全体のあらすじ!芽衣ちゃんカワイイヤッター
何となく二人のなれそめと、今の関係性への始まりの物語?ですね。きっと。
次の日、昨日と同じように通学して、教室につくと自分の机が荒らされていることに気が付いた。あたりを見回すと、憐みの目と鈴本さんの取り巻きと本人がにやりとしているのに気が付く。引き出しにはごみが詰め込まれて、机の板には様々な罵詈雑言が書かれていた。芽衣は内心うんざりしつつ、ごみを片付け、落書きの書かれているところにトイレから洗剤を持ってきて雑巾でこすって消す。一仕事終えて席に座ると、朝礼のチャイムとブツブツと鈴本さんの声が聞こえた。
昼休みに給食を食べ終わり、本でも読もうかとカバンから本を一冊取り出すと、その本を開く前に上に持ち上げられた。
「鈴本さん。本を返してほしいのです」
「なにこれ?童話だなんてずいぶんお子様ね!保育園とかからやり直したら?」
そう言うと鈴本さんは机に向かって本を放り投げる。別に…童話の何が悪いのです…?私は少し傷つきながら、その本の表紙を少し手で払って読み始める。すると、頭から私は水をかぶることになった。
「冷たっ!!」
「これで貴女のおめでたい脳みそも覚めるんじゃないかしら?」
なんでこんな目に私が…。ダメなのです…!泣き言はもう言わないのです…。その日は体育着で帰る羽目になった。六花ちゃんが理由を聞いてきたが、「転んでバケツをひっくり返しちゃったのです」というと、そのまま引き下がった。
その日は何故だか目から涙がこぼれた。おかげで枕も濡れたし、六花ちゃんを起こしてしまった。なんでかなぁ…怖いよぅ…。誰か助けて…。…そんなことを願ったって…助けなんて来てはくれないのです。自分がしっかりしなくちゃ…ね!ふと小さい声で六花ちゃんの寝言が聞こえた。
『……は…の義務…』
勉強の内容でしょうか?
次の日は更に、ネズミの死体が入れられていた。落書きも彫刻刀で刻んだものになった。それでも自分を強く保つことに成功した。大丈夫…いつか終わるから。いつかは…。…本当に?いけない!もっとしっかりしなくちゃ!
「五月さん?少し来てもらうわよ」
そう言って連れ出されたのは校舎の裏にある暗がりだった。今から痛いことをされるのだろう。大丈夫…慣れてるでしょ?耐えればいいだけだから…。
そして、5人に囲まれて取り巻きの子が私を手に持っている棒で殴ろうと振り上げた後、衝撃は来なくて、閉じた目を開く前に感じたのは、少年少女のうめく声だった。ゆっくりと目を開けると広がっていたのは、うずくまる取り巻きと、怯えた目をした鈴本さんだった。
「どうして…六花ちゃんがここにいるのです…?」
「そりゃあ、ボイスレコーダーと隠しカメラを通学時どころか毎日24時間くらい芽衣ちゃんに仕掛けてあるからねぇ…?」
なんか、恐ろしいことが聞こえたけど…。六花ちゃんにはリスクを負ってまで私を守る必要はないはず…!と言おうとしたら先にこう六花ちゃんは制してきた。
「可愛いボクの妹を守るのに理由が必要と言うの?」
「え…」
「鈴本さん?だっけ?少しおいたが過ぎるんじゃないかなぁ?…よくもまあ、ボクの可愛い可愛い芽衣ちゃんをいじめてくれたねぇ?派手にやってくれたからカメラもボイスレコーダーもばっちり証拠になるねぇ?」
鈴本さんは怯えた顔をしつつも、声を震わせ言葉を紡いだ。
「私のお父様はここの町の政治家なのよ!そんなものはすぐもみ消せるわ!」
六花ちゃんはニヤリとすると、携帯電話で通話を始めた。
「もしもし?棚橋のおじさん?六花です」
その中に出てきた棚橋さんとはこの県の現知事のことで、それこそ、鈴本さんのお父さんなど、鼻息で飛ばせるような人物だった。六花ちゃんはその通話をスピーカーにして続けた。
「この前話した鈴本町議会議員なんだけどさぁ~。どうなった?」
『あいつか?嬢ちゃんのおかげで癒着・予算のちょろまかし・横領と、たたけばたたくほど出てきたよ!今日中に懲戒免職だな。どうしてわかったんだ?』
「秘密~♪」
『まぁ…いい、それでそっちはどうだ?可愛い妹がいじめられてるんだろう?』
「もう解決したよ。おじさんのおかげでね。バイバイ」
電話が切れると、六花ちゃんは鈴本さんの横に行き、何かささやいた。そして、私のほうに来ると、抱きしめてきた。
「ごめんね。待たせたかな?」
「大丈夫…」
六花ちゃんは少し力を緩めて、耳元で囁いた。
「もう無理しないで甘えてよ。芽衣ちゃんは無理ばっかりするんだから」
いつぶりだろうか。その時、私の心にあった鎖の様なものが壊れた気がした。そしてその日はずっと六花ちゃんが一緒いて、優しくしてくれた。そして、六花ちゃんはその夜泣き止むまで優しく抱きしめて、語り掛けてくれた。
「おはよう、りっちゃん」
「おはよう、良く眠れた?メイちゃ…ん?」
りっちゃんは少し驚いたように自分の名前を発音する。あんな無茶をする人は六花ちゃんなんかじゃない、私の愛すべきお馬鹿で無鉄砲な姉妹のりっちゃんなのです!そう決めて、りっちゃんに顔を向けると予想外の返事が返ってきた。
「お姉ちゃんって呼ばれると考えてたのに~」
「あんな馬鹿な事をする人がお姉ちゃんな訳ないでしょ!今日からりっちゃんと呼ばせてもらうのです!そして、私をお姉ちゃんと呼ぶのです!」
「そんなぁ…弟とか妹みたいな扱い…」
「五月家の長女は私なのです~!!」
「もう…メイちゃんってば~。そんなんじゃ大人のレディーには程遠いよ~?」
「喧しい!あっ~!もうこんな時間!ほら学校遅れるよ!」
「まだまだ時間あるから~!せめてこのプリンだけでも!」
「それ、私のプリンなのです!!」
「んんっ…寝てたのです?」
懐かしい夢から醒めると見知った天井。如何やら少し寝てしまってたみたいなのです。向こうでは世界一愛している姉が料理の仕込みを始めているみたいだった。布団をどかし、そばまで近寄ると、こちらに気が付いたのか包丁を置き、嬉しそうに振り返ってきた。
「おはようメイちゃん。よく眠れた?」
「おはよう、りっちゃん。…大好き…ですよ…?」
りっちゃんは少し固まり、ハッとしてから、こう答える。
「僕も愛しているよ。メイちゃん、あのさ」
「何なのです?」
「嫌なことあったら言うんだよ?」
「善処するのです」
ねぇ…?あの時の私。私は幸せだよ。
次回!そろそろ日本列島に攻めに行かないとらちが明かねぇ…。と考えた作者はこの時点ではノープラン!さて、深夜テンションとエナドリにお願いだ!どうか流れを下ろしてくれ!次回!未定!続け!