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ナナカマドとカスミソウとヒマワリ

過去編です。ある子の視点ですが登場人物は今とはかなり性格も見た目も違います。あの姿になるまでの過程は読めば分かります。とってつけた後書き召喚しました。許してください。何でも島風。

アイク襲撃5年前 山梨県某所


「うがー!なーんでボクを親戚の家に預けて転勤するかなぁ」


彼女の両親は軍人で、転勤先は何時も日本の中なのだが、今回はまさかのアメリカだった。そのため10歳のボクは親戚にあずけることになったらしい。フンだ!


「全く…これだから軍人は」


そうこうしていると車が来た。わぉ!高級車!ウン1000万とかのやつ。


「あら!可愛い子じゃない!妹も適当ね!」


「あのーどなたですか?」


「貴女の新しいお母さんかしら?よろしくね」


「はぁ…なるほど」


「まぁいいわそういうのは。車に乗りなさい。これからはうちの子よ。」


とてもいいシートの感触で眠くなりそう。


「そういえば子供がいると聞いたのですが」


「礼儀正しいのはいいけど、敬語は無しにして。堅苦しいわ」


「分かった、お母さん」


「お母さん!やった!ウチのはママさんよ~。それはそれでいいんだけど、やっぱり男の子の呼び方ねぇ」


「ごめんね。ボクは女の子なんだよね…」


「女の子!もっといいじゃない。華やかになるわ」


「それでボクの姉妹になる子はどんな子なの?」


「えっとね、引っ込み思案であまり私も触れ合えないから少し会話が苦手な子なの。名前は…」


「奥様。着きました」




「広いなぁ。確かこの部屋でその子と暮らすんだよね」


どんな子だろう?引っ込み思案で会話が苦手ねぇ?男の子かな?やだなぁ。あの様子から男同士で暮らさせる気だったよね?はぁ…


「そこの人は誰ですか?お金なら300円しかないですよ」


うん?女の子かな。すごい障子からちっちゃい子が出てるけど。


「初めまして!ボクは水無月六花だよ!」


「五月芽衣なのです。よろしくお願いします」


これがボクとメイちゃんの出会いだった。しばらくして、僕らは本当の姉妹のようになった。引っ込み思案な彼女をいつも守り、時には男子と喧嘩までした。格闘術はできたし。そして友人でもあった。出会ってから1年ぐらいして、妹もできた。名前は日向。僕らが付けさせてもらった。更に1年後には日向は僕等に付いて歩くようになり、可愛かった。そして、笑いあい、慰めあったり、時に小さな事で喧嘩して、仲直りして暮らした。中学生になり、流石に私と一人称を変えると、「ボクが好きなのです」とメイちゃんに言われて家でだけそのままにした。


「まーた、ラブレター?モテるねぇ」


「そうなのです。確かりっちゃんにも来てたはずなのです。」


「まぁね。でも半分くらい妹をうんちゃらだけどね」


「私は今のところ興味無いのです。この世に一人の好きな人は私に抱き着いてるのです」


「嬉しいねぇ。ほらぎゅ~っ」


「苦しいのです~」



バレンタインの日には手作りチョコクッキーを「大好きなのです」と可愛い顔で言われて、膝から崩れた。尊い、尊すぎる。ウチのメイちゃん尊すぎる。なんて砂糖菓子のように甘い日常は突然消えた。


「避難してください。校庭に避難してください!」


アイクという侵略者が僕らの日常を壊してしまった。彼らはもう福岡まで来ていた。そのまま北上して僕らに迫ろうとしていた。

「りっちゃん大変なのです!ヒナちゃんが!いないのです!」


「おかしいな。ここにいるはずなんだけど。はっ!まさか!蔵の中で遊んでいて気づいてないのか!」


「どうしようなのです!」


「助けに行ってくる。ここで待っていて」


「一緒に行くのです!」


「しょうがない!離れないでよ」


そうして僕らは自宅の蔵の中に来た。


「あれ?おにーちゃん?学校は?」


「急ぐのです。テレビでやってた怪物さんが来ているのです!」


「んぇ、分かったよ~」


「こいつは持っておくか」


ボクは大きな刀と狩猟用散弾銃と持てるだけの弾を持って外に出た。そこには、大きな昆虫が居た。


「少し遅かったみたい。あの軍人さんと一緒に逃げよう。」


「分かったのです」


そして、日向を背負いボクは軍人さんの所へ行った。


「お嬢ちゃん達!逃げ遅れか?ここは何とかするから逃げろ!佐藤!ついてけ」


「お嬢ちゃん達!こっちだ!」


僕らが軍の基地前まで来た時の事だった。僕らは奴らに襲われた。二人はヘリまで逃げたが、ボクは散弾銃で応戦しながらでは逃げれなかった。


「お嬢ちゃん!俺に任せろ」


「えぇ!すみません!弾がもうないです」


「早く!うぐっ!やめろぉ!食うなぁ!」


「「きゃあ!」」


メイちゃん達が怪我したようだ。その為二人が運ばれるのを援護した。しばらくしてボクは何とかメイちゃんと日向がヘリコプターに運ばれたのを見て走った。佐藤さんの声や聞こえる声を無視して。しかしこれがいけなかった。


