて縫って戻す。同じように中に爆雷を埋め込んで中から爆破したのです!」


「…まあいいわ。市内に降りてあのバカを回収していきましょ。みんな帰るわよ


「楽に小銭を稼げたんだからいいじゃーん。流石に家でご飯がいいでしょー」



房総半島上空


「何だかいつもよりも疲れた気がするのです」


「強行偵察と前線の押上げはうちらしかできないしね~」


芽衣と南はぼやきつつもシートを倒して寝そべる。


「でも戦闘はいつもより少ないわよ?1つ1つがキツイけどね」


間宮はそう言うと後ろを向く。


「功労者は今は夢の中のようだけれどね」


後ろのシート上では日向が眠る六花に抱きかかえられるように幸せそうに寝ていた。




オアフ島 ヒッカム航空基地


「いやぁご苦労様!おかげで東京湾沿いへの侵攻計画が大幅に進んだ。しばらくはゆっくりしたらいい。何、しばらくとんでもない問題の解決に時間が必要なんだ。嬉しくもあり困惑もあり…といったところか」


「だんちょ~、9人姉妹のパパですか~?フーフー」


南が軽い調子で茶化す。則道は勘弁してくれよと頭を抱えると「向こうには向こうの「遥ちゃんと暮らすことになったのです」うそぉ!」といろいろくじかれ、机に突っ伏している。


「楽しみだけど…変わってないんだろうな」


「冬華ちゃんと遊ぶ時間が増えるね!」


「うるさくなりそうだわ…」


「にぎやかな方がいいんじゃないかな?」


「憂鬱なのです」


5人は回れ右をして自宅に戻っていくのであった。


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