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ビリビリ少女の箱庭だっしゅつけいかく1 なんだこの部屋は!

本編とは特に関係ない…のか。な感じの日向が44分隊寮もとい自宅に住むまでのお話です!リズやマリアとの邂逅の半年以上前、六花が自警団見習いレベルで訓練してたくらいのお話です。


私がここにきてから4日が過ぎた。そんな時にこの島だけで発症例がある病気の予防注射があるらしい。痛いのは嫌いなんだけどなぁ…。でもお姉ちゃん達もいるし!注射は耐えられるよ!日向は強いからね!エッヘン!


「ほら~!ヒナちゃん、抵抗しないで行くのです!」


「嫌ぁ!痛いじゃん!体に針を刺すなんて意味不明だよー!飲み薬でいいじゃん!」


「多分だけどおんぼろ内科の内藤先生よりはうまいよ…?きっと」


日向は全力で抵抗するが、体は5歳である為、楽々と芽衣に引きずられていく。あまりの暴れように六花は日向を抱きかかえて運ぶことを決定した。


「六花お姉ちゃんの鬼!きちく!すっとこどっこい!」


「…プリン抜き」


「ずるいぞー!日向は脅しには屈しない!…けど例外はある!仕方ない!我慢する!」


六花は内心「これも姉妹共通か…」と万能な脅し文句に自画自賛しつつ、大人しくなった日向を抱えて中央病院に向かった。



病院…というか何も置かれていない体育館のような部屋に誘導された3人は20代位から小さな子までが集められて一列に並び、5つの受付から流れ作業的に小さな注射器を使って赤みがかった液体を注入されている光景を見た。終わったら奥の部屋に行くみたいだった。


「うぅ…やだぁ」


「あのくらいなら2つ数えれば終わるのです。すぐに終わるから怖くないのです」


お姉ちゃんの言う通りに大人しく並んでいると順番が来てしまった。お姉ちゃん達は違う受付に行ったらしい。近所の光子お姉ちゃん位の女の人が注射器片手に話してくれた。


「これは痛くないってさっき来た子が言ってたから安心して?」


「お姉さんは打たなかったの?」


「子供の病気みたいでね…。お姉さんも若返りたいわ…。ハイ終わり!痛くなかったでしょう?」


「ほんとだぁ!ありがとうお姉ちゃん!お名前教えて!」


「葉月っていうの。また会えるかしらね?」



奥の部屋でお姉ちゃん達に会うと、お姉ちゃん達も何ともなかったって言ってた。お菓子は食べ放題だから食べたけど…。いつ帰れるのかなぁ?


数分経った頃からだろうか。部屋の中が悲鳴に包まれた。聞こえているのは「右手が痛い!」とか「誰か!看護師さん!」とか、お姉ちゃん達も何のことかわかっていないみたい。でもみんな腕を抑えて床に転がっている。しばらくしてお医者さんが来た。でも…おかしいなぁ?みんなじゃなくて私たちに向かってきてる。


「お嬢さん達、気分はどうだい?」


「それよりも他の人を助けてください!痛がってるのです!」


お医者さんは少し顔を曇らせて答える。


「あれは…後2分ぐらいで治る。…俺も気乗りはしないが。お嬢さん達、こっちに来てもらえる?」


「分かりました。お願いします」


お姉ちゃん達についていくと、白い壁紙の部屋にたどり着いた。真ん中にはお姉ちゃん達が入りそうな位の入れ物と、そこから生えてるコードが見えた。どれもボタンやライトがピカピカしていて、部屋の中にはお医者さんだけじゃなくて緑の服のおじさん達もいた。


「入りなさい、ほんの少しの時間で終わる」


お姉ちゃん達はゆっくり入ったけど、私は中の機械が見たいからすぐ入った。そしたら体にペタッて何かがくっついて、テレビでやっていたおもちゃの広告みたいな映像が目の前に浮かんだ。使い方とかそういう事を言ってるやつ。でもどれも私が使える…というかあの時の説明と全く同じことを言われた。


「見てください。右のカプセルから身体能力強化、創傷や毒物の高速治療、そして電子関係のエネルギーの操作です。特にそこの少女はわが軍の戦略的優位性の確保に一役買うかもしれません。」