「お嬢さん!!後ろ!!」


ボクは背中から斬られていた。しかし体は軍人さんにヘリコプターに乗せられ、食われずに済んだらしい。意識ももうろうとしていた時、ふと、二人の心電図が止まっていたのが見えた。まだ死ねない。二人を殺させない!そしてはっきりと耳元で声がした。


『ねぇ?君は生きたいかい?』


だっ、誰!


『強いて言えば、神とか?そんなことはいいんだけど。なんで生きていたいの?なんで?こんな世界でなんでよ?』


あの子達!いやウチの妹のメイちゃんと日向を助けて!!あの子には生きていてほしいんだ!!


『そこの子だね?なるほど君たちは自分より他人の無事を願うか!面白い!だから私は人間になりたいんだ!』


何でもあげるから!お願いします!助けて!!


『なら、選んでくれ。私は人間になりたいんだ。その為にあいつらで十分な魂を回収したんだが、足りないものがあってね。それは、その人間の承諾が必要な契約でしか手に入らないんだ。私はせっかちでね。集中していると肝心なことを忘れる。そこでだ!君にどれを渡すか決めてくれ。その代わり強力な能力をあげよう。まず性格だね。そのまま性格が無くなって、その分逆の性格になる。次が本能、あれしたいこれしたいが無くなる。寝れないし、ご飯も食べたくなくなるね。次に理性、本能で動くようになるよ。分かりやすいね。次が成長。背が伸びないし死ぬまで同じ姿。さてお待ちかねの最も私が欲しいのが死さ!死なないし、死んで楽になるなんて甘いものはなくなるね。皆生きたいけど、苦しみたくないんだと。無茶だなぁ。さぁ!どれをくれるの?』


(死)をあげる。苦しみならいくらでも受けてあげる。


『いいねぇ。そこの子たちは何?成長?理性?なるほど。大切な人を守れるようにねぇ。いい家族愛だね、お姉さん、涙出てきた。これだよ私の好きな自己犠牲ができる人間!この人間たちが必要なんだよ。それぞれを信じる絆。それに比べて、ほかの雑多な人間も傲慢になったことだ。神に向かって、お前のせいだとさ!更に他の人を売ろうとした奴もいたね!』


で能力は?


『おおっと!ごめんね。なにがいい?』


じゃあ身体強化の能力がいいな。非力でね。さっきので痛感したから。


『なるほど、そっちの子たちは?なるほど傷をいやしてあげたい?何で?ほんほん。なるほど。そっちのは?電気の魔法?いいねぇ。そういうのだよ。じゃあそれでいいね?そんじゃ!契約成功!』


ボクは悪魔と契約して死を与えた。





その後全員そこにいた軍医の処置で一命をとりとめた。まるで神の御業だと言われたが、その軍医は見つからないのだと。


「うーん。ここは?」


「りっちゃん!良かった!良かったよ!」


「痛いよ、メイちゃん。」


「神様に願ったのです!りっちゃんを助けてって!」


「日向も!」


「もうっ!そーゆうときは自分のことを願いなさい!ボクは二人が無事ならいいんだから」


「そういうりっちゃんも私たちの無事を祈ったのでしょ?」


「そうだー」


「ばれたかー」


「「もうっ!」」


こうしてボクたち姉妹は悪魔の力で助けられた。その代わりに人の構成要素が無くなったが。ボクは後悔なんてしてはいない。大切な人を守れたから。






研究所  葉月ラボ内


「やっぱり。あの子たちは最高だよ。正解だったね!このために生物班を作ったからね!あの子たちのそばで何時までも見守ってるから。神ですもの」


彼女は嬉しそうに笑っていた。

五月「りっちゃんは僕っ子なだけで男の子ではないのです。シスコンで短髪で家族の関係で男っぽいだけで。先輩達は「ちゃんだと変な虫が湧くからね。あたしたちの六花ちゃんは渡さないよ」とのことなのです。ヒナちゃんもグルなのです」

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