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園上の龍 決着

仕事が忙しくて筆が進まんことこの上なし 申し訳ないと思っている。全てディケイドとかいうやつが悪い

2時間後 鹿島港


『44分隊到着したわよ!状況はどうなの?!』


『それが…敵勢力全滅。園上大将はおそらく付近をうろついていると考えられます』


付近に見えるのは雑然と高く積まれたアイクの死体と、それの上で紫煙をくゆらせる1人の人影であった。人影はこちらに気が付いたのか山から下りると走ってこちらに向かってきた。


「ふむ、久しく殺しはしていなかったが中々悪くない出来だと思わないかね?」


近づいてきた人影もとい園上大将は顎髭を右手でさすりながら左手で軍刀をポンポンと叩く。間宮は事態を飲み込めていないような顔で答える。


「いえ…かなりの戦果かと…」


「嬉しいことを言うではないか!はっはっはっ!気分が良い。来たまえ、甘味程度ならおごろうではないか!」


園上は気分を良くしたのか足取り軽く邪魔になっていたアリ型の頭をコガネムシ型の外骨格に擦り付けるように踏み潰すと基地の入り口まで歩いていく。


「さすが師匠…鍛錬は怠ってない」


「こっわぁ…東京で見た時はああじゃなかったと思うんだけど」


「あの方は70歳以上なのですよね?」


「よく見たら綺麗に解体されてるねぇ~。マリアに輸送頼もうっと」


間宮はゆっくりと向き直り南と六花の2名を力強く抱えると大声で責める。


「あんな化け物なら早く言いなさいよ!小梅ぇ!」


「うるさいなぁ。私だって知らないってばぁ」

南は眉をしかめてグラグラと揺られている。次に六花の方を向くと続ける。


「あんたも弟子なら早く言いなさいよ!」


「70超えた人間がアイクを皆殺しできるとは考えていなかったですので」


「あっ~!!もういいわ。行くわよ!」


間宮は頭を搔きながら基地中央部へ向かっていく



「しかし久しぶりに心躍る闘いだった!一体づつでは少々物足りなかったが、10体も集まればいい具合だった。うむ!」


「はぁ…」


園上はソファーに座る5人の周りを落ち着かないように歩きながら、興奮したように手振りを含めて語るが、六花以外は呆れたように返す。


「いまだに衰えてないとは流石です」


六花は感心したように返す。


それを聞いた園上はにこやかに緑色の刃物を執務机から拾い上げる。それはカマキリ型の前脚だった。


「これのおかげだ。中々軽くて切れ味がいい」


そう言うと園上は何の気なしに振りぬき、机の角が切り取られて床に落ちる。


「カマキリ型の鎌ですか。なかなかの切れ味だと聞いてはおりますが、室内で振るものではないかと」


間宮は額を伝う汗を感じながらか細く返す。園上はそれを聞いて豪快に笑いながら「これは失敬」と執務机に乱暴に置くと、ようやく向かいのソファーに腰を掛ける。


「最近は運動をしていなかったからな、鈍ってしまったかもしれないとは思っていたが悪くはないな」


園上はそういいながらハンドベルを鳴らす。少しして小さなケーキが彩りよく乗せられた金属製のトレーを持った女性が入室する。手早くケーキをそれぞれに用意したであろう磁器製の皿に乗せると、ティーカップを配り紅茶を注ぐ。その動きはなめらかで優美でもある。


「お久しぶりです…。北島です」


訓練生であった北島がクラシカルなロングスカートのメイド服を身に着けて給仕をしていた。


「通信兵から後方勤務に向かうことになったのですけどねぇ…。どこぞの海軍部司令長官にとある写真でつられまして、今では護衛官としてあの人につきつつ今回は園上基地司令についているんです」