「ふむ、検討しよう。…何かあるのかね黒井大佐?」


「しかしながら、彼女らは幼すぎます!暫くは保護観察としてはいかがでしょうか?」


「良かろう。君が行いたまえ」


写真で見たお父さん位の人が私達を救ってくれたのかな?その後開いたカプセル?って言ってたものから出ると、六花お姉ちゃんがその人に話しかけられていた。


「覚えているか?」


「身に覚えのない剣術馬鹿で暑苦しい黒井のおやじだ」


「六花!生きてたのか!お前だけでも…良かったよ」


「…遥お姉ちゃんは…そっか…」


「あぁ…すまない」


知り合いみたい。遥お姉ちゃん?誰だろう…?まぁ…いいや!お姉ちゃん達はお姉ちゃん達だもん。抱き合っている二人がふとこちらに目を向けた。


「所で…妹か?」


「まぁ…そんなとこ。ほら挨拶して」


「五月芽衣です!こっちは日向」


「五月…水無月少将の従妹の娘か…。そこに避難したって言ってたな」


「うん…今の所唯一の家族なんだ」


おじさんは一瞬下を向いてからこちらに向き直る。


「今日から俺が正式な保護者代わりだ。不便を強いるが…すまない」


「大丈夫なのです!お気になさらず」


「どうせ悪くはならないでしょ」


「日向はへーき」


それにニコッとして、私達がどこに送られるかの書類を見せてくれた…けど漢字は読めない!平仮名は余裕だよ。カタカナも。英語は…分からない。でも…行く場所は芽衣お姉ちゃんが教えてくれた。研究所だって!こう…「ふっふっふ…悪魔ロボットを作ったぞ…」とかする感じかな?テレビで見た。



次の日、よくお菓子くれたお兄ちゃん位の兵士さんが研究所まで送ってくれた。なんか元気なかったけど大丈夫かなぁ?


「よく来たね。じゃあ今日からこの部屋がお嬢さんのお家だよ」


見渡す限りコンクリートの灰色の壁と小さな白い机。なんにもない。しかも狭い。ご飯は3回くれるらしい。でも…狭い。暗くはない。すごく明るい。…狭い。


「おじさん。お洋服は?」


「これを着なさい」


白いワンピース?でも…手抜き。全部柄なし、半袖、ぺらっぺら。これじゃあつまんない。


「ぬいぐるみない?殺風景」


「難しい言葉を知ってるなぁ。でも無しだ。この部屋にはそれは認められていない」


「カメラは?要らない」


「監視するのが目的だ」


「エッチ」


「なんとでも言いなさい」


「お布団ないの?床冷たい」


触るとひんやりとしている。さすがに風邪を引きそう。


「そこに毛布と大きなタオルケットがあるだろう。不要だ」


「ケチ」


「勝手に言っていなさい」



結果的にこの部屋に詰め込まれた。さっき夜ご飯をくれたけど…不味い。作った人がいたら投げ返すところだった。しかもカメラはずっとこっちを見てる。怖い。


「白衣のおじさんは頭つるつるで油ギトギトでカエルみたい!カエルの歌が~聞こえて来るよ~勝手に言え!好きにしろ!なんとでも言え!げろげろげろげろぐわっぐわっぐわっ♪」


『うるさいぞ、静かにできんのか!』


「おじさんも詰め込まれてみなよ!狭いし怖いし気持ち悪いしご飯はまずい!いい加減にしてよ!」


『我慢しろ。明日は実験がある。今日は寝なさい』


仕方ないからこの部屋で寝ることにした。おなか減った。あの時のパンは変な味するからコッソリ焼くつもりが無くなっちゃったから食べれなかった。お腹が空いた~。


朝起きるとおじさんがモニターにいた。そこの壁にモニター入ってたんだ。光の線はここから…ほほう!遠いねぇ。昨日おじさんが静かに…というかマイクからいびきを流した時に、ここの電気の流れは全部抑えた。地図を見るように道と流れが見える。


「おはよう、よく眠れたかい?」


「おじさんが固いところで眠れる人なら喜んだかもね。馬鹿じゃないの?」


「不満でも?」


「この罪は重いよ。覚えててね」


「あぁ覚えておくよ」


向こうでは馬鹿にしたようにジェスチャーしていた。…さて、脱走計画でも考えるか。


目隠しして行った実験は単純なものだった。機械をつないで電気な量を測るらしい。今日の意趣返しで、かなり手を抜いてやった。そしたらまんまと騙されてくれた。お姉ちゃん仕込みの方法はいいねぇー。油断したのか行きはあった目隠しはなかった。お陰で鍵の種類が分かった。部屋からボタンで出られるらしい。そして、この部屋は離れの中。人はおじさん一人が駐留しているらしい。だから…カメラをだます映像を作ろう。作戦名『ふて寝』開始!


『嬢ちゃんやけに静かじゃないか。慣れたか?』


「…」


話しかけないでうるさいとだけジェスチャーして寝る。食事も直ぐに食べて部屋の中でじっとしている。基本的に昼に実験がある。食事してからだから3時間位行って、帰ったのは16時半位。夕ご飯は18時だからそれ以外は暇。だからそれから翌日9時にうざいのがあるだけで脱走もできる。因みにあのパンは何の変哲のないパンと分かった。ただ変な味がするだけのようだった。まずいのは明日の朝食のプリン。盗聴によると多少のこうふんざい?が入っているらしい。今日はいいデータが取れた。明日からは脱走の時はカメラにこの映像を流そう。監視室?のパソコンのシステムデータの片隅にコッソリとセキュリティーに見つからないように偽装して隠しておく。これで前準備は完了。この日は寝ることにした。


次回!逃げ出すため色々準備したけど、実は考慮していない箇所があった。…そう普通の就学前児童はそんなに頭が切れないということだ!日向は漢字以外は賢いのだ!(自称)普通のことだと姉から叩き込まれたサバイバル術と、電気操作で切り抜けろ監視の目を!

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