全員の脳裏に笑顔でピースしている妙齢の女性が浮かぶ。流石は公式芽衣ちゃん専門カメラマンである。


「まぁわしは護衛など不要なのだが…。人程度ならいくらでもなんとかなる」


「初めて流れ弾とはいえ銃弾をデコピンではじく人を見ましたよー」


軽い口調に反して引き攣った顔がその異常性を物語っていた。北島は軽く背伸びをすると紅茶の濃さを調整し、ミルクティーを作る準備をしていた。


「こういう仕事は涼花ちゃんのとこでやってましたからねー。前線勤務よりはいいっすね」


「まぁ…満足してるのならいいのだけど…」


間宮はまぁいいわとカップの紅茶を飲みながら答える。六花がふと横を見ると美味しそうにケーキをほおばる妹達の姿があり、始めから話は聞いていないようだった。


「間宮さ~ん、つくば市まで行って追加の報酬もらっておく?多分だけど今頃百里飛行場には防衛戦力がいるでしょ」


南はスナイパーライフルの薬室を覗き込み、点検したのち閉鎖する。それに対して間宮は面倒くさそうに頭を搔き、ため息をつく。


「行くしかないじゃない。どうせならつくば市全域を抑えてしばらく休ませてもらいましょ」


それを聞いて南は「りょーかい」とだけ言うとスナイパーライフルを背中に背負う。流石に2人も満足したように手を合わせて「ごちそうさまでしたー」と言っていた。


「ふむ、うらやましいことだ。行って来い。こっちはこっちで楽しんでくる。そう言えば東京湾沿いはまだ残っているらしいな…。観光して帰るのも悪くはないだろう」


「だそうですよ~。ではまた基地で会いましょー」


園上は軍刀を抜き身で持ち、刃こぼれの有無を見ると収めながら部屋を出る。北島も引き攣った顔で5人に手を振り、メイド服を脱ぎ、現れた戦闘服の背中に黒いライオットシールドを背負う。4人は何あれと目を見開くが六花は満足げである。


「見込んだ通りの適正だったようだね!」


その頭を素早く叩く2本の手があった。



筑波山山中


「うぅ…。まだ痛い」


六花が痛む頭をさするとその犯人達は「全く」といったようにため息をつく。


「いつあの子をあんなのにしたのよ!盾持たせて何をする気だったのよ」


「そうなのです!いたいけな女子を気安く化け物にしないでほしいのです」


戦車内に2人の叱る様な声が響く。彼女らも涼花の件があり何も言えないのだがそれは置いておくことにしたようだった。


「任務の間に少しだけ教え込みまして。基本は受け流しと構えながらの射撃だけですよ」


六花が目をつぶり説明するように答える。間宮は仕方がなさそうに受け止めながらも一つ疑問が浮かんだようで問いかける。


「ハンドガン程度でアイク達と戦えるのかしら?あくまで要人護衛用だからそれでいいのかもしれないし、盾を持ちながら使えるのなんてそれぐらいよね」


それに六花は何を言っているのだろうという顔をして訂正する。


「ショットガンを持っていると思いますよ?それもサボットスラグ弾を使っているはずです」


ポケットから数発の緑色をしたショットシェルを出すと、ショットガンに装填する。そのまま戦車から飛び出ると数百メートル先にいたはぐれのカマキリ型にエンジングリル上の予備装甲を左手につかみ突撃を始めた。


「実演するとこうしてこうです!」


いうや否やカマキリ型の前脚を装甲で受け流すと胴にショットガンを撃ち込む。カマキリ型の背から緑色の液体と破片が飛び絶命した様子が見て取れた。


「予想以上にアグレッシブだねぇ」


「頭おかしいんじゃないかしら。あれもあの子も」


遠巻きに見えるのは関節部からはじけ飛ぶカマキリ型を筆頭としたアリ型コガネムシ型連合の小集団であり、数はおおよそ200の集団が一方的に蹂躙をされていた。


「ちなみに応用するとこんなこともできます」


アリ型の顎を盾で滑り、頭部と胸部をつなぐ関節までたどり着くとその勢いのまま盾の下部でたたき切る。そんなこんなのうちに集団は壊滅状態になり、数匹が逃げかえる程度になった。それらを南と日向が自分の武器で吹き飛ばすと、六花がのんびりと帰ってきた。


「どうでしょうか!」


もちろんのこと頭の痛みが長続きするだけとなったのは言うまでもないことだった。



筑波山山頂 


先程の集団を片付けたのち、山頂からつくば市市内のアイクの配置や動きを偵察することにした5人は小休止をはさみながら陣を張っていた。


「確認できるのは崩れた廃墟の上を歩く100程度のカメレオン型と1500程の雑多な昆虫系のアイク達ぐらいかなぁ?カメレオン型は仕留めておくよ~」


大きな銃声よりは砲声に近い連続した発射音の数秒後次々と建物の各所から赤いスプレーをまいたかのような跡が広がる。その付近にはカメレオン型が頭を吹き飛ばされた状態で倒れており、辺りの昆虫系アイクはその周りにわらわらと集まっていた。


「あーあ、勿体ない…。さっきも聞いたけど何で回収しにいかないの~?」


狙撃を続けながら南が間宮に抗議する。間宮はため息交じりに首を振り、日向に話を振る。


「ヒナちゃん、あそこに何かいるわよね?」


「うん!体長数十メートル級の大きいものがいるよ~」


日向はつくば市市内の方に顔を向け、指をさしている。それを聞いた間宮は日向に芽衣の目をふさぐように言うと、10からカウントしだした。


「…。そろそろお出ましになるんじゃないかしら?5、4、3、2、1!」


地面が割れ、アイク達が集まっているところに高さ50メートル程の巨大な建造物が突如現れた。それは光沢のある表面と大きな顎を持ち、でこぼことした体をカメレオン型の胴体を咥えながらゆっくりと動かしていた。


「まるでSF映画ね…。何かの幼虫といったところかしら」


そこに現れたのは高さ50メートルはあるだろう大型の幼虫であった。


亀投稿ですがエタらないようにします

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